Q:トレイルランで一番重宝するアイテムってなんでしょう?
A:僕はウインドシェルだと思います。

トレイルランではとにかく体感温度が激しく変動します。標高が100m上がると気温は0.6度下がるのですが、1000mくらいの標高差を移動するのは珍しくなく、レースに出た場合、ロングレースであれば昼と夜をまたいで移動することもしばしば。

ちなみに2013年のUTMF/STYは、UTMFスタートの河口湖(標高835m)が15:00のスタート時で16.1度、UTMFの選手の70%、STYの全選手が夜間に通過する杓子山(標高1597m)の推定最低気温は−2.2度。実に18.3度もの気温差がありました。

また、体感温度を左右するのは気温だけではありません。風速が1m増せば体感温度は1度下がるし、走っているか/止まっているかによっても体感温度は大きく異なってきます。先ほどのUTMFの場合でも山頂の風の吹き方やランナーのバテ方次第では、体感温度の差が20度以上あるということです(今回はウインドシェルの話なので、ここまですべて晴天という前提です。雨に濡れれば体感温度は更に下がります)。

って、100マイルレースの話は極端だけど、もっとシンプルに近場のちょっとしたトレイルを走った時にも、上りを頑張って登っている時は暑いくらいだったけど、登りきって視界の開けた風の強い山頂に出てさて一休みってしてたら一気に寒くなった、なんて経験をしたことのある人は結構いるはず。

そんな感じで、トレイルランをしていると、ロードランや登山よりも短いサイクルで「あち〜!」と「さみぃ〜〜」を繰り返し感じるし、体感温度の振れ幅も非常に大きくなります。トレイルランのフィールドは自然であり簡単にエスケープできない。この体温調節を軽く見ると非常に危険です。

体温調節を助けてくれるアイテムはいくつかあります。汗の拡散性の高いベースレイヤー。かいた汗を肌に戻さない撥水性のあるもしくは疎水性の高いインナー。腕周りの体温調節が容易にできるアームスリーブ、そしてウィンドシェルです。

MARK GEAR

2013のSTYに出場中の写真。着用しているのはSonic Smock。後ろのランナーも同じウェアを着ています。

ウインドシェルというとアウトドアギア的な呼び方ですが、一般的にはウインドブレーカーと呼ばれるものです。この際だからウインドシェルってどんなものかも改めて説明しておきましょう。

ウインドシェルはナイロンなどを用いた軽量ジャケットで、風を防ぐことによって体温低下を防いでくれます。完全防水ではないですが、表面に撥水加工を施されているものが多く、降り始めの小雨くらいなら弾いてくれます(レースで雨具としては認められません)。逆に完全防水ではないので透湿性が雨具に比べて高く、着用したまま走ることに向いています。長袖なので3シーズン用のアイテムかなと思いきや、夏場でも高度の高い稜線で風が強ければ使ったりと1年中活躍します。冬場の移動時には下にインナーダウンをレイヤリングすることで移動時のウェアを減らす事もできたり、軽くてパッカブルなので日常生活時の荷物に忍ばせておくと、冷房の強い場所でさっと羽織るなんて使い方もできちゃいます。とにかく使い勝手が良い。それが冒頭でのQ&Aにつながるわけです。

この記事を書いている2016年4月時点でウィンドシェルの代名詞的存在と言えばpatagoniaのHoudini Jacketでしょう。約100gの軽量性、コンパクトさ、着た時の肌触り、コストパフォーマンス、それぞれにおいて高いバランスの取れたアイテムです。この記事を読んでいる方にも、Houdini Jacket持っている人たくさんいますよね?

さてさて、いつもこの記事を書くときは「知ってるようで知らない人も多い基礎知識+その先の提案」っていうことを念頭において書いているんですが、今回もそうです。だからHoudini Jacketは残念ながら紹介しません。そこでようやくOMMのSonic Jacketの登場となるわけです。

Sonic Jacketはハードな環境に対応しつつも軽量なアイテムを作ることで知られるOMM(Original Mountain Marathon)のウィンドシェルです。フルジップでフードのない形状ですが、特筆すべきはその軽さとサイズ感。日本人のメインサイズであるSサイズで56g(当店実測値)。前述のHoudini Jacketや一般的なウィンドシェルの60%以下の重量。そして首の後ろのポケットに収納した時のサイズも約60%のサイズ。このサイズ感こそが僕がこのジャケットを推す理由です。

