先日東北北部も梅雨入りし、全国的に雨の多い季節となりました。アウトドアにおいてはいよいよレインウェアが活躍するシーズンの到来です。

というわけで、今回のMARK GEARは2018年シーズンRun boys! Run girls!注目のレインウェアを紹介しようと思います。

紹介の前に、まずトレイルランニングのレインウェアに求められる3つの大きな要素を考えてみます。この要素を把握することが、レインウェアの特徴を理解することに繋がるからです。

MARK GEAR

photo by Shimpei Koseki

1)耐候性(=雨風をしっかりしのいでくれるか)
雨はもちろんのこと、風や気温の変化から体を守ること。それがレインウェアの一番重要な役目です。

2)快適性(=着て動いた時に不快感が少ないか)
雨を防いでも蒸れや汗で体が濡れてしまっては結局同じことなので、着用時の快適性も非常に重要な要素。耐候性と快適性の両立は、アウトドアのレインウェアがこれまでずっと追求してきている課題で、快適性は主にレインウェアの透湿性能や構造からくる着心地により左右されます。

また、動きが激しくなるトレイルランニングでは、他のアクティビティより蒸れや発汗が起こりやすいため、透湿性、着心地がより意識されるのはもちろんのこと、動きを妨げない生地の伸縮性(動きやすさ)も快適性の重要な要素となります。

3)携行性(=持ち運びしやすいか)
トレイルランニングでは、走るために装備をできるだけ軽量かつコンパクトに納める必要があります。どんなシチュエーションであろうとレインウェアは装備にあるべきですので、携行するレインウェアも軽量かつコンパクトになることが求められます。

この3つの要素ですが、実は全てをハイレベルで成り立たせるのがなかなか難しく、特に携行性(軽さ)は他の二つの要素とトレードオフになりがち。ただ、だからこそ3つの要素のバランスをいかにとるかにレインウェアの特徴が現れてきますし、この3つの要素を同時に満たしうる新たなテクノロジーが登場するとレインウェアが一気に進化します。それがギア好きにとってはとても面白いんですよね。

こういった要素や背景を踏まえながら、今日は3つの特徴的なレインウェアを紹介します。

OMM / HALO SMOCK・JACKET

MARK GEAR
MARK GEAR

特徴
・軽い!とにかく軽い!!ウインドシェルより軽い!!
・コストパフォーマンスが高い!

こんな人におすすめ
・既にレインウェアを持っているが、荒天のリスクが低い状況で携行しやすい軽量レインウェアを探している人
・山の経験が豊富で状況に応じたアイテム選択ができ、その上で超軽量なレインウェアを選択したい人
・標高の高いエリアや長時間のトレイルデビューはまだ先だが、近場のトレイルやちょっとした天候の変化に対応できるレインウェアを探している初心者の人
・ロードランニングでポケットに入れて持ち運べるレインウェアを探している人

販売ページ
HALO SMOCK http://shop.rb-rg.jp/?pid=130543551
HALO JACKET (M’s) http://shop.rb-rg.jp/?pid=130029465
HALO JACKET (W’s) http://shop.rb-rg.jp/?pid=130543436

OMMから今シーズン発売されたHALO(ヘイロ) SMOCK・JACKETは、ハーフジップのスモックタイプで95g、フルジップのジャケットで105g(共にMサイズ)と超軽量なのが売りです。多くのトレイルランナーに愛用されているウインドシェル、patagoniaのhoudini jacketが105gと言えば、このレインウェアの軽さがより伝わるでしょうか?とにかくアウトドアのレインウェアが100g以下の重量に突入したというのは、日本の陸上競技の100m走において9秒台が出たくらいインパクトがある出来事なのです。

MARK GEAR

95GRAMS!!

ちなみに、100gを切るレインウェアというのは既に他ブランドにも1モデル存在するのですが、そのモデルが35,000円なのに対して、HALOはスモックで17,000円、ジャケットで19,000円というめちゃくちゃ優れたコストパフォーマンスも魅力です。

ただし、先にも触れたように、軽さと耐候性・快適性はトレードオフになりがち。このHALOは、耐水圧10,000mmと防水素材自体の耐候性は必要十分であるものの、表地の薄さ軽さから、表地にしっかりとした生地を使った他のレインウェアと比べると耐候性は落ちます。

また、透湿性は10,000 gsm/24hr と必要最低限のもの。構造も2.5レイヤー(裏地がなく代わりにラミネートプリントが施されたもの)なので、蒸れ感や肌への張り付きも感じ、他のレインウェアに比べると快適性は高くありません。

