(写真 八木伸司 / 文 小泉咲子)

「mark 04―スポーツの“場所”と“仲間”」で打ち出した“サードプレイスとしてのスポーツ”という考え方。スポーツを通じて、人と人が繋がったり、スポーツを始めるきっかけをもらえたり。そんな居心地のいい場所やチームを取材しました。そして今回、我々が訪れたのは、函館蔦屋書店

New Balanceとのコラボイベント「函館蔦屋書店×Good Morning Sunshine」が行われると聞いたのです。初回は、書店とスポーツが組み合わさることで生れた相乗効果やワークショップの模様をレポートします。

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書店×スポーツブランドが作る“居場所”とは
なぜ、スポーツブランドが書店と組むのか? そして、函館を選んだ理由とは?その疑問に答えてくれたのは、今回のイベントを仕掛けた函館蔦屋書店の中山慶祐さんとNew Balanceの小澤真琴さん。

――まず、両者が組むことになったいきさつを。

中山 そもそもは、僕がNew Balanceというブランド自体に魅力を感じていたことが始まりです。僕たちは「お客様が風景になる」とよく言うんですが、いい居場所を作っても、そこにひとりでポツンといるだけでは昂れないじゃないですが。カッコいい人たちの中にいるから、自分も感化されることってありますよね。TSUTAYA TOKYO ROPPONGIだったら、外国人がコーヒーを飲みながら本を読んでいるのがカッコよく写って、自分もやってみようといった感覚です。ただ、函館の場合、お客様の層は親子三世代ですし、立地も六本木や代官山とは異なります。それでも、改めて感度の高い方に集まってもらう場所にしたいと考えたときに、New Balanceのようなブランドと組みたくて僕からご連絡しました。

小澤 「ファッションからNew Balanceを知ってくださった方に、スポーツシーンでも履いてほしい」ということを伝えたいと考えていたときに、組む相手として函館蔦屋書店は面白いと思いました。そもそも「なんで函館?」って誰もが思うじゃないですか。函館という地を選ぶことそのものが、東京でやるのとは違うインパクトを生むのではないかと。それと、スポーツとファッションの両極を繋ぐとき、いわゆるスポーツの場ではなく、函館蔦屋書店のようなライフスタイルを提案する場所でやったら、すんなりスポーツもファッションも受け入れられるだろうという予感もありました。

――イベント名「Good Morning Sunshine」とは?

小澤 もともとは、New Balanceの春夏ウィメンズのテーマで、“暮らしの中にスポーツを”というコンセプトから生まれたものです。

中山 サブタイトルを付けるとしたら、“スポーツで輝かせる人生”でしょうか。でも、スポーツとひと言でくくっても、フルマラソンも、ファンランも、ウォーキングも、もっと言えば立つことさえも、スポーツになりうるのではないかと。僕らが「Good Morning Sunshine」でやりたかったのは、スポーツの解釈を広げること。花に興味がある人が、花図鑑片手に山登りをする、写真好きの人がスクラップブックを作りたくてカメラ片手に散歩をする。それもスポーツなのではないかと。それは簡単に言うと、『スラムダンク』を読んでバスケットを始めるのと同じことだと思います。

――本コーナーの選書は、いわゆるランニング入門書から運動と脳の関係を書いた脳科学本まで、バラエティに富んでいてとても興味深かったです。

中山 選書したのは、専門分野のジャンルを持ち商品を選定するコンシェルジュです。“風景・自然を楽しむ”“夢を実現する”などいくつかのキーワードを投げて、それぞれの感性で選んでもらいました

小澤 選書リストをいただいたとき、絵本『ぐりとぐら』があって感激しました。

中山 あれは児童書のコンシェルジュが“仲間とのコミュニケーション”というテーマで選んだんです。

小澤 自分では出会えない本がたくさん並んでいて、面白かったです。

左・中山慶祐さん。函館 蔦屋書店株式会社 取締役CBO。北海道地域のスーパーバイザーや店長を経て、函館 蔦屋書店のオープン時から携わる。右・小澤真琴さん。ニューバランス ジャパンにてマーケティング業務に就き、主にウィメンズウォーキングやキッズを担当する。

――函館蔦屋書店は、これまでもスポーツイベントに力を入れてきたのでしょうか?

