(写真 依田純子 / 文 黒澤祐美 / 協力 THE NORTH FACE

10月20日(土)・21日(日)に開催されるROCK&RUN RETREAT CAMPに向け、クライミング未経験の信太美月さんが実践を通じてクライミングの魅力を探る本企画。

▶︎前回の記事はこちら

連載2回目は、身ひとつで気軽に始められるインドアボルダリングに挑戦。THE NORTH FACEのプロモーション担当でクライマーである永山貴博さんに、ボルダリングにおける基礎知識や楽しみ方、登り方のコツなどを教わった。

tnfma_rock

ボルダリングジムのシステムを知る

この日訪れたのは、東京・足立区にある『BOULDERS』。はじめに受付で登録申込書を記入し、スタッフによる施設内設備と注意事項の説明を受ける。ジムではシューズもチョークもレンタルできるため、仕事帰りでも気軽に行けるのがボルダリングの魅力だ。持参が必要なものとえいえば、動きやすい服装と靴下のみ。着替えを終え、シューズのフィッティングに移る。

  • sample alt
  • sample alt

「クライミングシューズは靴の中で5本の指が少し曲がるぐらいの小さめサイズを選んで履きます。これは、爪先に力を集中させるため。最初はかなりキツく感じると思うので、初めての人は買うよりもまずレンタルシューズでサイズ感に足を慣らすことをおすすめします」(BOULDERS店長の坂本裕樹さん)

tnfma_rock

ホールドをポインターで照らしながら、丁寧にインストラクションしてくれる坂本さん。最初にトライする課題のスタートからゴールまでのルートも確認する。

準備が整ったところで、初心者向けのインストラクションがスタート。事故防止のためのルール説明と、登り方の説明合わせて30分程度。どのジムでも必ず行われるこのインストラクションをきちんと聞いておけば、あとは各々自由に楽しめる。

「ボルダリングジムでは、初級から上級まで課題が設定されています。ここに貼ってあるのが難易度を示すグレード表。BOULDERSでは10・9級〜3段まで12段階に分かれていて、級の色と壁のテープの色がリンクしています。壁の斜面は、90度以下で奥側に倒れている「スラブ壁」、90度に立つ「垂壁」、90度以上手前側に倒れている「前傾壁」、180度近く逆さになる「ルーフ」など、面によってさまざま。身体が手前に傾くほど力を要するので、初心者はスラブ壁や垂壁の、10・9級からチャレンジしましょう」(坂本さん)

tnfma_rock

イージーな課題から登ってみる

手始めに、少し奥側に倒れたスラブ壁の10・9級にトライすることになった信太さん。手や足をかける突起物(以下ホールド)の位置とルートを下から見て確認し、いざボルダリング開始!

スタートを意味する「S」と書かれたテープが貼ってあるホールドに両手をかけ、指定のホールドに足を乗せる。同じ色のテープを辿って足の位置を上げ、次のホールドに手を伸ばす。これを繰り返しながら登り、「G」と書かれたゴールのホールドを両手で掴めば完登だ。文字にすると難しそうだが、ようはスタートからゴールに進むというシンプルなルール。ちなみに壁は5m近くあるためゴール後はその場から飛び降りず、安全な高さまでホールドを使って降りるのがお約束。

tnfma_rock

やや奥側に倒れている「スラブ壁」の簡単な課題は、初心者でも楽に登れる。「簡単な課題を登ることは、ウォーミングアップにもなります」と、永山さん。

  • sample alt
  • sample alt

「手足を使って壁を登るという感覚が非日常で新鮮! 10・9級は特別なテクニックも必要ないし、初めてでも登りきれて自信がつきました」(信太さん)

「ホールドを保持した手を頂点、両足を底辺部分として三角形を作ります。この3点支持の体勢が最も安定した形。常にこの三角形を意識しながら移動すると、ラクに登れます」と、永山さんからのアドバイスを受け、8級、7級とレベルを上げていく。疲れが見え始めたのは、「カチ」と呼ばれる指の引っかかりの少ないホールドが増え、ホールドの間隔が大きく開いた6級の課題に差し掛かった頃。

tnfma_rock

「課題が複雑になるほど次の一手がわからなくて、同じホールドで留まる時間が長くなる。登りながらルートの確認をすると無駄な動きが増えたり体力を消耗するので、最初のオブザベーション(ルートの確認とイメージトレーニング)はすごく大切だと感じました」(信太さん)

tnfma_rock

ボルダリング体験を終えて

信太 今回ボルダリングに挑戦してみて、ゲーム性が高いスポーツだなと思いました。一つの課題をクリアするごとに達成感を味わえるし、「次はあの壁の6級をクリアする!」といった目標が立てやすい。

