fbpx

スポーツメーカーリーボックに就職し、在籍中である26歳の時に、伝説のクイズ番組「カルトQ」のスニーカー企画で優勝。以来、業界きってのスニーカー博士として名を馳せるフリージャーナリスト南井正弘さん。持っているシューズは1,000足以上。そのうちランニングシューズは300足以上あるという南井さんのランニングライフスタイルとは?

(写真 古谷勝 / 文 onyourmark)

sample alt

10年ほど前、月間走行距離をチーム同士で競い合うNIKEのイベントに参加することになった南井さん。10年前というと、ちょうど第一回の東京マラソンが開催された年。当時はまだGPSウォッチも普及しておらず、アプリを使ってランニングをするスタイルが根付き始めた頃。まさに”市民ランナー”ブームのはしりの時期でした。

「各々が走行距離をアプリで共有し、チーム同士でトータルの走行距離を競い合うゲームに参加することになり、とにかく毎日走るようになりました。当時はGPSの時計なんかもなかなかなかったし、シューズの中にチップを埋め込んで、iPod nanoで距離を測定してた(笑)。ちょうど同じ年に村上春樹の伝説の本『走ることについて語るときに僕の語ること』が出版されて。それを読んだら、少なくとも歩かずに完走してみたい気持ちでいてもたってもいられなくなりまして。レースにエントリーすることにしたんです」

早速ラスベガスのハーフマラソンにエントリーし、見事歩かずに完走。そこから、国内外を問わず様々なレースに挑戦するようになりました。もともと、ソフトボール、バレーボール、草野球にサッカー、格闘技、テニス、キックボクシングと様々なスポーツをいろいろとやっていたものの、一番密接な関係となったのがランニングだったそう。

「場所も時間も選ばないし、一人でもできる。対戦相手やコートも必要ない。ランニングは制約がないので、ずっと続けられるんです。年に2週間くらいは忙しくて走れない日があるものの、この10年間、約350日間は、フルマラソンのレース翌日であろうとも毎日6kmを5:30~6:00min/kmペースで走っていますね。6kmと決めたのは、翌日に疲れが残らない距離がその距離だったということだけで、特に深い意味はありません。ポイント練習を入れないのは、辛いことをやって走ることを嫌いになりたくないから(笑)」

南井さんは、レースに向けてのLSDやスピード走などのトレーニングを特にするわけではなく、この”毎日6km”を日々のトレーニングとし、レースシーズンには多い年で、十数回(ほぼ毎月のように)レースに参加しています。過去には、毎週ハーフマラソンがあった月もあったそう。ほぼ毎日ランニングをして、幾度となく参加したどのレースにも、途中棄権なく完走しているというから、そのポテンシャルにも驚かされます。南井さんにとって、毎日走るだけでなく、毎日違うシューズで必ず走るということもルーティンの一つ。というのも、トレーナーの中野ジェームズ修一さんの連載を担当していた時、”同じ距離、同じコース、同じシューズ、同じペースでやると、筋肉が落ちる”という話を聞いたのがきっかけとなったそう。

「要は日々のランニングに変化をつけなければいけない、という話なんですけど。それを聞いてから、日々違うシューズで走ることが習慣になりました。例えば、NIKEのペガサスは34までモデルが出てますが、歴代を持っているので、モデルチェンジ前のものと比べながら走って分析してみたりして。意外と昔のモデルを履いて走ると調子がいいこともある。名作がテクノロジーを上回ることだってある。そんな風にシューズの使用感などを思いながら走るのも楽しんでます」

300足以上あるランニングシューズは、コレクションになるだけではなく、楽しく走り続けるためのツールとなっているようです。シューズを知ることで、ランニングの時代の歩みを感じることもある、と南井さんはこの2~3年のランニングシューズについて語ってくれました。

「adidasのブーストテクノロジーが出た時は衝撃的だったし、また、スイスのメーカー『On』を目にした時も、こんなゴムの輪っかしかないソールで大丈夫なのか、と目を疑いました。実際は、オリンピアンの実績もあるシューズで、今はランニング界の新星ブランドとして名高いですよね。ホカオネオネの厚底ソールが出て以来、各社厚底シューズを出し始め、今年は厚底ブームが到来したかな、と。中でもNIKEのシリアスランナー向けの厚底シューズ、カーボンプレートが搭載されたズームフライも企画として面白いし、履いていて結構調子がいいです」」

タイムではなく、ギアにモチベーションを持って走り続けるのも南井さんならではのランライフの視点なのかもしれません。そこで、今までのシューズのベスト3を聞いてみました。

「僕にとってですが、1位『ナイキ ルナグライドプラス(初代)』、2位『アシックス GT 2130 ニューヨーク』、3位『ナイキ ズームスパイダー LT』ですかね。シューズは確かに、僕にとってなくてはならないモチベーションの一つです。ただ、これだけ続けてみて、ランニングはコンディショニングの一環かな、という意識が強いんです。筋肉のベース(足腰)が衰えてない気がする、というかむしろ、昔よりも体力がついたと思います。身体の調子がよくなっているという実感がある。だから、レースタイムのアップデートがなくとも、楽しく走り続けられるんです。それから、いろんなレースに出ることで、それが刺激にもなっています。今まで多くのレースに出ましたけど、一番良かったレースはやっぱりニューヨークシティマラソンです。ニューヨーク市の5区すべてを走るコース設定と300万人近いと言われる沿道の応援が本当に飽きない。あの声援、ハイタッチは今も記憶に残ってます。この大会だけは「何回走ってもイイ!!!」と思えるレースでしたね。やはり、走ることは楽しくないと!」

altra

【名前】南井正弘 MASAHIRO MINAI
【生年月日】1966年1月31日
【職業or所属】フリージャーナリスト
【やっているスポーツ】ランニング(10年)、テニス、キックボクシング、卓球
【instagram】@markminai
【Blog】http://runnerspulse.jp/mminai/

お気に入りアイテム

altra

lululemonのランニングウェア/Apple Watch
「機能性はもちろん、スタイリッシュなデザインのウェアは街着としても着用できるので重宝してます。また、Apple WatchはGPSの反応が他社と比べても随一で、通知機能も便利なので手放せないギアになりました」