スイス生まれの革新的なランニングシューズ「On(オン)」が、日本に進出した当初から、オンのマーケティングに従事してきた駒田博紀さん。オンと出会い“大嫌いだった”ランニングを始め、今ではアイアンマンレースを完走するトライアスリートに。日本のオン代表として、コミュニティを盛り上げている彼ですが、実は、準師範の資格をもつ空手の達人。空手とトライアスロンとオン、この3つが作用し合って、現在の駒田さんが形成されるまで、たくさんのドラマがありました。

(写真 古谷勝 / 文 onyourmark)

hiroki komada

筋骨隆々、まさに武道家という印象を受ける駒田さん。ですが、幼少期は、学校の体育の授業も出られないほどのひどい喘息に悩まされていたのだそう。走ると発作が出てしまうので体力がつかず、競技もなかなかできないという悪循環のなか、それでも「強くなりたい」と、中学生で武道の門を叩くことになります。

「身体は弱かったけど、勉強だけはできたんです(笑)。それで格好の餌食というか、体育のときなんかすごくからかわれました。悔しくて、いつか身体鍛えて強くなりたいって思ってました。それで、中学では剣道部に入ったんですけど、校庭を走り込むと砂埃でどうしても発作が出てしまう。耐えられなくて辞めてしまって、落ち込んでいたら、見かねた母親が近所の空手道場に連れて行ってくれて、そこから27年、自分が空手家であるってことだけは忘れずにずっとやってきています」

13歳で空手を始めてから、負け続けながらも着実にステップアップをしていき、強くなりたかった少年は、35歳で準師範になりました。その頃から、今は亡き師匠、最高師範の教えである“生活に生きる空手”というものを追求したいと思うように。そんな折に、仕事でも転機が訪れます。オンとの出会いです。当時勤めていた商社がオンを扱うことになり、担当者に抜擢されたのが駒田さんであり、現在のオン・ジャパン セールス&マーケティングディレクターなのです。

「当時の上司から突然、『駒田くん、君はスポーツが好きだったね』って、オンのマーケティング担当に任命されたんです。僕は走ることからずっと逃げてきたんですけど、逃げられなくて(笑)。絶望的な気持ちでオンをネットで調べてみたら、当時のクラウドレーサーっていうモデルがかっこよくて興味が湧いて、さらに調べるとブランドの創業者が元アイアンマンのヨーロッパチャンピオンだったとか、デュアスロンの世界チャンピオンだったとか、すごいことが書いてあった。そういうストーリーをウェブサイトで読んで、『この仕事やるなら走らなきゃダメだ』と。最初は2kmでも息が切れてしょうがなかったけど、なんとか続けていって、走ったことをFacebookに投稿する。それが、オンの初期のプロモーション活動でした。」

そうして地道な草の根活動をしていき、走り始めて3ヶ月後には、トライアスロンに挑戦する日がやってきました。

「初めてのトライアスロンレース(ショート)に完走した時は、空手で最初に回し蹴りができた時のような感覚でした。その余韻に浸る間もなく、周りから『次はロングですね』と言われて、約束してしまった(笑)。それで、2014年の4月、宮古島トライアスロンを完走。で、その勢いで『オンを履いてアイアンマンになる!』ってオンの共同創業者オリヴィエに宣言してしまった。その宣言から束の間、当時勤めていた商社からオン事業を撤退することを聞かされたんです。でも、オンを真剣に日本でやろうって決めていたからオン・ジャパンを作ろうと、スイスのチューリッヒに行って片言の英語でプレゼンをしました。そうして、立ち上がったのがオン・ジャパンです。」

2015年5月にオン・ジャパンを立ち上げてから、早2年。オンの日本市場は着実に拡大しました。“仕事”で始めたランニングや、トライアスロンも今では純粋に好きになり、仕事と趣味との境目がなくなったといいます。空手とトライアスロンとオン、駒田さんにとって、この3つはどのように作用し合っているのでしょう。

「自分と向き合いながら自分のできないところの枠を少しずつ広げていくっていう作業が、武道とトライアスロンの似ている部分だと思います。仕事もそう。今のオンの状況っていうのは2013年の自分からは想像できなかった。でも、まだやるべきこと、やりたいことがある。だから、今の状態を冷静に見つめて、過大評価も過小評価もせず、やるべきことを真剣にやるという、道場訓から学んだことを仕事でやっています。僕は空手家として、今は亡き最高師範から教わった“生活に生きる空手”の実践者として、仕事もトライアスロンも楽しんでいけたらと思っています。昨年と今年、2年連続でケアンズのアイアンマンを完走できて、今はただ完走できてればOKじゃなくなってきた。オンのシューズのアップデートとともに、自分もアップデートしていきたい。トライアスロンはまだ白帯ですね(笑)」

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【名前】駒田博紀 HIROKI KOMADA
【生年月日】1977月11月10日
【職業or所属】On Japan
【やっているスポーツ】琉球古武道、空手道(27年)、ランニング、トライアスロン(4年)
【instagram】@hirokikomada
【Blog】http://hirokikomada.com

お気に入りアイテム

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空手着/トライスーツ/Onのシューズ「クラウドラッシュ」
「自分の人生を大きく変えてきてくれたギアたち。「クラウドラッシュ」は、オンを初めて知ったときにカッコいいと思ったクラウドレーサーの後継モデル。アイアンマン世界チャンピオンが履いていたシューズです。」