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(写真 55 Co.,Ltd / 文 小泉咲子)

【名前】中島 啓介 KEISUKE NAKAJIMA

【職業or所属】株式会社TBSテレビ

【やっているスポーツ】サッカー(20年)ランニング(1年半)

勤務するテレビ局内のチームで走ってる中島啓介さん。走るのは月2回の練習会だけのファンランナーながらも、走るためにスケジュールを徹底的に管理する、企画のアイデアが浮かぶなど、仕事上のメリットは少なくないよう。ハーフでの挫折を経て、東京マラソンでフル初挑戦。ゴールして気づいたマラソンの魅力とは?

 

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月2回のランニングデーは死守
TBSの局内にあるランニングチームに所属しています。一昨年、アメリカ研修の出張があり、一緒に行っていたメンバーに、チームで走っている上司がいたんです。誘われるだろうと予測はしていたんですけど、案の定「走るだろ?」と。「キターーー!!」と思いましたね(笑)。急遽、ショッピングセンターでウェアとシューズを買って5km走ったのを機に、帰国してチームに入りました。

僕らのチームは、練習会が月に2回あるんですけど、ファンラン系。来れる人だけで走りましょうという緩やかな強制力しかないし、皇居を走った後は、決まっているお店に必ず行ってシュワッと(笑)。雨で走れないと、「今日は飲みだな!」みたいな。走りたいんだか、飲みたいんだか、どっちかわからない(笑)。

絶対に話さないであろうセクションの人とも仲良くなれて横の繋がりを作れるのは、チームに入ってるメリットですね。僕を誘った上司は、ドラマのヒットメーカーで怖いんですけど(笑)、その人との距離は驚くほど縮まりました。練習の日は、あらかじめスケジュールに組み込んでおきます。自分で調整できないもの以外は、絶対に予定を入れません。僕の“オフィシャル”月間スケジュール。走っているときは仕事のことは忘れ、その日は仕事にも戻らないと決めてます。走る時間を作ろうとするからメリハリが出ますし、スケジュール管理できるのが、楽しくなってきてますね。走ると頭がスッとしてアイデアが生まれることも。仕事ができる人ほど走ってたりするじゃないですか。実際、仕事にいい影響があるし、走るなり体を動かすなりして、健康でいることは、大事だなと思います。

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同じ苦しみを共有して深まるチームの団結力
チームに所属していて感じたのは、ランニングは個人競技なんだけど、同じ苦しみを乗り越えることで生まれる団結感があること。メンバー全員で山中湖ハーフマラソンに出たとき、ひとり足切りギリギリの人がいて、みんな走り終わっても、ゴールで待ってたんです。足切りのバスが来ても乗ってなくて、「じゃ、まだ走ってるんだ!」って盛り上がりましたね。最下位くらいでゴールしたときは、全員「24時間テレビ」状態。ドラマですよ。冷静に考えたら、ふつうのおじさんが走るのが遅いってだけのことなんですけどね(笑)。

そのハーフマラソンは、僕にとってスポーツ人生最大の挫折経験でした。学生時代はずっとサッカーをやってきて、高校のマラソン大会は学年で10番には入ってたし、スポーツテストの成績も上位。今も社会人チームでフットサルやっているし、全然心配してなかったんですけど、調子に乗ってたんでしょうね。「こんなにも走れないんだ」と思い知らされました。あまりに辛くて「二度と走らない」とチームで宣言したんです。
 

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まさかの東京マラソン当選で、フルに初挑戦
それなのに、東京マラソンに全員応募するように指令が出まして。出たくないなら応募しなければいいんですけど、嘘つくといずれバレるんです。執拗に調べる変わった人が多いんで(笑)。高倍率だし当たらないと思ってたのに、14人のメンバーで僕だけが当選。これはもう、神様が走れと言っているんだと解釈して腹をくくりました。

とくに、フルマラソンに向けて自主練をしたわけでもなく、チームでの月2回の練習のみ。2月中に、15km、10㎞で計25km走っておけばいいかなと。ペースも自分次第。まだ、大会で走るために走るとか、キロ何分とか意識するレベルに僕はいないので。いちばんつらかったのは、20~25km。こんだけ走ってまだ半分かと……。なのに、対向車線では、速いランナーが折り返してビュンビュン走ってる。精神的苦しさがありましたが、走り終えた達成感は何にも代えがたいものでしたね。

真剣に走りたいのに外れているランナーが大勢いる中で、不純な動機かもしれないですけど、東京マラソンを体験しておくことは番組制作に役立つとも考えていました。あの町全体がお祭りモードの非現実空間になる瞬間を体験できて、ほんとうによかった。タイムは5時間25分。完走という今回の目標はクリアしたので次は、タイムを狙いたい!ゴールしたら、また次を目指したくなる。この“ゴールがあるようでない”のがマラソンの魅力なんでしょうね。