(写真 飯坂大 / 文 小林朋寛)

晴れ渡る青空にそびえる磐梯山! その裾野に広がる白銀の雪世界! 3月21日と22日にアルツ磐梯スキー場にて開催されたALTS DAYSは好天に恵まれ、麗らかにその姿を現した磐梯山を眺めながら快適なゲレンデを余すところなく堪能できる2日間となった。

シーズン最終週末となった両日、アルツ磐梯を訪れた人たちに向けて、普段とは一味違ったスキー場の楽しみ方を提案すべく初開催となった今回のALTS DAYS。ゲレンデを滑走するレースだけでなく、映像、音楽、食を楽しむことができるイベントを盛り込み、ウインタースポーツを楽しみながらも心地よく過ごすことができる“居場所”としての存在感を醸し出していた。

実は筆者、東北出身ながらスキー場を訪れるのは約20年ぶり。当時の記憶と照らし合わせながら過ごした2日間のALTS DAYSではゲレンデの変化にたびたび驚かされた。真っ白な世界に映えるスキーヤーやスノーボーダーたちの個性豊かで鮮やかなファッション、多様なスタイルで滑ることができるコースの数々など、ウインタースポーツのシーンは明確な進化を遂げている。ウェアから各ギアまで気軽に利用できるレンタルの充実ぶりにも目を見張らされたし、何よりALTS DAYSのようにオルタナティブなイベントがあれば初心者でも気軽にスキー場を楽しめることを強烈に実感した。そして、今や悔しさすら感じる20年の空白を埋めるべく、来シーズンはたびたびスキー場に足を運ぼうと誓ったのだった。

関係者・来場者に聞いた「ウインタースポーツの醍醐味とは?」

磐梯山に抱かれるように広がる気持ちのいいゲレンデでは特別に用意されたコースをスラローム滑走する“Banked Slalom”やソリで3,000mを一斉に滑る“SORI-1 KING”などのレースが開催された。アルツ磐梯の石内圭一さんにこの場所の魅力を訊くと、その独特な地形環境を挙げてくれた。

「アルツ磐梯の魅力はふたつあります。ひとつはゲレンデの下側にフラットな部分が広がっていること。お客様からはよくネガティブな要素として、リフト乗り場まで歩くじゃないかと言われるんですけど、逆にここまで開けてるスキー場って日本にはなかなかないんですよ。その開放感が素晴らしい。ふたつめは南向きの斜面。スキー場って北斜面に位置してる方が雪質がいいので、これもよくネガティブにとらわれるんですけど、逆にずっと太陽が出てますよね。東から西に向けて太陽に燦燦と照らされながら一日中滑れる場所ってなかなかない。実はネガティブな部分がふたつあるけど、私はそれをポジティブな魅力だと思ってます」(石内さん)

ALTS DAYSでは、VECTOR GLIDEとICELANTICのスキー試乗会に合わせ、スキーブーツの無料レンタルまで行われた。VECTOR GLIDEを手がけているプロスキーヤーの秋庭将之さんは試乗会で参加者との活発な交流を楽しんでいた。

「ウインタースポーツの醍醐味は雪山の景色の中を風を切って滑ること。白と青の世界って雪山にしかないんですよ。それがとにかく気持ちいいのと、その空気の中で自分の肌で風を切って滑走できるのが醍醐味ですね。

バックカントリーはそれなりのリスクがあるし、しっかりとした準備が必要だけれども、それがすべてではない。今はゲレンデ内にフリーアクセスのコースがあったり、パークがあったり、ゲレンデの地形を使って楽しみの幅が広がってます。この10年ぐらいでギアもファッションも遊べるフィールドもすごく変化してますよ。だから、初めての人でもすぐに楽しめると思います。

まずは色んなコンディションを一台で楽しめるスキーを選ぶといいです。オールマウンテンモデルというカテゴリがあって、ちょっと雪が降ったところでもいけるものがあるので、その一台でいろいろ楽しめます」(秋庭さん)

“Spring Beer Garden”内で出店していたmoiwa curryの手伝いでALTS DAYSに参加した玉木綾香さんも仕事の合間にVECTOR GLIDEを試乗。「ウインタースポーツはいろんな人と一緒に楽しめるので、友だちが増えます。冬が楽しくなりますよ!」(玉木さん)

東京から友人に誘われてアルツ磐梯を訪れた石川雅士さん、仁さんご夫妻。ウインタースポーツといえばスノーボード派のおふたりも、久しぶりにスキーをやってみたくなりVECTOR GLIDEの試乗会に。今回のALTS DAYSではこの試乗会に合わせてスキーブーツの無料レンタルも実施されたのが背中を押した一因となったようだ。「斜面を滑る感覚は他のスポーツにはない。アルツ磐梯は景色もよく、山だからこその非日常感を味わえる場所ですね」(仁さん)

インターネットでALTS DAYSの情報を見つけて白石市から来た、佐々木孝生さん、実恵さん、日菜乃ちゃん、宥菜ちゃん家族。10歳の日菜乃ちゃんはCandy Parkで目立った滑りをするとキャンディがもらえる“Candy Jam Session”に出場し、8個のキャンディをゲットしたとのこと。「悔しかったので来年は10個取れるように頑張りたい!」(日菜乃ちゃん)「下の子も一緒にみんなでスキー場に来られるようになったので楽しいです。もはや子どもたちの方に引っ張られるような感じです(笑)」(孝生さん)

8年前からアルツ磐梯のガイドスタッフとして、スリースタイルのスキースクールや子供向けの雪山遊びのプログラムなどを手がけてきたスキーヤーの中島力さん。「ウインタースポーツの醍醐味は“無になること”。その瞬間のためにスキーをしてます。冬が嫌いな人が多いけど、スキーをするだけで冬を好きになれる。冬を好きになれたら一年中楽しく過ごせるでしょ。そういうライフスタイルがスキー場にはあるんだよね」(中島さん)

メイン会場では音楽レーベル『JAZZY SPORT』のDJライブも繰り広げられた。主宰のMasaya Fantasistaさんは「サッカーもクライミングもすべてはスキーのためだと思ってやっている」と自分が取り組むすべてのアクティビティが、時に厳しい環境でのアクティビティを余儀なくされるスキーを楽しむためのものという位置づけだと話してくれた。

DJによる色鮮やかグルーヴに加えて、移動式野外映画館『CINEMA CARAVAN』もスキー場に登場。雪を固めて作ったスクリーンはメイン会場の中でもひときわ目を惹いていた。雪上でのスクリーン設置は3回目という主宰者であり、写真家の志津野雷さんも独自の視点で今回のALTS DAYSについて語ってくれた。

「(アルツ磐梯は)外からの風もちゃんと受け入れてくれる雰囲気がある。自分もオープンスタンスで地元の逗子に人を受け入れたい性格だから、すごく共感できるね。だから、やるんだったら全力でやりたい。一回じゃなく、つづけていきたいよね。ずっと海では遊んでいたけど、雪山の世界は知らなかったから、今はこっち側の人からいろいろ教えてもらってるところ。アドレナリンの出方は海でも山でもスケールがでかいから、そこが面白いね」(志津野さん)

スクリーン設置や上映以外の時間にスキーを楽しんでいたCINEMA CARAVANのスタッフ佐野竜也さん。「温泉とスキーは1セット!」とスキーで汗を流した後に熱いお湯につかるのを楽しみにしていた。

ALTS DAYSレポート後編は発起人である山根賢作さん(Cast Inc./右)と田中嵐洋さん(FULLMARKS Inc./左)の対談をお届けします。