2018年7月11日、蒸し暑い夜の東京に世界各国からメディアが集結した。NIKEの新しいランニングシューズのグローバルローンチイベントに参加するためだ。新製品の発表が、ここ東京で行われるのは極めて珍しいこと。もちろんそれは、2020年東京オリンピックを睨んでのことだ。ライブハウス豊洲ピットと全天候型トラック新豊洲Brilliaランニングスタジアムを借り切って行われたイベントには、アメリカ人として40年ぶりのNYシティマラソン女子優勝を飾ったシャレーン・フラナガン、東京マラソンで日本記録を更新した設楽悠太、そして初マラソンとなるボストンマラソンで3位という結果を残した大迫傑も参加し、グローバルイベントらしい華やかさに包まれた。

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その姿を現したナイキ ズーム ペガサス ターボ

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今回の主役は歴史あるランニングシューズ<ペガサス>の名を冠した<ナイキ ズーム ペガサス ターボ>。<ペガサス>といえば、経験あるランナーなら頭に浮かぶのが信頼の置ける“トレーニングシューズ”という位置付けだろう。実際、クッショニングと反発性のバランスが取れたこのシューズ、練習で使っていることをキプチョゲやモー・ファラー、大迫傑らトップ選手も公言している。一般ランナー、特にシリアスランナーにとっても、試合当日に使うレーシングシューズと比較して、足に優しい練習用シューズとしてロング走などに利用するというのが定番の使い方だったかもしれない。では、<ナイキ ズーム ペガサス ターボ>はこれまでの<ペガサス>となにが違うのだろうか。デザインの目新しさもさることながら、その最大の特徴はフォーム素材に<NIKE ZOOMX>フォームを取り入れたことだ。

BREAKING2のDNA、革新的なフォーム NIKE ZOOMX
NIKE ZOOMXというフォームは、NIKEが行ったマラソン2時間切りを狙う野心的なプロジェクト<BREAKING 2>のために開発され、成果が近年、世界中のレースで驚きの結果を残している“厚底”レーシングシューズ<ナイキ ズーム ヴェイパーフライ エリート>や<ナイキ ズーム ヴェイパーフライ 4%>に搭載されているイノベーションだ。これらレーシングシューズには数多くのテクノロジーが用いられているが、大きな効果をあげているのが反発力を高めるカーボンファイバー製のプレートと、NIKE ZOOMX フォームのふたつの要素。

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そのNIKE ZOOMX フォームの特徴は圧倒的なエネルギーリターン率と軽さにある。ランニングの際、地面を踏み込んだ力は反発力となってランナーの推進力となる。従来の一般的なフォームがこの時のエネルギーリターンを60%程の効率で得ていたのに対して、NIKE ZOOMXではそのリターン率が85%にまで跳ね上がるという。しかも超軽量であるため、厚くしてもシューズが重くならなず、クッショニングにも有利にはたらく夢のようなフォームなのだ。<ナイキ ズーム ヴェイパーフライ エリート>や<ナイキ ズーム ヴェイパーフライ 4%>の構造では、カーボンプレートのみに目を奪われがちだが、実はそれを支えているのは、NIKE ZOOMX フォームの反発性と軽さから生み出されるクッショニングにあるのだ。

現実的にいま手に取ることのできる唯一のNIKE ZOOMX搭載シューズ
今回の<ナイキ ズーム ペガサス ターボ>の発表で、ナイキのスピードシューズカテゴリーであるズームシリーズのラインナップは以下のようになった。

・ナイキ ズーム ヴェイパーフライ 4%(カーボンプレート+NIKE ZOOMX搭載)
・ナイキ ズーム フライ(カーボンで補強したナイロンプレート搭載)
・ナイキ ズーム ペガサス ターボ(NIKE ZOOMX搭載)
・ナイキ ズーム ペガサス 35

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<ナイキ ズーム ヴェイパーフライ 4%>と<ナイキ ズーム フライ>は、構造も見た目も非常に似ている。しかしながら、カーボンプレートの材質も、フォーム素材も異なる。一方で今回発表になった<ナイキ ズーム ペガサス ターボ>は構造こそ異なるものの、同じNIKE ZOOMXを搭載している。<ナイキ ズーム ヴェイパーフライ 4%>が現状、品薄でなかなか手にすることのできないことを考えると、現実的にNIKE ZOOMXを体感することができる唯一のシューズが<ナイキ ズーム ペガサス ターボ>と言えるだろう。

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トップアスリートがシューズを履き分けるわけ
今回のイベントでは、<ナイキ ズーム ヴェイパーフライ>シリーズを履いてレースで結果を残してきた3人のアスリートに直接話を聞くことができた。そして彼らが一様に語っていたのが、複数のシューズを練習によって履き分けるということ。

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「さまざまなシューズを履き分けることで、怪我を防ぐことができると考えています。使い分け方としては、練習メニューによって変えるのはもちろん、その日の体調にも合わせてシューズを選んでいるんですよ」とシャレーン。

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設楽選手は「レースはナイキ ヴェイパーフライ 4%、距離走はナイキ ズームフライ、ジョギングはナイキ フリーと履き分けてます。これまでインターバルトレーニングでもナイキ ヴェイパーフライ 4%を履いていましが、このナイキ ズーム ペガサス ターボはそういったポイント練習に使えるシューズだと思いますね」と語ってくれた

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大迫選手も履き分けの重要性を指摘する。「これまでジョギングにはナイキ ズーム ペガサスを履いてきました。強度の高い練習の時はナイキ ズーム ヴェイパーフライ 4%を履いて、もう少しペースが遅いポイント練習ではナイキ ズーム ペガサス ターボを履いてと使い分けると思います。4%だけだと速く走れる分、脚への負荷も大きいので、練習でずっと履いてしまうと、脚への負荷も大きいので履き分けたいですね。速めのロング走や本ペースよりは遅いテンポ走などで使えると思います」

練習効率を上げるため、そして何より怪我を防ぐためにシューズを使い分けるという発想は一般ランナーも取り入れるべき姿勢かもしれない。

ナイキ ズーム ペガサス ターボ その履き心地は?
ローンチイベントでは、製品紹介、アスリートインタビューに続いて、試し履きの機会が設けられた。足を入れてみるとアッパーは<ペガサス>らしい、やさしいホールド感。日々のランニングにストレスなく入っていける快適性を持っている。ミッドソールは2層構造になっており、足に接触するミッドソール上部がNIKE ZOOMX。足裏全体でそのふわりとした柔らかさを実感する。これは<ナイキ ズームフライ>の堅めでリジッドな感触とは全く異なるフィーリングだ。厚底感に違和感があるかといえば、そうではなく、主な接地面となる前足部には無駄な厚みを感じず、柔らかいフォームと相まって路面のテクスチャーをしっかりと伝えてくる。

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会場を新豊洲Brilliaランニングスタジアムに移し、秋本慎吾さんがリードするドリルを体験。ジャンプを使った反発性を体感し、コーンを使った神経系の動きにもクイックに対応することが実感できた。そして、1マイル(1.6km)のグループランでウォーミングアップをした後、各自のペースで1マイル走へ。自然に前足部着地へと導かれ、スムーズに加速していく。これは、単なるトレーニング用シューズではなく、レースでも力を発揮するオールマイティなシューズなのかもしれないと感じた。実際、サブスリーまでのランナーであれば、このシューズでじゅうぶんな結果が出るだろう。また、シリアスランナーにとっても、足を守りならポイント練習を行える頼りになる存在となるに違いない。