欧米ではサイクリングウェアのブランドとしてではなく、ライフスタイルブランドとして認知され始めているラファ(Rapha)が、「RIDING IS THE ANSWER」(自転車に乗ることは、答えになる)と題したブランドキャンペーンを開始した。フィルムをはじめとした発信を通じて、サイクリングの身近さと秘めたるパワーをうたい上げる。

イギリス発のブランド、ラファはサイクリングウェアデザインの変革者として語られることが多いが、その一方で数々の出版物やフィルムの発表、またサイクリングイベントやツアーの開催など、メディアとして、あるいはプロモーターとしての活動も多面的に行ってきた。とりわけ体験的な価値を求める欧米の市場では、すでに一介のウェアメーカーではなく、ライスタイルブランドとして認知されている。

関連記事:「苦しみ」は物事をリアルにする サイモン・モットラム(Rapha CEO)

Rapha_riding_is_the_answer

自転車に乗ることは、個人・社会を共に良くするパワーを秘めている

「ロードサイクリングを世界で最もポピュラーなスポーツにすること」をスローガンに掲げる同ブランドが、この度発するメッセージが、「RIDING IS THE ANSWER」というものだ。合わせて公開されたフィルムにそれが表現されている。と同時に、ラファというブランドの今後の展望までも透かし見ることができるものになっている。

フィルムはロス・アンジェルスの街中からスタート。渋滞をすり抜ける自転車、仲間たちと落ち合い郊外の自然の中へ走っていき、最後は気持ちの良い山の上で街を見下ろす場面で終わる。この1分半ほどのフィルムのメッセージは明快だ。動画に添えられた説明文にはこうある。「サイクリングは私たちの生活を変えると信じています。個人的あるいは社会的な問題を解決するものであり、強さや友情を形作るものであり、探検と同義語であり、物事を発見できるツールであるからです。ライディング・イズ・ジ・アンサー」

Rapha_riding_is_the_answer

この宣言と動画をみると、これまでロードレースを通じ「苦痛」や「栄光」といったキーワードでピュアスポーツとしての側面にフォーカスしてきたラファが、より人々の生活に近く、型にはまらない自転車の魅力を伝えようとしていることがわかる。乗るバイクや服装、乗る距離といった外面上のことよりも、乗ることそのものが気晴らしになり、個人的なストレス解消になり、人とつながる社会性を秘めているといった内面的なところに焦点を当てている。また社会全体にとって、自転車が、渋滞と無縁で、二酸化炭素排出もない移動手段として、環境問題のソリューションとなりうるものであることにも気づかされる。

キャンペーンのページでは、フィルムでフィーチャーされた5名がそれぞれの自転車との関わり、いかに自転車が自分の生活に作用しているかを語っている(日本語字幕あり)。

ラファはこのキャンペーンを通じ、1年に渡りサイクリングのもつ、人の生活を変えうるポテンシャルをプッシュする。特定の製品やイベントをプロモーションするのではなく、「自転車に乗ること」を促進するラファの姿勢は、まさにライフスタイルブランドとしての立ち位置にいることを示している。メッセージは、これまでスポーツ自転車に乗ったことのない人がサイクリングと出会うためにも発信していくという。

Rapha_riding_is_the_answer

その具体的な活動として日本では7月に、東京と大阪で初の試みとして、完全初心者向けのイベントが企画されている。これは、サイクリングに興味はあるけれど、何から始めればいいかわからない人を対象とするもので、これまで比較的コアなサイクリスト向けのイベントが中心だったラファにとってまったく新しいアプローチとなる。イベントの詳細はRapha JapanのTwitterで発表される予定だ。

ラファの変化とこれから目指す方向性

おそらく、3年前のラファではGジャンを腰に巻いたTシャツ姿のライダーがフィルムの中心になることはなかっただろう。走っている道も、街中から未舗装路の登りまで、おおよそ道ならどこでも走ろうじゃないか、という姿勢がうかがえる。ライダーが誰も苦痛に顔を歪めない、動画全体の楽観的な雰囲気(西海岸的、と言い換えられるかもしれない)は、ブランドの新しい方向性を示している。それは、自転車というものは型にはまらずに楽しめて、乗れば必ずポジティブな気持ちになる、ということのラファ自身による再確認であると同時に、サイクリングの価値をより高めるための挑戦でもある。

サイクリングに限らずランニングやヨガなど、どんなスポーツやフィットネスでも、やった後には満足しか残らないことは、実践したことのある人ならわかる感覚だろう。「すごくいい」から人にも勧めたくなるのだけど、その良さをうまく伝えるのが難しいこともまた、多くの人が共感できるのではないだろうか。感覚的なものであるこの「すごくいい」を、あらゆる方法で伝えようとするラファの試みに今後も注目したい。そこには、スポーツ人口を増やすためのヒントがあるかもしれない。

Rapha_riding_is_the_answer