中山 ヨガはやったことがあるんですが、ほぼ文系のイベントしかしてきませんでした。社長をはじめ、社員全員が「新しい“好き”」をキーワードに働いています。つまり、何かを好きになるきっかけを提案しているんですが、スポーツに関しては研究が足りませんでした。

――それは、函館という地理が関係しているのでしょうか?

中山 東京では走ることが、ひとつの文化として浸透していますが、函館は完全な車社会。すぐ先のコンビニにも車で行きますし、冬も寒くて雪が積ります。東京だと、たとえば中目黒に住み、目黒川沿いを走ることが、ある種、ファッション的にカッコいいとされているところがあると思うんですが、そうした走る文化は、函館にはまだ広くは根付いてないですね。僕、実は“ランステ”という言葉を正確に知らなかったんです。てっきり室内で走るスポットのことかと。函館の人に聞いてみても、知っている人はいなかった。

小澤 それでも「Good Morning Sunshine」のワークショップは、ヨガ&ランなどアクティブなイベントほど人気が高かったです。

――スポーツをしたい気持ちは、潜在的にあるのかもしれませんね。

小澤 ランのインストラクターも、参加者の意識の高さに驚いていました。こんなに反応が感じられるイベントは珍しいと。もしかしたら、車社会だからこそ更衣室が必要ないメリットもあるんじゃないかって。車があればランウェアを着たまま来て、走った後もそのまま着替えずに帰れますよね。駐車スペースもたくさんありますし、ランステーション的な拠点に、函館蔦屋書店がなりえるのではないかと思いました。

中山 函館蔦屋書店は店内だけで2500坪あるんです。端から端まで歩くとかなりの距離があります。小澤さんが以前「店の中を歩くこともスポーツ」とおっしゃりましたけど、まさにそうだと感じます。走れない冬は、店内をNew Balanceのウォーキングシューズで歩いてもらってもいいですしね。

――函館蔦屋書店を歩いて感じたのは、コミュニティの中で居心地のいいサードプレイスとしての存在感です。読書に没頭する人、おもちゃで遊ぶ親子、ゲームに熱中する男の子たち、雑貨を探すカップルと、それぞれが自分たちの居場所を見つけて、過ごしている印象でした。

中山 ネットで買う物の1位が本という時代、リアル店舗に行く価値は何なのか。ここでしか味わえない上質な時間と空間をデザインしなければ、ネットに勝ることはできません。「Good Morning Sunshine」もそうですが、ネットではできないことをやることが、居場所作りになるんだと思います。

モチベーションの高いワークショップ参加者たち
4月27日から19日間にわたり開催された「Good Morning Sunshine」。ランニング時に使う脚、骨盤、肩甲骨を中心にしたヨガとランニングを組み合わせた“ヨガ&ランニングレッスン”や、New Balanceのシューズを履いて店内・店外を歩いたり走ったりする“函館蔦屋書店 RUN&WALK”など、期間中はさまざまなイベントが行われた。

「シューズの貸し出しというのは、今履いている靴を脱ぐのはやはり面倒ですし、なかなかやっていただけないこともあるのですが、すごく反応がよくて!ランニングのワークショップを担当したコーチも、参加者の反応のよさに驚いていました。ランニングのコーチも、イベントを機に日常的に走るようになってもらえそうな予感を掴んだそう。それを聞いて、すごく嬉しかったです」とNew Balanceの小澤さん。

充実のスペシャルコンテンツ
5月9日、10日の2日間は、札幌を拠点に活動する『Mag+ あくび食堂のスイーツ』や、話題のモバイル型セレクトショップ『FreshService』などが参加したマルシェなど、スペシャルコンテンツが満載。イベントを彩った。

訪れた人が、函館の好きなスポット=“Sunshine”をシールでマッピングしていく「函館Sunshineマップ」。多くのマッピングが施され、函館の人たちの地元愛が詰まった世界でひとつのマップが出来あがった。

『Mag+ あくび食堂のスイーツ』は、動物性食材を使わず、できるだけ北海道産の材料を使ったvegan対応のおやつを販売。焼き菓子、マフィン、スコーン、グラノーラは、どれも自然な甘みで美味。

クリエイティブディレクター・南貴之氏が手掛ける『FreshService』では、アパレルからテーブルウェア、文具まで多彩なアイテムで上質なライフスタイルを提案。神宮前のショップでは扱っていない物も並んだ。

次回は、人気の高かったヨガ&ランニングのワークショップの様子をレポートします!

New Balance 運営メディア『Good Morning Sunshine』▶http://gms.life/
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