(写真 GENKI / 文 小泉咲子)

自分のペースとタイミングで、ランニングをライフスタイルの一部に。そんなランライフを送る人たちにフォーカスした本連載の2回目は、アートディレクターの宮本淳平さんが登場。「タイムは二の次。大会を目標にしていない」という彼だが、いつか辿りたい境地がある。彼がランを通じて目指すところはどこにあるのか?

走るときは、ひとりで自分と向き合う時間

妻といっしょに雑誌を中心にしたデザイン事務所をやっています。走り始めたのは3年前から。最初、妻が走り始め、彼女に誘われて僕も走るようになりました。会社務め人の方たちに比べると、自営業の僕はスケジュールの調整がつきやすいこともあるけど、着替えて、ストレッチして、走って、シャワーを浴びるまで、1時間あればできちゃう。走りたいと思えたときにすぐにできるのがランの気軽さだと思います。

ずっと事務所でパソコンでデザインをやっていると、パソコン画面に集中し過ぎてしまうので、外に出て、走ることが気分転換になっています。結局、走りながら仕事のことを考えてはいるんだけど、風景が一変することで、仕事部屋では思いつかなかったアイデアが浮かぶこともあるし、デザインの方向性で煮詰まってしまったときなんかは、頭が整理できて「これでいいんだ」って考えがまとまるんです。走っている間は、仕事以外にも、将来のこと、家族のこと、しっかり自分と向き合い、思考を巡らせる時間になっています。

走るのは平日、週に3、4回、6キロくらい。月間走行距離は50~70キロくらいかな。でも、回数や距離を目標にしているわけではないです。大会を目標に設定して、そこに向かって頑張るタイプもいるけど、僕は大会もあまり関係なく走っています。ハーフマラソンは、妻や友人に誘われて4回出ましたけど、タイムも気にしないから忘れちゃう。そもそも誰かに誘われなきゃ出ないと思います。

妻は割と、タイムを気にする方ですね。僕のタイムも把握していて、「前のレースより何分縮めた」とか「私より先にゴールした」とか言ってくるんです(笑)。僕はタイムにこだわってないから、すぐに忘れちゃうんですけど。誰かにフォームを指摘されるのも好きじゃない。僕が思う通りに走れないんだったら、やめちゃいます。それくらい、走りに対しては、自由でいたい気持ちが強いです。

楽しく走ることで生まれるゆとりを手にしたい

年1回、ハーフを走れるくらいの走力はキープしたいし、今、37歳で、40歳までにフルを完走してみたいとは思いますけど、走る上で、これといった目標はないんですよね。

じゃ、なぜ走るのか。

ランをしている人の中に、ものすごく楽しそうに走っている人っていますよね。たとえば、NYのセントラルパークで、毎日走っているおじさんとか。僕も走っているけど、正直なところ「何がそんなによくて走ってるんだろう」っていう目で見ちゃうんですよ。もしかしたら、ライフスタイルにランを取り入れたら、彼らみたいになれるのかな。そう思って走ってはいるけど、僕はまだまだ。3年走っていても、心底楽しくて走っているわけではなくて。ランって奥深いな、と思います。

「この人、ゆとりあるな」って言う人に、どんなスポーツをやってるのか尋ねると、日課として走っている人がけっこう多いんです。そういう人たちって、ランナーであることをとくに強調してないから、走ってるとは一見するとわからない。でも、走ることで自然とゆとりが生まれてるように見えます。いつか、そうしたゆとりのある大人の境地にいけたらいいなと思いますね。もしかしたら、そこに辿り着きたくて、走っているのかもしれません。

スケーターとして、ランに対する抵抗感があった

スポーツ経験は、中学校の部活でやっていたソフトテニスがスタート。でも、部活にはあまりいい思い出がなくて。やたら走り込ませるし、軍隊みたいな雰囲気に嫌気がさして、高校では部活に入りませんでした。それで、スケートボードを仲間と始めたんですよ。スケートボードって、とにかく自由。大人になってから始めたランも、自分の好きなときに、自分がやりたいようにできる点で、似てますね。

とは言え、やっぱりスケートとランとでは、周りからの受け止められ方がかなり違うんです。自由なカルチャーの象徴のようなスケートに対して、ランって少しストイックというか、真面目な人がコツコツやる印象があるじゃないですか。だから、最初の頃は、「走り始めた」ってボード仲間に言うと、「え!?」って驚かれました。ちょっとした拒絶反応でしたね(笑)。ボードをやっている人間からすると、専用のウェアとシューズを買って、黙々と走ることが、ストレートに言っちゃうと、ダサいんです。

僕自身、そう思ってたところがあって、走り始めた頃は、ランニング用のギアを身につけて走ることに抵抗がすごくありました。だから、普段着てるTシャツとショートパンツに、スニーカーもふつうので走ってました。でも、汗をかいて走りにくいし、半月板を損傷しちゃったんです。それからは、ちゃんと自分に合ったランニングシューズで走らなきゃいけないんだって気づいて、足を計ってもらって買いました。

ニューバランス1040は、クラシックなテイストが好み

タウンユースで1500と993も履いています。履き過ぎて、それこそ加水分解しちゃうくらい(笑)。矯正器具から始まったとか、職人さんが手作りでMade in USAにこだわっているとか、そうしたブランドヒストリーが面白いし、グッとくる。アートディレクターとしてファッション関係の人に会ったり、ファッション誌に目を通す機会が多いんですけど、スタイリストとかファッション好きの人からもニューバランスはすごく愛されてますね。パッと見ると、ごつくてボテッとして、いい意味で野暮ったい。その独特なデザインが、履くにつれてジワジワくるんですよ。

1040は、軽いんだけど、クッション性もしっかりしてますね。ソールが厚くて丈夫で、怪我を経験した僕にとってはすごく安心できる。普段から、ニューバランスを愛用しているけど、「ランニングシューズをニューバランスで」という発想は正直、なかったです。ずっと「クラシックなデザインのランニングシューズがあればいいな」とは思っていたんですけどね。そんなときに、1040を見つけました。これは、クラシックなテイストが感じられて、僕の好みにぴったりのランニングシューズです。


ニューバランス M1040
重量:約285グラム(メンズ片足 27.5cmの場合)
価格:12,500円+税
レングス:24.5~29.0cm ウイズ:D,2E
レングス:24.5~29.0,30.0cm ウイズ:4E,G 

宮本淳平(みやもと じゅんぺい)
1977年広島県生まれ。グラフィックデザイナー。2001年より株式会社mediumにて、ファッション雑誌を主とした紙媒体のデザインに就く。2006年よりデザイン事務所「natalie」を構え、独立。現在は、エディトリアルデザインを中心に、企業ロゴやアパレルウエアなどのグラフィックデザインを手掛けている。
www.natalie-design.jp