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(動画 上原源太 / 写真 渡辺宏樹 / 文 大草朋宏 / 協力 THE NORTH FACE

舞台を中心に活躍している若手俳優の清水一輝さん。彼は、毎日走っている。取材時の清水さんは、1日10kmを100日間、毎日走るというトライアルの最中だった。なぜ、こんなストイックな走り方をするのか。話は走り始めた3年前まで時間を遡る。ランニングやトレーニングについて熱く語る、まっすぐに見据える力強い目が印象的だった。

「奈良にいた中学生の頃から、ずっと憧れていたロックバンドのボーカルの方がいました。上京してなんとか会うことができ、自分を認めてもらいたいと思いましたが、役者としての自分はまったく何も成し遂げていない。そこで、その方が毎日走っている事を知っていたので、僕も毎日10キロ走ると宣言し、台風であろうが体調が悪かろうが、1日も欠かさず走りました。そして、年末にその方がまだ走ったことのない”100キロ”を1人で走り切り、その記録を僕の想いとして渡しました」

なかなかの熱さを持っていた、走り始めた経緯。自分でも言うように、当時は役者として何者でもなかった。直接的にこれをやれば「演技がうまくなる」なんてものはない世界。そこで彼の思考が辿り着いたのは、自分の一番嫌いなことを継続してみることだった。

「昔、野球をしていたものの、正直いって走ることはすごく嫌いでした。極力、走ることを避けてきた人生ともいえます。しかし、バンドとして成功している憧れの人は、毎日10km走っているという。夢を実現している人が毎日やっていることを、自分ができなかったら、夢なんて叶うわけはないと思ったんです」

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そう思って挑戦することにした条件は、123日間、1日10kmを50分以内で走るということ。走るのが嫌いだという青年がスタートさせるには、少々ハードルが高い。

「走り始めた当初は、“朝起きて走りたくない”とか、“毎日走って、何の意味があるんだろう”と疑問に思うことも多々ありました。しかし、なんとか123日間走り通すことができて、かなり自信がつきましたね」

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清水さんは、この期間を決めて集中して走るというやり方で、今も走っている。“集中”といっても、100日間とか123日間であるから、かなり長い。肉体と同時に、精神的な負荷をかけることが、主たる目的なのだ。現在では「PRIDE RUN」と名付けて、仲間と同じ日程で走っている。毎日の成果を共有し、高め合い、糧とすることでがんばれるから。良くないことがあったときなどは、すぐに走りに行くという。

「走ることと生きることは、絶対につながっていると思います。上り坂で歩きたくなるのも人生と似ているし、そこで歯を食いしばって走りきるのも、人生と同じ。そう思いながら、祈るようにして走っています。走っていない人には大げさに感じるかもしれませんが、走っている人には共感してもらえるのではないでしょうか。」

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走るうちに見えてきた、身体のこと、身体の内側のこと。

まずは修行のようにがむしゃらに走っていた清水さん。しかし次第に、走ること自体の魅力に取りつかれていったようだ。

「身体が慣れてくると、もっとスピードを出したくなってきます。腕の振り方や肩甲骨の回し方など、身体のよりよい使い方を調べるようになりました。すくなくとも身体は正直に反応しているのだと思います」

同じように、次は身体の内側にも意識がいくようになった。

「最初は、サプリメントやアミノ酸を取ることから始めたのですが、そもそもの食生活も見直すようになってきました。グルテンフリーに挑戦したり、乳製品を控えるようにしたり。頭の回転もよくなった気がしますよ」

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毎日走るための機能的で快適なウェア

走るときは、基本的に軽くて薄いウェアで走るという。しかしパンツはやや厚めでしっかりしたもの、そしてポケットが付いているものを選ぶという。

「腕にスマホをつけたり、小さなバッグを持つのが邪魔に感じてしまうので、パンツのポケットに最低限のものを入れて走りたいんです。サイドポケットにスマホを入れると走っている最中にゆれてしまうので、ヒップポケット付きがベストですね。あとは、夜に走ることが多いので、リフレクター付きもほしい。単純にかっこいいですし」

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着用アイテム:ジャケット WS Flash Jacket [NP11873] ¥19,000 COLOR:K / ボトムス Flash Short [NB41875] ¥7,900 COLOR:GG / キャップ TNFR Mesh Cap [NN01879] ¥5,300 COLOR:K / シューズ Ultra Velocity [NF51706] ¥11,800 COLOR:KW

身体が資本の舞台役者。トレーニングは欠かせない。

走っていることで、当然、身体が締まってくる。すると、舞台役者としてはいいことづくめだ。全身を見られているので、立ち姿も自然と凛々しくなるだろう。

「特攻隊の役をやったときは、上半身裸のことが多かったので、かなり引き締めましたね。走っていると動きのキレが違ってきます。精神的にも、ミスが許されない舞台という緊張感のある世界で、自信を持つことができるのは、毎日走っていることからつながっていると思っています」

ランニング以外にはボクシングジムにも通っている。UVERworldのミュージックビデオにボクサー役で出演することになり、そのレッスンに通っているうちにハマってしまった。清水さんの性格のこと。中途半端に終わらせることはできないようだ。

「役作りをしていたときは週5回くらい通っていました。やるからにはやり切りたいと思っているので、プロテスト合格が僕なりのゴールです。今はまだ、スパーリングをしても、速過ぎてまったくついていけません(笑)」

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着用アイテム:トップス S/S Ambition Crew [NT11877] ¥5,900 COLOR:SB
/ ボトムス Ambition Short [NB41884] ¥8,900 COLOR:UN / シューズ Ultra Velocity [NF51706] ¥11,800 COLOR:KW

ボクシングにしても、ランニングにしても、常に全力、一生懸命。男くささがほとばしる。「ランニングで人生が変わった」と言い切る清水さんは、一方で「ランニングをやめてしまうと、自分の人生も止まってしまう気がする」という。

「ランニングは一番奇跡が起こらないスポーツだと思います。本当に自分の努力次第。だから僕みたいな投げだしがちな人間がコツコツと継続すれば、何かが見えてくるかもしれないし、自信にもなります」

清水さんにとって、走ることとは、甘かった過去の自分に対して「今に見てろ」という言葉を叩きつけること。走ることは本当に彼の人生を変えた。もう生き様なのである。

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清水一輝
1992年5月8日生まれ。奈良県出身。舞台を中心に活躍する若手俳優。MVやCMなどにも出演。昨年から、自ら舞台をプロデュースし、2018年7月上旬にも上演を予定する。日課で1日10kmのランニングを続けているほか、2016年には1人で皇居100キロマラソンを敢行し、11時間25分で完走。

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