5月12日(火)に代官山 蔦屋書店にて開催された『mark』No.4発刊記念トークイベント。当日は気鋭の編集者、菅付雅信さんと松島倫明さんに登壇していただき、本紙のテーマ「スポーツの”場所”と”仲間”」=「サードプレイスとしてのスポーツコミュニティ」がさらに広がりを見せていくようなお二人ならではのトークセッションが繰り広げられました。

『mark』No.4発刊記念トークイベント

松島さん『BORN TO RUN』が出たのが2010年の3月なんですけど、2009年の後半くらいから日本でもTwitterが盛り上がりはじめて、僕も恐る恐る『BORN TO RUN』を知ってもらおうと思って始めたんです。そうするといくらでも走る人が見つかるんですよ。走ることをネタにコミュニケーションが盛り上がって、それが今では自分の人生を変えられてしまうほど人たちとの出会いに発展して。気づいたらチームに所属して100kmとか走るようになりました(笑)」

松島さんは自身が所属しているトレイルランニングチームを例に挙げながら、SNSでのやり取りを経て、フィジカルに人と人が影響し合い、コミュニティとして発展していくダイナミズムを感じていると言及。身体も変わり、新しい仲間が増えるのがサードプレイスの面白さであり、その一方でチームメイトの素性を知らないながらも強固な繋がりがあることに注目。体育会気質で先輩後輩の関係がある昔の部活動のようなものとは異なる点を挙げ、“オープンで”“安価に参加でき”“常連がいる”というサードプレイスの要件の中でも特にオープンな雰囲気がよりそのコミュニティを醸成させるために重要であることを重ねてくれました。

『mark』No.4発刊記念トークイベント

菅付さん「(サードプレイスを作り上げるためには)仕事のフリーランス化やフレキシビリティ、勤務体系の多様化が大きく影響していると思う。NYの広告業界を例に取ると定時という概念がない。社員でも会社に居なくていいし、締め切りに間に合えばいいという考えですよね。今や仕事のほとんどの時間でパソコンに向かっているわけじゃないですか。ノートパソコンであればどこでも仕事ができる。Skype会議なんて当たり前。そうなると逆にどこで誰と会うかが重要になってきますね」

一方で菅付さんはサードプレイスを醸成するための社会環境について指摘し、ファーストプレイスとしての家庭、セカンドプレイスとしての職場があり、セカンドプレイスへかけるコストが減れば減るほどサードプレイスで過ごす機会が増えるという気づきを与えてくれました。特にクリエイティブな仕事をしている人は磁場が強いところに居た方がいいという説を展開。なるべく磁場の強いサードプレイスに属すことで、自分の磁力も上がり、それを人に与えることもできるようになる。磁力と磁力が合う時もあれば弾けることもあるというコミュニティの様相を独自の見解で表現してくれました。

『mark』No.4発刊記念トークイベント

その後もサードプレイスというテーマをさらに飛び越え、『mark』No.2で特集したポートランドの成り立ちについてやその比較として『mark』No.3で特集した逗子や鎌倉といった郊外都市をはじめとする日本の地方都市についても話が及びつつ、mark次号にもつながる「食」についても俯瞰するような内容に広がりを見せました。まさにさまざまにアンテナが張り巡らされているお二人の脳内を覗き見るかのようなトークイベントとなりました。

松島さんが編集を担当する新刊は5月26日発売の『マインドフル・ワーク「瞑想の脳科学」があなたの働き方を変える』(デイヴィッド・ゲレス 著/岩下慶一 訳)で全米が注目する「マインドフルネス」についての本。さらに『BORN TO RUN』の続編にあたる『ナチュラル・ボーン・ヒーローズ』(クリストファー・マクドゥーガル 著)も準備中とのことなので楽しみなところ。

『mark』No.4で連載が始まった菅付さんによる「生き方のトレーニング」の第2回は写真家の操上和美さんが登場するということなので、こちらもぜひお楽しみに。