ナイキがフルマラソン2時間切りを果たすべく始動したプロジェクトBreaking2で生み出されたナイキ ズーム ヴェイパーフライ エリートナイキ ズーム ヴェイパーフライ4%が2017年以降のマラソンレースの表彰台を席巻しているのは既報の通り。そして、昨年5月にそのBreaking2において非公認ながら2時間25秒でフルマラソンを走りきったエリウド・キプチョゲ選手がロンドンマラソン2018で優勝を果たしました(2時間4分17秒)。その足元で驚異的な走りを生み出していたのがナイキ ズーム ヴェイパーフライ エリート フライプリントという最新シューズ。果たしてその真価とは?

ナイキ ズーム ヴェイパーフライ エリート フライプリント

ナイキ ズーム ヴェイパーフライ エリート フライプリントが生み出されたきっかけは、2017年9月のベルリンマラソンに遡ります。ベルリンの世界屈指の高速マラソンコースを走ったエリウド・キプチョゲ選手は、大雨と湿度99%という環境に負けることなく、42.195キロを誰よりも早く走り抜けました。しかし、彼が目指した世界記録には届きませんでした。

ナイキ ズーム ヴェイパーフライ エリート フライプリント

その理由のひとつにその時履いていたナイキ ズーム ヴェイパーフライ エリートが水を吸い、シューズが重くなったことが問題であることがわかりました。そこでナイキのデザイナーたちはソール部分はそのまま維持しながら、新しいアッパーの開発に着手。そこで、実験を行なっていた機能的な3Dプリントを活用したアッパーの採用が考えられました。

「ナイキはこの10 年以上、3Dプリントを取り⼊れ、進化させる⾯においては業界内でリーダー的な役割を果たしていると考えています。しかしながら、これは舞台裏の試作品製作に使われることが多かったのです。最近ではチームが新型の3D プリンターに「⼿を加え」アッパー素材をプリントするというアイディアの探求を⾏なってきました。同僚の机の上にあった初期の試作品を⾒た時、私はそれを借りてある⽇の午後に⾛ってみました。まだ完成には程遠いものでしたが、軽さ、通気性とこれまでのものとは全く異なる履⼼地にとても興味を覚えました。それからまもなくして、エリウド・キプチョゲのもっと軽い、もっと通気性の⾼い、先⽇のベルリンマラソンのような悪天候にも対応できるものがあったらよかったという希望を聞きました。そこからアイディアが動き始めたのです。」(ブレット・スクールミースター/ナイキ ランニング フットウエア シニア ディレクター)

ナイキ ズーム ヴェイパーフライ エリート フライプリント
ナイキ ズーム ヴェイパーフライ エリート フライプリント

ナイキ ヴェイパーフライ エリート フライプリントの最終盤のフライプリントアッパーはTPU(熱可塑性ポリウレタン)を複数の層に重ねて印刷して作られています。記録されたアスリートのデータをコンピューターデザインツールで解析され、素材の理想的な構成が確定され、最終形に落とし込まれるので、アスリートや、求められる機能に合わせて全く異なるプリントを作れるというフライプリント技術の汎用性と、デザインプロセス全体のペースの速さを実現しました。

何よりこのフライプリントにより、ナイキ ヴェイパーフライ エリートより11gも軽量化することに成功しているのも注目すべき点です。

「ナイキ ヴェイパーフライ エリート フライプリントは、Breaking2でエリウド・キプチョゲが着⽤したナイキ ヴェイパーフライ エリートよりも11g軽くなっています(男性⽤US サイズ10、⽚⾜)。ナイキ ヴェイパーフライ エリートの男性⽤USサイズ10は⽚⾜が180gでナイキ ヴェイパーフライ エリート フライプリントはたった169gです。180gで11g軽くなるということは、6.1%軽量化されたということです。さらに注⽬すべきは、科学的研究によると、⾜にかかる重さが100g 軽くなることにより、ランニングエコノミーが1%⾼くなるとされています。つまりこのアッパーを⽤いることで、ランニングエコノミーをさらに0.1%改善することができるということです。さらに、シューズは昨年のベルリンマラソンのような悪天候のレースになっても、⽔分によって重くなることがほとんどありません。⽔分がシューズの中を素早く通り抜け、アッパーに吸収されることがありません。」(ブレット・スクールミースター/ナイキ ランニング フットウエア シニア ディレクター)