と言いつつ、裏地がないということはデメリットばかりでもありません。裏地があるものに比べてコンパクトに畳むことができるという利点もあります。実際、このHALOは畳むとテニスボールサイズ大になるため、軽さと合間ってとにかく携行性が高いです。トレイルだけでなく、天気が崩れそうなロードランニング時にポケットに入れて持ち運ぶなんて使い方もいいでしょう。

また、裏地は着心地の良さには貢献しますが、一旦濡れると保水し、重くなったり体を冷やしたりします。裏地がないウェアは内側が保水しないため、重くなりにくかったり、拭いたりすることによって濡れてからのリカバリーがしやすいという利点があります。

その他の詳細に関しては、ポケットを排する潔さを持ちつつも、サムホールがついていたり、バラクラバ状のフードはフィット感が高かったり、腰回りのフィット感が調整できたりと、ランニングへの気配りを感じることができる細部も好感が持てます。闇雲に軽量化をしているわけじゃないんですね。

MARK GEAR
MARK GEAR

トレイルランニングに出かける際は、イージーと思われるエリアでも、雨が降る可能性が低くても、レインウェアは携行すべき。その観点から行くと、携行性が超高くてコストパフォーマンスに超優れるこのHALOシリーズは、常にトレイルランナーのザックに常備しておくのにぴったりなレインウェアと言えるでしょう。

THE NORTH FACE / APEX GTX Trail Hoodie

MARK GEAR

特徴
・GORE-TEXの持つ耐候性・耐久性とストレッチ性が両立されたジャケット
・元々伸縮性の少ないGORE-TEXに伸縮性が付加された画期的なプロダクト
・ウェアのデザイン性が高い

こんな人におすすめ
・さまざまなシーンで使えるレインウェアを探している人
・レインウェアにある程度の安心感を求める人
・同時に動きやすさも求める人
・クールでデザイン性の高いウェアが好きな人

販売ページ
http://shop.rb-rg.jp/?pid=129528318

続いて紹介するTHE NORTH FACE / APEX GTX Trail Hoodieは、耐候性と快適性を高いレベルで両立したウェアです。

ベースとなるのは、GORE-TEXのC-Knit™Backer。C-Knit™Backerテクノロジーというのは、耐久性、防水性、防風性が実証されている GORE-TEX メンブレン(=レインウェアの防水機能を司る防水膜のこと)と非常に薄く、密でありながら軽い、丸編みニットと貼り合わせた構造のこと。

これまでの3層GORE-TEXファブリクスと比べて、最大10%軽く、透湿性も最大15%向上しているだけでなく、ニットの裏地が柔らかな肌触りを与え、すべりがよいため、着心地が非常に良いです。

MARK GEAR

出典:https://www.gore-tex.jp/technology/outerwear/gore-cknit-backer-technology

また、GORE-TEXというと、防水性は高いものの透湿性においてはスペック的にも体感的にも、他社の防水透湿メンブレンである、eVentやNeo Shellの後塵を拝している印象でしたが、このC-Knitに関してはスペックこそ非公開ながら、着用するとeVentやNeoshellと肩を並べる透湿性を感じることができます。

つまり、GORE-TEXのC-Knit™Backerというのは、GORE-TEXプロダクトの中でも透湿と着心地という快適性にフォーカスしたプロダクトなのです。ちなみにこのプロダクト、透湿性を向上させるために表地の生地を13Dという薄手の生地にしています。これらは一般的な登山用のレインジャケットの表地と比べると薄くはあるのですが、トレイルランニングに用いられるような軽量レインシェルの表地としては一般的な薄さで、個人的にはトレイルランニングにおいて十分安心感を感じられるものだと思っています。

ちなみに、ここからが一番重要な部分。このジャケットの一番の売りはGORE-TEXながらストレッチ性があることなんです。今ではストレッチ性のあるレインウェアはさほど珍しくなくなりましたが、ことGORE-TEXにおいては素材の特性上、伸縮性のあるウェアがありませんでした。安心感がある代わりに少しゴワゴワしている、GORE-TEX製品にそんなイメージを持つ方も少なくないかもしれません。

しかし、このAPEX GTX Trail Hoodieは、GORE-TEX Fabric with Stretch Technologyを採用。これは網の目状になった非常に伸縮性の高いファブリックで、このファブリックを脇から背中部分にかけて配置されています。

