設楽悠太選手が16年ぶりに日本記録を塗り替え、大いに盛り上がった今年の東京マラソン。東京の観光スポットがコースになっていることはもちろん、コース変更があってから高速タイムが出せるということもあり、世界を代表する人気レースになっている。レース2日前、中目黒の銭湯には多くの外国人市民ランナーが集まった。目的は、東京を拠点にするランニングチーム「ATHLETICS FAR EAST(以下、AFE)」といっしょに走ること。ランニングを通じて広がる世界を追った。

(写真 古谷勝/ 文 小泉咲子)

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AFEは、ファッションブランドのディレクターを務めるDKJさんが立ち上げた。今でこそ市民ランナーが主体となったランニングチームが多数存在するが、彼らは先駆けともいわれる存在だ。Facebookでは100人ほどがメンバー登録されており、週1回の活動日に「来ても来なくてもOK」とルールはかなり“ユルい”。拠点にする中目黒の銭湯から渋谷の街を走って戻るのがコース。ペースは6min/kmとゆったりだが、実はメンバーにはシリアスランナーも少なくない。彼らが参加するのは「楽しいから走る」という、いたってシンプルな動機だ。ベストタイムによる力関係など存在しない。全員がフラットに、走る楽しさを存分に味わうのがAFEの在り方だ。

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この日は、東京マラソンを前に、海外からのゲスト参加者が半分を占め、ランニングシューズ「ナイキ エピック リアクト フライニット」を履いて走る。メンバーもゲストも互いに初対面の人ばかり。ランを通じた出会いやコミュニケーションを楽しんでいた。「どこから来たのか」「どの国でフルマラソンを走ったことがあるのか」「どんなシューズを履いてるか」。ランという好きなことを共通項に持つもの同士、会話も弾む。

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「そもそもは、僕がロンドンオリンピックの前年に行われたプレ大会で、外国人ランナーたちと繋がりを持って、旅先で現地に住むランナーといっしょに走るようになったんです。どの国に行っても、知っているランナーがいる状態で、観光のアテンドをしてくれることも。ランニングクラブのカラーにもお国柄が出るんですよ。パリはオシャレだし、韓国はビシッと管理が行き届いている感じ。NYは、自由ですね。それぞれのタイミングで走り出して、突然ギャラリーに寄って、適当に終わるみたいな(笑)。各国のランニングチームが、大会前に今日みたいなイベントをやっていて、東京ではAFEがオーガナイズしようということで始めました」(DKJ)

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ランが可能にするグローバルコミュニケーション

参加者の出身地を尋ねると、デンマーク、ドイツ、カナダ、スペイン、オランダ、韓国や中国とさまざま。ヒジャブをつけたマレーシア人女性の姿もあり、国籍も性別も宗教も多様。「自分が出た香港マラソンにAFEメンバーがいて、このイベントはSNSで知った」など、参加理由もグローバルだ。

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金曜の渋谷の街は、いつもにまして人が多かったが、「これこそが東京!」とばかりに、スクランブル交差点での記念撮影は、外国人ランナーは一様にテンション高め。「ふだんは自然の中を走っているんだけど、ライトが派手に光る街中を走るのも刺激的でクール!」とデンマーク人男性。ラン後に、AFEが拠点とする銭湯に入れるのも外国人にとっては新鮮だったようだ。銭湯初体験のスペイン人の男性は「気持ちよかったよ。裸になるのも全然気にならなかった」と話してくれた。

この日は、「ナイキ エピック リアクト フライニット」の試し履き会も兼ねていた。このイノベーションシューズを初めて履いたデンマーク人男性は、2時間36分という驚異的なベストタイムの持ち主。「柔らかくて、クッション性もあっていいね」とその感触に満足そう。

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AFEメンバーの濱田宰史さんは、東京マラソンに向けての30km走で、「ナイキ エピック リアクト フライニット」を試した。「ソールが硬すぎず柔らかすぎず、ものすごく僕好み。軽いので長距離を走っても負担にならなかったし、締め付けも適度で、相性の良さを感じました」

そこで濱田さんは「ナイキ エピック リアクト フライニット」で本番のレースも臨む事を決意。自己ベストを目指した。今でこそ、サブ3.5が目標のランナーだが、そもそも自分がフルマラソンを走ることになるとは想像もしていなかったという。

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「ランニングに対しては、孤独でたいして面白くないイメージでした。でも、チームに入って走るようになって、ランニングは個人競技でありながらチーム競技でもあるんだと気づいたんです。ひとりじゃないから続くし、フルマラソンにも出てみようとまで思えました。AFEは実家がある福岡にもチームがあるので、地元に戻ってもメンバーと走っています。昨年の福岡マラソンが初フルだったのですが、AFEメンバーの応援が凄く励みになりました。」

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ある程度走れるようになると、ベストタイム更新にだけに目が向きがちだが、それだけがモチベーションになってしまうと身も心も疲れてしまう。AFEのようにチームで、時には国の違う仲間といっしょに、楽しく走る。それこそが、ランをライフスタイルにできる理由かもしれない。