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『TRIPLE R』で開催しているアカデミーシリーズ『Knoeledge is Power(K.I.P.)』のゲストに今回お迎えしたのは、「Women’s Health」日本版編集長の影山桐子さん。「Women’s Health」と言えば、健康に関する情報を扱う、世界55か国で展開されているグローバルメディア。ホストであり、トレーニングのプロフェッショナルである中野ジェームズ修一さんと、女性とスポーツに詳しい影山さんが、近年増えてきている「鍛える女性」について語り合います。

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――影山さんは、一般社団法人ランガールの理事でもあり、いまや女性ランナーの人気イベントとなった「ランガールナイト」の立ち上げメンバーでもあります。中野さんとの最初の接点が「ランガールナイト」だったこともあるので、まずは、イベントについて教えてもらえますか。

影山 今年で8年目になる“女子による、女子のためのラン祭り”です。コースは、5km、もしくは10km。走った後は、アフターパーティがあって、ブースでメイクをしてもらえるなど、たくさんお楽しみを用意しています。

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中野 計画段階で相談されたんですけど、正直、マラソン大会を作るとは、なんてハードルの高いことをやろうとしているんだろうと思いました。警察で道路使用許可を取らなきゃいけないし、事故があっては大変ですし。でも、「やりたい」と立ち上がったメンバーが、走ることが好きな女性ばかりで、一生懸命なので応援したくなったんですね。いざ、大会が始まったら、「こんなにマラソン大会がオシャレになるんだ」と驚かされました。ただ、当時は、参加者だけでなくスタッフも女性限定だったので、僕はイベントには呼んでもらえなくて(笑)。

影山 3年目でようやく、ウォーミングアップの講師をしていただけました(笑)。

――どういった経緯で「Women’s Health」編集長に?

影山 10年前まで10年ほど働いていた出版社で、「Women’s Health」の日本版を手掛けることになり、ヘルスやスポーツに強く、ウェブマガジンの編集経験がある人を探していたんです。私が条件に合うということで連絡をもらったんですけど、自分でも「私以上の適任者はいないと」思いました(笑)。ランガールでは大会を通じて「走るといい変化が起こる」と伝えてきましたが、「Women’s Health」では、メディアを使ってランに限らずスポーツ全般、そして、どんな人にとっても大切なウェルネスのカテゴリーも取り上げられます。ここ2年ほど、ウェルネス系の仕事をしていて、病気の原因を探ると、だいたい運動、睡眠、食事、ストレスに関係していることがわかりました。そうしたことが今、最も必要とされている情報なのではないかと。ファッション誌の編集経験もあるので、こんなふうにスニーカーを合わせると通勤服になるよねといった提案もできます。「Women’s Health」でなら、やりたい、発信したいと考えていたことがすべてできると思い、引き受けました。

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――これまでのキャリアをフルに活かせるポジションなのですね。では、「Woman’s Health」アメリカ版との違いは?

影山 アメリカ人は身体が大きくなりがちなので、ダイエット企画がかなりありますが、日本人はそこまで太らないですし、私たちには必要ないと思っています。体重を落とすことよりも、筋肉をつけてきれいにボディメイクする方に力を入れていくつもり。とは言え、ダイエットネタはみなさんお好きなので(笑)、海外の面白いダイエットネタは紹介しますが、“〇〇するだけで痩せる”みたいな企画はしないと決めています。日本独自なのは、イベントの多様性でしょうか。6月はヨガ、7月はSUP&ヨガ、8月は山系、他にテニスやバイク、雪山でのウィンタースポーツなど、アメリカやイギリスでも、ここまで幅広いスポーツをイベントで扱ってないと思います。

中野 男性版は、僕もアメリカで定期購読していたんですけど、だいたい腹筋特集ですよね(笑)。大胸筋や二の腕もありますけど、とにかく筋肉!

影山 女性版は、鍛えはするんだけど、腹筋を割るのが目的ではなく、しなやかで女性から見てもきれいと思う身体を目指しています。ローンチに際して、冊子版を作ったんですが、その表紙を飾ってくれたスキージャンプの高梨沙羅さんの身体がまさにそうでした。ウィンタースポーツはユニフォームが厚いですから、どんな身体なのか、撮影当日まで知ることができず、賭けの部分もあったのですが(笑)、ブラトップ一枚になってもらったら、腹筋が割れすぎてもなく、お腹にきれいにスジが入っていて、すごくきれいでした。

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“鍛える女性”が増えている背景とは?

――今回のテーマが“鍛える女性”ですが、女性の間でトレーニングがブームになりつつある背景は?

中野 女性はよく見られたくて、新しいバッグなどを購入しますよね。先日、帰国子女の男性と、その人に合ったファッションをしていればすごく魅力的なのに、なんで最新のブランドもので固めたがるのだろうという話で盛り上がったんです。自分自身に自信がない人たちによって、ブランドビジネスが成り立っているのではないかというのが彼の考えでした。賛同するかは別にして、一理あるなと。今の“女性の鍛えるブーム”も、自分の身体に自己投資をして、自信を得たいからなのかもしれません。

影山 トレーニングブームと言われていますけど、以前から鍛えている人は鍛えていましたよね。女優さんやモデルさんが、何もしないであんな素晴らしい体型を維持できませんよ(笑)。今は、SNSが発達して、トレーニングをしているのが素敵に映る土壌ができ、こっそりトレーニングしていた人が「鍛えている」とアピールできるようになったのが大きいのではないでしょうか。

中野 確かにそれはありますね。以前は、パーソナルについた女優さんから「トレーニングしてることを言わないでください」と頼まれたものですが、最近は堂々と公言します。

影山 ヘルシーなイメージを打ち出した方が、ビジネス的にも得という面もあります。

中野 女優さんやモデルさんから、スポーツブランドへの売り込みがすごいらしいですね。

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――女性の間で、今までひた隠しにされてきたトレーニングのイメージが上がったのはなぜでしょう。

影山 フィールサイクルやサーフフィット、ボルダリングも入れてもいいと思うんですけど、楽しいスポーツが増えているからでは。もともとスポーツに対する印象って、体育や部活で散々走らされて、“きつい”“苦手”という人が多かったじゃないですか。でも、スポーツが “楽しい”“気持ちがいい”というのを体感できるスポットが増え、若い女性が殺到しているのではないかと思います。私がハマっているのは、フィールサイクルです。実は、ランをサボりがちで……。走ったら気持ちがいいのはわかっているのに、雨や忙しさを理由に走らない日々が続き、自分を責めるようになっていまい、フィールサイクルを始めたんです。汗をかいてスッキリしますし、何より楽しいですね。今ではランの10倍くらいやってます(笑)。

中野 スポーツを始める動機は「せっかくなら楽しくやりたい」「トレンドのものをかじってみたい」でもいいと思うんです。それが続かなくても構わないですしね。何回かやってみて飽きたら、違うものに変えたらいいだけなんです。