また、今回のナイキ ヴェイパーフライ エリート フライプリントキプチョゲ選手自身の強力を得て生み出されているのもトピックスのひとつです。ナイキのデザイナー達はいくつかの試作品を矢継ぎ早に作り、キプチョゲ選手はいくつかのバージョンを履くことで、走った感触をフィードバックしていきました。

ナイキ ズーム ヴェイパーフライ エリート フライプリント
ナイキ ズーム ヴェイパーフライ エリート フライプリント

「去年ずっと使っていたナイキ ヴェイパーフライ エリートのソールはとても素晴らしいです。地⾯の衝撃を全て吸収してくれます。それがまず⼀つ⽬。⼆つ⽬は、このようなタイプのシューズの内部の仕組みのおかげで、とてもはやくリカバリーできます。リカバリーが早くできるというのは、この靴のすごいところです。 そしてまた、エンジニアの⼈が新しいものを持ってきてくれました。このシューズは、⾬の中でマラソンを⾛る状況への対応をしっかりと考えてくれています。これは最⾼にいい点で、このシューズは全く⽔を吸わないのです。私にとってもほかのランナーにとっても、あまり⾛りやすいとは⾔えない天候の時期に⾛る時にとても助かります。」(エリウド・キプチョゲ)

ナイキ ヴェイパーフライ エリート フライプリントで走った感触を「まるで⾶んでいるかのような感じです。地⾯に⾜を踏む時に、筋⾁の痛みもなく、全く衝撃を感じません。だから⾶んでいるようなんです。靴の中を⾵が通り抜けるように感じて、これは他にない感覚です」と絶賛したキプチョゲ選手はこれを履いてロンドンマラソン2018優勝という結果を残したのです。

ちなみに、そのロンドンマラソン2018の上位選手に着目すると、Breaking2というプロジェクトが生み出したシューズがいかにフルマラソン2時間切りを手繰り寄せようとしているのかがわかるはずです。

ロンドンマラソン2018結果
<男子>
1. Eliud Kipchoge (KEN) 2:04:17 – Nike Zoom Vaporfly Elite Flyprint
2. Tola Kitata (ETH) 2:04:49 – Nike Zoom Vaporfly 4%
3. Mo Farah (GBR) 2:06:21- Nike Zoom Vaporfly Elite
4. Abel Kirui (KEN) 2:07:07 – Nike Zoom Vaporfly 4%
5. Bedan Karoki (KEN) 2:08:34 – Nike Zoom Vaporfly 4%
6. Kenenisa Bekele (ETH) 2:08:53 – Nike Zoom Vaporfly Elite
7. Lawrence Cherono (KEN) 2:09:25 – Nike Zoom Vaporfly 4%

<女子>
1. Vivian Cheruiyot (KEN) 2:18:31 – Nike Zoom Vaporfly 4%
2. Brigid Kosgei (KEN) 2:20:13 – Nike Zoom Streak
3. Tadelech Bekele (ETH) 2:21:40 – Nike Zoom Vaporfly 4%

ナイキ ズーム ヴェイパーフライ エリート フライプリント
ナイキ ズーム ヴェイパーフライ エリート フライプリント

「現在、フライプリントやそのほかの3Dプリントの試作品を、今年1 年の間により多くのアスリートのために展開する⽅法を検討しています。2019 年にはこのイノベーションをほかのインラインモデルの⼀部にも展開していく予定です。(⽇本未発売)」(ブレット・スクールミースター/ナイキ ランニング フットウエア シニア ディレクター)

以上のように、フライプリントをはじめ最新の3Dプリントを採用したシューズを手にするのはもう少し先になりそうですが、引き続きBreaking2プロジェクトからは目が離せません。