(写真 55 Co.,Ltd / 文 小泉咲子)

【名前】井原知一 TOMOKAZU IHARA
【生年月日】1977年7月1日
【年齢】36歳
【職業or所属】会社員(アメアスポーツジャパン㈱)/DMJ所属
【HP or BLOG】http://tomokazuihara.blogspot.jp
【やっているスポーツ】トレイルランニング

フィットネス機器ブランドの『PRECOR』事業部に勤務している井原さん。展示会向けの企画で、毎日5km走り、3ヶ月で7kgの減量に成功してから、ランにどっぷりの生活が始まりました。今ではトレイルランニングで100マイルを完走。「素人の自分でも世界を狙えることを証明したい」と熱い決意を語ってくれました。

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“走って痩せる”会社の企画が100マイルへの入り口だった
高校生まではサッカーをやっていて、178㎝で68kgと、スリムだったんです。それからアメリカに留学して、サーフィンを少しやる程度で運動をほとんどしなかったんですよ。日本に帰国して就職し、会社を転々としていて、今いるアメアスポーツに入社した頃には、98kgになってたんです。フィットネス機器を扱う『PRECOR』事業部の所属だったんで、「お前、太ってていい素材だから、展示会までの3ヵ月で、トレッドミル(ルームランナー)で走って、会社で扱ってる『SUUNTO』の時計も使ってBMIを減らせ」という指令が出て、毎日5km走ることに。最終的に、3ヶ月で7kg減。最初はただただつらかったのに、次第に好きになって、毎日走らないと気が済まなくなってました。顔洗わないと気持ち悪いのと同じ感覚ですね。

展示会が終わって目標がなくなってしまったんですけど、『SUUNTO』が協賛しているトレイルランの大会に出ることになって、大会前に社内の経験者と陣馬山に行って走った瞬間、「こんな楽しいことがあるんだ!」って衝撃が走ったんです。苦しい、でも、楽しくて、気持ちいい!完全にハマっちゃって、久しぶりに木や土の匂いを嗅ぎながら、「素晴しいスポーツだ」と思いましたね。

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仲間と研究を重ね、DIYで練習してきた
どんどん距離が伸び、信越五岳で110㎞に2010年に出たときに、初めて1桁の順位、8位になりました。後半になるにつれて、トップ選手がポロポロ落ちてくるんですよ。トップ選手の調子が悪いのかと思っていたら、僕が強くなっていた。長距離が向いていたんですね。

初めて走った100マイルレースがOSJトレイルランニングレースシリーズの『おんたけウルトラ100マイル』。そこで4位になったんです。

レース前に、僕が企画している『T.D.T 100(通称:ツールド・トモ)』で羽田から青梅まで往復100マイル走ってみたんです。100マイルの世界が想像できなかったので、山ではなく、エスケープしやすい電車が通っているコースにしました。今では100マイルがポピュラーになってますけど、当時はよく分からなかった。海外のトップ選手の練習を取り入れたり、とにかく距離を伸ばす練習を金曜の夜から土曜の朝にかけてやったり、研究に研究を重ねて、DIYで練習法を作っていました。

初の海外100マイルレースは、アメリカ・キメラの100マイルに出ました。国立公園の中で行われる大会です。このレースで3位になったことで手応えを感じて、それからはコンスタントに年に4、5本は100マイルレースを走っています。レース以外も、仲間内で『T.D.T 100』というのをやっているので、100マイルは合計すると19回経験しています。

『DMJ』というチームに所属しています。メンバーは、苦しいことが大好き(笑)。最初に奥久慈で練習したんですが、後半に激しい坂があるんです。そこで追い込むときに、僕が「ドM!ドM!」って掛け声をしながら登っていったんですよ。それで、チーム名をつけるときに、「OSJみたいな3文字がいい」「じゃ、DMJ=ドMジャパンで」と。これがチーム名の由来です(笑)。
 

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100マイルは僕らだって世界を狙える
人間の体って、80マイル=120km以上走ると、どんなトップ選手だってボロボロになるんですよね。今回のUTMF(ULTRA-TRAIL Mt.FUJI)にしても、120㎞ともなると、世界トップクラスのフランソワ・デンヌやライアン・サンデスにしたって脚を引きずってるんです。残り40㎞は、気持ち。心が折れてやめてしまったら、そこで終わってしまうんです。でも、ゴールを目指す強い気持ちがあればゴールができる。気持ちが70%、経験値が20%、10%が練習ですね。

100mでウサイン・ボルトみたいに僕らがなろうと思ってもなれないし、マラソンでもトップになかなか立てない。でも、ウルトラの100マイルというのは、まだまだ改良しがいがあるスポーツと言うか、未知の部分が多くて、僕らでも世界を狙えると思うんですよね。だから、来年のUTMFでは最低10位以内に入って、素人の自分でも、トップランナーと走れることを証明したいですね。