MARK GEAR
MARK GEAR
MARK GEAR
MARK GEAR

僕がお客さんに伝える時に「大きめのおいなりさん」と言うこのサイズですが、これが絶妙なのです。100g前後のウインドシェルもコンパクトにまとまるんですが、パンツのポケットやザックの前ポケット、腰ポケットには少し大きい。でも”おいなりさん”なら、いろんな場所に収納可能なんです。

さっき、トレイルランでは体温調節が大事って言いましたよね? そうやって考えるとウインドシェルは「着たい時にすぐ出せる」ことと「脱いだ時にすぐしまえる」このふたつが結構キモ。例えばウインドシェルをザックにしまっていると、着用するにはザックをおろす必要がある。いい感じで走ってると「ザックをおろす為に止まるのも面倒だしー」とか思ってしばらく寒いまま我慢して走っちゃったり、逆に暑い時に「脱いでしまうのも面倒だしー」とか思ってそのまま走って汗冷えしたり、そういうことは本当によくあります。そんな時”おいなりさん”だと、割とどこにでもしまえちゃうので動きながらでも着脱できてストレスが少ないんです(体に触れる部分に収納する際は汗で濡れないよう注意してください)。また、サムホールがついているのも大きい。手の周りの体温調節はサムホールで十分な時も多いですからね。

MARK GEAR
MARK GEAR
MARK GEAR

僕が出場した2015年のUTMBでは、3年前に買った他社製の超軽量ウインドシェルを使ったんですが、これがとても活躍しました。この年のUTMBはすごく暑かったんですが、それでも夜に2,500mの峠を越えたりするわけです。止まった瞬間に一気に震えるほど寒くなったりして、そんな時にウェストベルトのポケットから”おいなりさん”をさっと取り出してザックの上から羽織る。これだけでかなり体温をキープできました。

あえて「他社製」って言ったのには意味があります。その他社、今はその超軽量ウィンドシェルを作っていないのです。このジャンル、2~3年前に盛り上がったもののその後は縮小傾向で、多くのメーカーが今販売している軽量ウインドシェルは100g前後なんですよね。逆にこれまでのOMMの超軽量ウインドシェルはSonic Smockという50gのハーフジップモデルで、軽くてよかったんですがザックの上からの着脱などはできませんでした。

MARK GEAR

SONIC SMOCK

着脱が多い状況だったら、フルジップの”おいなりさん”が一番いいんだよな。僕的にはずっとそう思っていて、周りにもそう思っている人が結構多かったんですが、そんな中でOMMがこのSonic Jacketをリリース。この「あえて今」って感じがOMMらしくてグッときたので、今回のMARK GEARは”おいなりさん”の有用性と合わせてSonic Jacketを紹介しました。

サイズ感はザックの上から背負うならワンサイズ上をオススメ。体に密着するベスト型のザックであればロングレース用の装備やフロントにフラスクを入れたまま上までジップを閉めることができます。それからこれまでのOMMのウインドシェルにはなかったパープルが追加になりましたが、このパープルはメンズが着てもかっこいいですね。下のスタッフ着用写真はブルーがM、パープルがSです。168cmのスタッフでSサイズがジャストサイズ。

MARK GEAR
MARK GEAR
MARK GEAR
MARK GEAR

ちなみに、”おいなりさん”じゃなきゃダメってことはないですからね。Houdini Jacketをはじめとする一般的なウインドシェルは、フードがついていることで耳周りの防寒がすぐにできますし、Teton bros.からリリースされているWindriver HoodyはPertex Microliteという伸縮性のあるポリエステル素材で極上の着心地です。ウィンドシェルをずっと着て走るような状況だったらまた選択肢も変わってきます。そんな感じでアイテムの特性やブランドのメッセージを汲み取って、使う状況に応じてギアを選んでください。それがギア選びの楽しいところなので。

Choice is yours!!

Webshop
OMM / Sonic Jacket http://shop.rb-rg.jp/?pid=100943360

最新情報
4/9,10 調布で行われるアウトドアイベント「Off the grid」 http://offthegrid.jp
4/15 OMM Liteを紹介する「OMM Lite Night」
4/16 千葉をのんびり走るイベント「PEANUTS RUN」
5/7 「ランニングはこわくない」
5/11「Trails In Motion」
などイベント目白押し。
お店は雑談目的での来店も大歓迎です。

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Run boys! Run girls!
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