(写真 飯坂大/動画 井上典慎/文 倉石綾子/Promoted by 三菱自動車工業)

 3年に一度、新潟県の越後妻有で開催される「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」。日本の原風景と称えられるのどかな里山に先鋭的なアート作品が展示されるこの芸術祭、6回目となる今年は35の国と地域から約350組のアーティストが集まった。

 2006年の芸術祭に出品された『脱皮する家』で一躍注目を浴びたのが、彫刻家でありKEENアンバサダー、そして日本大学芸術学部教授の鞍掛純一さんだ。『脱皮する家』は、鞍掛さんが教え子である同大学彫刻コースの有志たちとともに築150年の古民家のあらゆる壁、柱、床を鑿(のみ)で彫り抜いた空間作品である。完成に至るまで2年半を費やし、のべ3000人が関わったという大作だ。

『脱皮する家』のベースとなった古民家は、山間の傾斜地に築かれた棚田が美しい星峠集落にある。圧倒的な棚田の風景にすっかり魅了された鞍掛さんは以降、越後妻有に制作の拠点を置き、東京と新潟を頻繁に行き来するようになった。集落の人々とも本格的に交わるようになり、「大地の芸術祭」との関わりをいっそう深めていった。

 今年の芸術祭の見どころの一つが、鞍掛さんが中心となって手がけた『奴奈川キャンパス』である。廃校となった小学校を舞台に、農業をベースにした美術、体育、音楽、家庭科の各項目を、一般参加者が体験できるという学びの場。鞍掛さんは校長兼美術担当チューターを務めている。校内には彫刻を施したレリーフ作品が展示され、学校内の食堂「GAKUSYOKU」には日々、地元で採れた野菜が届き、それを集落の主婦たちが腕によりをかけて調理してくれる。農作業やボディワークの講座など、ここならではのワークショップも開かれた。

都市と地域が交歓する場

 この『奴奈川キャンパス』をシェアスペース以上の場にすべく、鞍掛さんらが取り組んでいるのが女子サッカー選手による棚田保全プロジェクトだ。まず、都市部に暮らす女子サッカー選手を農業の担い手として募集する。選手らはここに移住して新規就農し、棚田で農作業を行う傍ら農業実業団チーム「FC越後妻有」のメンバーとしてプレーする。

学生時代から無類のサッカー好きだった鞍掛さんとその仲間が、「サッカーで十日町市の人々の気持ちを一つに」との思いを抱き、満を持して立ち上げた取り組みなのだという。

「星峠との交流が始まって、彫刻家としてあらためてアートの役割を考えるようになった」と鞍掛さん。通常、アートというのは美術というごく狭いコミュニティでしか動かないもの。しかし「大地の芸術祭」では里山の風景のなかで作品を見せることにより、アートの世界から食、演劇、農業へと、思いもよらない広がりを見せるようになった。

 集落の人たちも、アーティストの活動を陰ながら支えてくれている。お昼どき、制作現場の鞍掛さんや教え子である同大学彫刻コースの有志たちに差し入れをふるまってくれる集落の女性たち。サッカーフィールドとして使えるようにと、「奴奈川キャンパス」の校庭を整備してくれたのも集落の人たちだ。鞍掛さんも、耕作放棄地を蘇らせようと学生たちと一緒に田植えを行ったり、冬の運動会を企画したり。制作活動を通じて集落との結びつきが深まる中で、コミュニティに対する思いも少しずつ変化していったようだ。

スポーツと農業をつなぐ意味

「勝ち負けのはっきりしているスポーツが農業とつながれば、集落の人々の気持ちはより強固にまとまると思いました」

 農業はそもそも、この土地の文化そのものだ。農をベースにした営みから固有の伝統、技術、行事、料理が生まれ、風土として息づいてきた。だからこそ、こうした集落にはいまも先人から受け継いだ「生きる知恵」が残っている。そうした営みとスポーツをつないでいけば、忘れ去られようとしている「生きる知恵」に新しい価値観を与えることができるかもしれない。

「自分たちが整備したグラウンドで活動する地元のサッカーチームなら、みんなが応援してくれるはず。選手にしたって、好きなサッカーを続けるためなら田舎暮らしは十分、選択肢になり得ると思いますし、トレーニングの一環と思えば農作業だってそんなにつらくないはず(笑)」

 アートとサッカー、そして農業とコミュニティ。衣食住遊び、さまざまな観点から地域の価値や風土を体験すれば、そこには思いもよらない驚きや喜びを発見することができる。地域と都市が交流するなかで、そんなポジティブな体験をたくさんの人に共有してほしいと鞍掛さんは願っている。

「たとえば、好きなサッカーを続けながら農業で自給する暮らし。こんな生活スタイルが近い将来、新しい価値観として評価されるはずです」

 そんな思いを抱いて越後妻有の里山から、アートとサッカー、農業でワクワク、ドキドキを生む場を発信していく。

鞍掛純一(くらかけ・じゅんいち)
彫刻家、日本大学芸術学部教授。1967年東京生まれ。画家である父の影響を受けて美術に目覚め、彫刻の道を志す。彫刻家・柳原義達、土谷武両氏に師事、日本大学芸術学部美術学科彫刻専攻を卒業。「大地の大術祭 越後妻有アートトリンナーレ」へ出品すべく2004年に越後妻有を訪れて以来、東京と十日町を行き来しながら作品制作や棚田の保全活動を積極的に行っている。代表作に『脱皮する家』、『コロッケハウス』、今年リニューアルオープンした練馬区立美術館内「美術の森 緑地」彫刻作品群など。

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鞍掛さんがデリカD:5と歩む、越後妻有の田舎暮らし

 越後妻有の自然は苛酷だ。3mを越す豪雪や急峻な河岸段丘など、人の手を拒むような厳しい自然条件にさらされている。そんな越後妻有で欠かせないのは、冬の雪道も急な斜面に切り拓かれた棚田の間の農道も難なく進むクルマである。

 鞍掛さんは『脱皮する家』をきっかけにデリカD:5のオーナーになった。作品制作に関わってくれる学生を一人でも多く現地へ連れていきたくて、当時乗っていた5人乗りのクルマから乗り換えたのだ。2年続きの大雪に見舞われた直後だったゆえ、足回りのしっかりした4WDが必要だと感じたことも理由になった。

「冬にこちらを訪れた時に、自分の選択が大正解だったと実感しました。冬の越後妻有は一晩で70cmの積雪もざらという厳しい環境で、アイスとパウダースノーがミックスする雪道もかなりハード。たくさんの学生を乗せての運転ですから、乗っている際に安心感があるかどうかは重要ですよね」

 加えて、ロングドライブや車中泊の快適さも気に入った。車高が高くて視界が広いから、長時間運転していても疲れにくい。固めでしっかり身体を支えてくれるシートにも好印象を抱いたという。ワンボックスタイプはロールが大きいと思っていたが、カーブの際、道路にぴたりと張りつくような安定感にも驚かされた。
「いままでは基本性能のみをクルマに求めていたんですが、快適の意味を教えてもらいました」

 今年の冬も、『奴奈川キャンパス』のレリーフ制作のため、大勢の学生を越後妻有に連れてくるつもりだという。豪雪の道のりでは変わらず、デリカD:5がたのもしいパートナーになってくれるに違いない。

三菱自動車工業 デリカD:5 × KEEN 『PLAY THE NATURE ! 』:
http://www.mitsubishi-motors.co.jp/delica_d5/special/d5_portal/outdoor/