東京・世田谷でピストバイクをベースとしながら、オリジナルパーツの製作、子ども車からロードレーサーまで販売するユニークな自転車ショップtempra cycle。そのオーナーが今回登場する小林健太さんです。最近では、自転車だけでなく、「onyourmark」でおなじみのRun boys! Run girls!オーナー・桑原慶さんとともにコラボブランド「TOKYO ATHLETICS」を設立。“街の自転車屋さん”としての顔だけでなく、新たなカルチャーを世に伝え続ける彼の目線の先にあるものとは。

(写真 古谷勝 / 文 onyourmark)

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今や押しも押されもせぬバイクカルチャーの拠点の一つとして、多くの人に支持されているtempra cycleですが、小林さんが自転車に目覚めたのは20歳を過ぎたころ。幼少の頃からカスタム好きだったものの、中高生の思春期にめっぽうハマったのはモーターサイクル。ホンダのバイクにまたがり、時間を見つけては関東中を自由に駆け巡っていました。しかし、成人するころには、そんなバイクへ興味も薄れ、グラフィックデザイナーとして日々仕事に打ち込むように。そんなある日、ふとしたきっかけで買った自転車によってその面白さに開眼。小林さんの人生の“ギア”もチェンジしたのです。

「本当に久々に自転車を買って乗ったときに、子どもの時に初めて自転車に乗ったときの『楽しい〜!!』という気持ちを思い出したんです。僕自身そうでしたが、一人でも大人数でも、街乗りでもレースでも楽しくできるスポーツであり、カルチャーこそが自転車ということに改めて気付きました」

とはいえ、ショップ立ち上げの話はもう少し先の話。20代後半を迎えたころ、グラフィックデザインの仕事が軌道に乗り、ひょんなことから現HALF TRACK PRODUCTSの土屋雄麻さんと出会い、共同で店舗を運営する事に。事務所は原宿・神宮前にある一軒家で、そこにはガレージが付いていました。「このガレージで何かしたい」。そうして2人で盛り上がって始まったのが「tempra garage」。tempra cycleの原点です。

「自転車をカスタムしたり、小さな部品を本業の傍らに作っては売るということを最初はやっていました。次第に人伝えで評判になっていき、“自転車カルチャーやギアのことを色々知っている人”的な認知を受けるように。特にカルチャー的な側面で強調するなら、2000年代後半にブームになったピストバイク。自転車カスタムカルチャーマガジン『LOOP Magazine』の立ち上げに少し関わらせてもらったり、自分でもピストバイク関連の商品を作ったり。インパクトがあったのは、当時話題になったピストバイクのブレーキ規制。海外ではノーブレーキはカルチャーとして認知されますが、日本ではNG。そこで、ハンドルを握るとブレーキレバーが隠れて、一見ノーブレーキピストに見えるレバーを作ったら、それがバカ売れ。一気に『tempra garage』の認知が上がった気がします」

2013年になるとお店を手伝ってくれるスタッフも増え、引っ越しすることを決心。ここで、ようやく今の店の形となる「tempra cycle」が誕生。と同時に、世田谷という場所もあり“町の自転車屋”としてカルチャーだけでなく、ママチャリからロードまで取り扱う、地域密着型ショップという顔を持つようになります。

「基本的には自分が好きなもの、使いたいものを置くというスタンスは変わっていませんが、tempra cycleになってから、以前と思考に幅やアウトプットの形が広がるようになった気がします。例えば昔からアウトドアが好きだったのですが、山で自転車もやれることもわかってくると、バイクパッキングやシクロクロスに傾倒。子どもができると、ベビーキャリアを扱うように。出会う人やライフステージでtempra cycleは変わっていく。最近ではランボーの慶さんとも一緒に取り組みがあったこともあり、次はトレイルランニングを始めたいな、と。先日、簡単な山登りから下りのトレランをしたのですが、下りで“ライン取り”が決まった瞬間がとても楽しかったんです。このような新たな経験を得て、生活の一部として楽しめるスポーツや、きっかけとしての企画なども発案していきたいですね」

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【名前】小林健太 KENTA KOBAYASHI
【生年月日】1973年11月25日
【職業or所属】tempra cycle オーナー
【やっているスポーツ】自転車(サイクリング等)
【Instagram】@tempra_jp

お気に入りアイテム

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gearholic BOTTLE FLASKER / NANGA×tempra gearholic UDD BAG
「ボトルはシンプルなボディと、保湿保冷効力があるのが良いですね。シュラフは表面に難燃素材を使用しているので、キャンプファイヤーの近くでも眠れます」