永山 ホールドは定期的に入れ替えられて、新しい課題にアップデートされるからボルダリングに終わりはないんですよね。それに、打ち込めば打ち込んだだけ強くなる。だから楽しい。

信太 体力的に1日に登れる回数は限られるので、あぁこれは、いかに腕の力を使わずに進むかがポイントだなって思いました。足でホールドをしっかり踏めるところは、体勢が安定するのでラクに登れた。

tnfma_rock

永山 信太さんは柔軟性がありますよね。「ハイステップ」といって高い位置にあるホールドに足をかけて乗り込んでいくムーブ(技)があるんですが、膝よりも高い位置にあるホールドにきちんと踏み込めていた。これは股関節の可動域を広げることでできるムーブなんです。

信太 バレエのおかげかな。180度の開脚はラクにできます。柔軟性は重要なんですか?

永山 柔らかいほうが有利ではあります。可動域が広いことで届くホールドもあるし、なにより怪我をしにくい。ストレッチをすることも大切ですが、練習を積めば誰でも可動域は広がります。

tnfma_rock

信太 身体が重いから少し体重を落とそうとか、このホールドに届くように柔軟性を上げようとか、身体に対しての意識も変わりそう

永山 あと信太さんは、片足を軸にして、身体を振り子のように大きく振って遠くのホールドを取りに行く「サイファー」という動きや、小さなフットホールド上で左右の足を踏み替える動きも自然にできていて驚きました。

信太 ありがとうございます。でも、腕はもうパンパン(笑)。筋力っていうより筋持久力が必要ですね。

tnfma_rock

永山 これは初心者に共通して言えることなんですが、最初は楽しさからマシンガントライしてしまいがち。だけど、すぐに腕に疲労が溜まって長い時間遊べなくなるので、休憩を挟まず連続で登るのはやめた方がいいです。1回やったら10分休むぐらいの方が、1日長く楽しめます。

信太 はじめのうちは、仲間と一緒にできるといいなって思いました。他の人が登っている間にホールドの位置を確認したり、手足の動かし方をイメージしたり、手を休めたりできるから。1日に何十本も登れそうにないし、短時間でもこまめに通いたいな。

永山 2週間空けると登る感覚を忘れてしまうので、最低でも1週間に1度は行くのが理想です。行きつけのジムを作ると仲間ができやすいですよ。そこで外岩に行くきっかけが生まれることもありますし。

tnfma_rock

「ルーフ」と呼ばれる上級者向けの壁を登る永山さん。普段は外岩のトレーニングとして、週に3〜4回ボルダリングジムに通っている。

信太 そうか。外岩に挑戦したければ、まずそういうところで経験者を捕まえればいいんですね。ジム選びのポイントってありますか?

永山 初心者向けの壁と上級者向けの壁が分かれているジムは、早く登らなきゃというプレッシャーや見られる恥ずかしさを感じずに済みます。女性の場合、清潔さで選ぶのもひとつ。あとはやっぱり通いやすさですね。前回記事でもお伝えした通り、ボルダリングは動きやすい服さえあればできる気軽なスポーツなので、生活圏内にあるジムならよりライフスタイルに落とし込みやすくなります。

tnfma_rock

信太 今日は6級の課題をクリアできなかったのが悔しいから、キャンプの当日までたくさん通います!

——次回はロープを装着して高い壁を登るトップロープクライミングに挑戦。ボルダリングとの楽しみ方の違いや、高い壁を登る面白さなどをお届けします。

tnfma_rock

信太美月(しだ・みづき)
1992年、茨城県生まれ。日本女子体育大学卒業。表参道にある「LATTEST」でバリスタを務めながら、フィトネスモデルとして活動中。6歳から始めたクラシックバレエは17歳まで続け、学生時代には並行してバレーボールや陸上、水泳といったスポーツも経験。現在の趣味はヨガやサーフィンとアクティブな生活を送っている。

tnfma_rock
  • sample alt
  • sample alt

BOULDERS
URL:http://hokimaboulders.com/
住所 〒121-0063 東京都足立区東保木間2—25-16
電話 03-6873-5452
営業時間:平日 13:00〜23:00/土日祝 9:00〜21:00
登録料:1000円(更新料不要)
利用料:一般 2,000円(通日・土日祝)、1,500円(平日13:00〜19:00のみ利用又は、平日・土日祝17:00〜CLOSEのみ利用)、
レンタルギア:シューズ300円、チョーク100円