エベレストを始め、K2、カンチェジュンガ、シシャパンマなどを踏破し、アジア人初となるヒマラヤ8,000m峰14座完登を達成するなど、世界でも屈指の登山家とされるオム・ホンギル

数々の栄光を手にしたホンギルですが、2004年、愛弟子にして右腕ともいえる登山家バク・ムテクをはじめ3人の仲間を失います。生存が絶望視された彼らの葬儀が開かれたものの、遺体は見つからず。そこでホンギルは幾多の死線を乗り越えた仲間たちを再び集め、“ヒューマン遠征隊”を結成。3人が遭難したデスゾーンと呼ばれる危険な8,750m地点に向かうことを決意し、エベレストに眠る仲間とその帰りを待つ家族のため、“山岳史上最も過酷”なエベレスト遠征に挑むことになります。

そんな遭難した後輩隊員の遺体を探す、77日間のドラマを描いた『ヒマラヤ 地上8,000メートルの絆』が7月30日(土)にヒューマントラストシネマ有楽町、シネマート新宿ほかで全国順次公開されます。この映画、実は韓国で初の本格的な山岳を扱った作品で、実際にネパールのヒマラヤに登って撮影し、絶景を求めてフランスのモンブランでもロケを敢行。リアリティを追求した本格的な山岳映画となっています。

ヒマラヤ~地上8,000メートルの絆~
ヒマラヤ~地上8,000メートルの絆~

韓国では圧倒的な反響を巻き起こし、動員800万人のメガヒットを記録。初週の興行成績は同日公開の『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』など、並み居る強豪を抑え初登場1位に輝いたそうです。

そして、今回作品の公開にあたり同作品の主人公であるオム・ホンギル本人が来日。作品の魅力だけでなく、ヒマラヤへと身を投じる喜びと畏怖の念、そしてなぜ壮絶な体験を経た今でも山と関わろうとするのかを語ってくれました。

様々な思いが交錯する山、それがヒマラヤ

ヒマラヤ~地上8,000メートルの絆~

--自身が最初に山に登ろうと思ったきっかけは何ですか?

オム・ホンギル(以下、ホンギル)
私の生まれ故郷は海に近い韓国の南部ですが、3歳のときに北部へ引越したのが全ての始まり。そこが、ソウルの隣にあるウォンボン山というところで、家のすぐそばに山がある環境で育ってきたのですが、大きなきっかけになったのは、家から10分ほど離れたところにあった大きな岸壁です。週末になると、登山愛好家の方々がロッククライミングを楽しんでおり、そのダイナミックな姿はとても衝撃的だったのを覚えています。14歳のころから私もクラミングを始めるようになり、登山の世界に没頭していきました。

それに、当時住んでいた家からは街に続く車道に出るだけで約1時間。そんなところで365日、計37年間にわたって山を降りたり登ったりしていたので、自然と登山に順応するような体型を作り上げることができました。

--その後、ヒマラヤに挑戦するようになるわけですが、そこまで魅力に思える理由はありますか?

ホンギル
“百聞は一見に如かず”という言葉がありますが、一度見れば分かります(笑)。正直、言葉で表現するには限界がありますね。強いて言うなら、大きな感動を与えてくれたり、敬う気持ちを持たせてくれたり、また畏れを抱かせてくれる存在。人間の存在について悟らせてくれたり、人生を改めて振り返させてくれる場所なんです。

ヒマラヤ~地上8,000メートルの絆~
ヒマラヤ~地上8,000メートルの絆~

--その一方で、挑戦の対象になっていますね。

ホンギル
そうですね。とはいえやはり山は私にとって心の郷里であり、魂の休息地。山の中にいるだけで、すごくリラックスして幸せを感じられる場所というのは間違いありません。ただ、8000m級の山々に登るのはまた違ったアプローチになります。ヒマラヤの山々を私は数多く踏破してきましたが、新たな山に挑戦するときには、初めて山を登ったときの高揚感を得るんです。一方で、限界に打ち克たなければいけないため、恐怖心も同時に感じる。胸がドキドキするのに、怖いという気持ち−。登るたびに様々な思いが交錯する山、それがヒマラヤですね。

--韓国の山岳シーンが近年盛り上がっていると聞きます。日本との違いを感じることはありますか?

ホンギル
韓国の山岳活動については、近年非常に活発的になってきていますね。統計的にも、個人的にも登山人口が相当数に増えていると感じています。韓国人口は約5000万人ほどですが、そのうち1500万人以上の登山者がいると言われています。また、韓国の山々だけでなく海外の山に挑戦する人も増えていますね。

人間が守るべき義理や道理を感じてほしい

ヒマラヤ~地上8,000メートルの絆~

--個人的に今後挑戦したい山はあるのでしょうか?

ホンギル
私は8,000m峰世界16座を完登しましたが、次は17座に向けた挑戦を始めています。それ以降は、正直登りたいという山はありませんね(笑)。現在特に力を入れているのは、「オム・ホンギル・ヒューマン財団」での活動です。財団を通してヒマラヤの奥地に子供達のための学校を建てる活動を行っており、今まで山に登りたい思いを成就させてくれたヒマラヤを通して、今度は感謝して私が返していきたいと思います。

--非常に過酷な遠征を実話化した『ヒマラヤ 地上8,000メートルの絆』が公開されます。この映画で何を伝えたいと思いますか?

ホンギル
私が思うに、最近の世の中は個人主義や利己主義に浸りすぎ、人間の存在や命の尊厳について尊ぶ気持ちが薄れていると考えています。また、人は人との“結びつき”や“縁”を本当は重要であるのにも関わらず、忘れて生きているような気がしてなりません。人間は共同体で生活していく生物。なのに、人への思いやりや犠牲心、仲間に対する愛情がなくなってきている。

この映画は“ヒューマニズム”が大きなテーマ。映画では人の出会いや縁の重要性に加え、仲間の遺体を回収するため、危険を承知で8,000m越えのヒマラヤに向かう様子が写し出されています。これは、個人ではなく一つの共同体という意識を持つことが重要を説いています。人間が守るべき義理や道理、それをこの映画を見た方が改めて見つめるきっかになってほしいと感じています。

『ヒマラヤ~地上8,000メートルの絆~』

『ヒマラヤ~地上8,000メートルの絆~』

映画『ヒマラヤ~地上8,000メートルの絆~』
出演:ファン・ジョンミン、チョンウ、チョ・ソンハなど
配給:CJ Entertainment Japan
2015年/韓国映画/124分/
2016年7月30日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町、シネマート新宿ほか全国順次ロードショー
公式サイト:http://himalayas-movie.jp/

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