また、ウェアそのものが人間工学に基づいた立体パターン設計されているため、腕の動きなどが非常にスムーズに行えます。メーカー的にも「今までにない高次元な運動性を実現しています。」と表現していますが、実際に着用してみてこの言葉も大げさではないなと感じました。とにかく着心地や動きやすさは従来のGORE-TEXプロダクトとは全く別物。感動的ですらあるので、是非皆さんに試着をしてほしいです。

MARK GEAR

出典:https://www.gore-tex.jp/stretch (イメージ図 実際の商品ではありません)

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この2枚の写真を比べると、生地の伸縮性の高さがわかってもらえるかと思います。

また、このファブリックのおかげで、袖からお腹周りのフィット感も格段に向上。動きやすさだけでなく、ウェアのばたつきも抑えられています。これはランナーには非常に嬉しいポイント。

ということでAPEX GTX Trail HoodieはGORE-TEXの耐候性をベースにしつつ、透湿性、着心地、伸縮性という、先にあげた快適性の3要素を全て満たすナイスなジャケットなのです。

オリーブのカラーやオフセットしたジップもクールな印象でよし。個人的には品質、デザインがかなり高いレベルでバランスのとれたレインウェアだと思っています。

重量はMサイズで実測290g。ここに関してはちょっと重めかなとは思いますが、耐候性、快適性のクオリティを考えるとまぁ悪くないかなと。

お値段は39,000円とトレイルランニング用のレインウェアにしてはやや高めですが、一着で長時間のレースからファストパッキングまで使えるオールラウンドなウェアですし、金額に見合った快適性も得られるので、メインの一着として奮発する価値はあると思いますよ。

THE NORTH FACE / M’s HYPERAIR GTX HOODIE

MARK GEAR

特徴
・耐候性、快適性、携行性が高いレベルでマッチした画期的なプロダクト
・ベスト型ザックの上から羽織ることを前提としたトレイルランニング専用デザイン
・メンブレンが露出した状態なので耐久性に関しては注意が必要

こんな人におすすめ
・万能というよりエッジの立ったギアが好きな人
・メリットの裏側にあるデメリットも含めてギアを使える人
・新しいテクノロジーが好きな人

販売ページ
http://shop.rb-rg.jp/?pid=129339045

最後に紹介するのは、昨年冬に発売されたTHE NORTH FACE / M’s HYPERAIR GTX HOODIE。先ほどに続きTNF製品の紹介ですが、こちらもとても面白いテクノロジーである、GORE-TEX SHAKEDRY™ Technology を採用しています。

と、この製品のことを語る前に、少しレインウェアの構造について話させてください。

完全防水と言われるレインウェアは数多くあります。この記事を読んでいる皆さんも着用経験がある方が多いでしょう。ただ、「あれ、このウェア、完全防水のはずなのに濡れている気がする」と感じたことありませんか?

また、防水ウェアは透湿性能がセットになっているのですが、「言うほど透湿性能を感じない、結構蒸れてる気がする」と思ったことはありませんか?

これらの現象は、レインウェアの構造によって引き起こされています。

我々がトレイルランニングで使用する大半のレインウェアの防水透湿性能を司っているのは、メンブレンと呼ばれる防水膜です。ただしこの素材は耐久性が弱いため、基本的にレインウェアで使用される際にはメンブレンの外側にナイロンなどの表地が貼り合わされて使用されます。

MARK GEAR

出典:https://www.gore-tex.jp/technology/gore-tex-laminate

しかし、この表地を貼ることによって、妨げられるものも色々あります。表地の撥水性の許容値を超えて雨に濡れると表地は保水してしまうのですが、このことによって、メンブレン自体を雨が通過しなくても着ている人は濡れているような感じや体の冷えを感じるようになりますし、表地が濡れる事で、ウェアの透湿性能も落ちます。「あれ、なんか濡れてる気がする」「結構蒸れてる気がする」って言う原因は大体この事に起因します。

じゃあ、いっそのこと表地取っちゃおうぜ!と言うのが、GORE-TEX SHAKEDRY™ Technologyなんです。表地なし、メンブレンと裏地の2層構造と言う大胆すぎる発想の転換。メンブレンそのものは保水しないので、雨に降られても濡れ感を感じることがないし、透湿性が下がることもなければ、むしろ表地がなくなることで通常の透湿性も向上します。さらに表地を排する事で圧倒的な軽量化ができる。あれ、これって今までレインウェアが抱えてた様々な問題を一気に解決するテクノロジーなんじゃないの?

MARK GEAR
MARK GEAR
MARK GEAR

出典:https://www.gore-tex.jp/technology/outerwear/gore-tex-active-products/shakedry-product-technology

ただ、ちょっと待ってください。そもそもなんで表地が付いていたかを思い出してみましょう。そう、メンブレンを保護するためです。SHAKEDRYの生地はメンブレンがむき出しの状態。快適性を高めたのと引き換えに、ザックや岩場、藪などでの摩耗に対する耐久性がとても落ちています。

そんな状況下で、この画期的なテクノロジーをなんとかトレイルランニングに活用できないかと開発されたのが、HYPERAIR GTX HOODIEです。ザックを背負って摩耗するなら、いっそのことザックの上からウェアを羽織ればいいんじゃん?と言う逆転の発想から生まれたのがこのウェア。まるで「ご飯がなければお菓子を食べればいいじゃない」的な感じ(ちょっと違う)。

MARK GEAR

フル装備のザックの上からHYPERAIR GTX HOODIEを着用

とはいえ、この発想が奇抜だったかと言うと、少なくともトレイルランナーに取ってはそうではありませんでした。頻繁なザックの着脱を嫌うトレイルランナーにとって、ザックの上からシェルを羽織ると言うのは一部ではよく知られたテクニックだったからです。

また、ここ数年でトレランザックの主流となったベスト型ザックは、フロント部分にフラスクやボトルを収納するパターンが多いのですが、このウェアは胸部分にジップが付いていて、フロントボトルに直接アクセスできます。またこのジップはベンチレーションとしても使用することができ一石二鳥。

MARK GEAR

兎にも角にも、GORE-TEX SHAKEDRY™ Technology をうまく生かそうとして試行錯誤した結果、トレイルランニングにかなり特化したジャケットになったのが、このHYPERAIR GTX HOODIEです。

弱点は、先にもあげたように、表地がない分取り扱いがデリケートになること、表地があるレインウェアに比べて肌に雨がダイレクトに乗っているように感じること、トレイルランニング以外で使いづらいこと、メンブレンそのものに着色ができないためカラーバリエーションが無いことなどがあげられますが、このウェアから得られるメリットを考えたらさほど大きな問題でもないように感じます。

お値段はAPEX GTX Trail Hoodieと同じ価格帯の38,000円ですが、こちらもテクノロジーや利便性を考えると納得のいく価格だと思います。

重量は、Mサイズで190g。超軽量とまでは行かない重さですが、胸のジップや両サイドのポケットなどを備えてこの重さと言うのは、かなり軽いと言えるのでは無いでしょうか?

ちなみに、2016年にArc’teryxから販売されたSHAKEDRY(当時はPERMANENT BEADING SURFACEと言う名称だった)採用第1号モデルは120gの超軽量モデルでした。そこから考えると、TNFもそれくらいの超軽量モデルを作れたはずですが、あえてそうせずトレイルランニング時の利便性に重きをおいたと考えることができます。

クセがすごいけどそれでも着てみたくなるレインウェア、それがHYPERAIR GTX HOODIEです。

2018年ランボー的注目レインウェア特集、いかがでしたでしょうか?是非この機会にあなたも気になるウェアをチェックしてみてください!

最新情報
2018/6/20(水)
「LTR (Learn To Run) 実践編#6」
毎月開催のランニング講座LTR。今月のテーマは筋力アップのトレーニングについて
LUNA SANDALSの試しばきもありますよ。
http://rb-rg.jp/?p=6555

2018/6/22(金)
「Trails In Motion 6 @ Run boys! Run girls!」
毎年開催のトレイルランニングムービーフェスティバル、
RBRGでの本年度第2回目の上映を開催します。
http://rb-rg.jp/?p=6520

2018/6/31-7/1
「Trail Butter Mix ~ロングディスタンスハイカーの食生活~」@ Hiker’s Depot
Hiker’s Depot さんにて、ロングディスタンスハイカーの食生活に
スポットを当てたトークイベントを開催します。
https://trailbutter.jp/news/310/

2018/6/31-7/1
「LIFE SPEC CO-OP」@ ID 世田谷ものづくり学校
ALL YOURS さん主催のイベントに、Run boys! Run girls! / Trail Butter で出展させてもらいます。その他の出展者も豪華ですよ!
https://www.facebook.com/events/1646900705426324/

ショップ情報
Run boys! Run girls!
Run boys! Run girls!(ランボーイズ!ランガールズ!)
住所 101-0032 東京都千代田区東神田1-2-11 アガタ竹澤ビル404
TEL 03-5825-4534
営業時間 12:00〜21:00
定休日 不定休
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