(文 村松亮)

紆余曲折を経て、昨年秋ついに始動した男子バスケットボールのトップリーグ「ナショナル・バスケットボール・リーグ(NBL)。イースタンカンファレンス、ウエスタンカンファレンスの2地区に分かれ、1チーム当たり年間54試合を行うこの新しいリーグを起爆剤に、NBL専務理事・山谷拓志氏は「バスケットボールを、野球、サッカーに並ぶ第3のメジャースポーツにしたい」と幾度となく語ってきたという。

前回サッカー日本代表の山口蛍選手を迎えた連載『nike training people』 、第二弾は現在大学四年生として東海大学に在籍しながら、NBLリーグに所属するル田中大貴選手が登場。在学中ながら、2014年にトヨタ自動車に内定を受けると、アーリーエントリーとして2月1日付でチーム入団を決めたルーキーが、チーム入りを急いだ理由について語る。

大学在学中にアーリーエントリー! のワケ

「これまでに日本代表にも選ばれ、国際大会にも出場する経験をしてきました。他国の同世代の選手たちをみると、トップリーグでどんどん活躍しているんですね。そう考えると、22歳という年齢は決して若くない。僕には休んでいる時間はないなって感じていたので」

つまり自主的な練習はともかくとして、試合から離れ、試合感を鈍らせたくなかったのだそうだ。

「もちろんまだ学生なので、大学生としてのスケジュールを優先することになる部分はあります。チームに早く合流できるよう準備を整えてもらえたおかげでチャレンジする気持ちでとても高ぶっています」

大学リーグからトップリーグへの昇進は決してゆるやかなものではない。田中選手自身はどのような課題を自覚できているのだろうか。

「これまではチームプレイの中で自分が得点するといったケースが多かったんです。でもこれからは自分が起点となって、オフェンスを引っ張っていくようなプレイもできないといけません。そのためにはドリブルなどの細かなスキルをもっと精度を上げていかなければならないですし、1対1の強さや得点力ももっと上げていきたいんです。自己分析では現在の体力面やペリメーターからのシュートなどは、ある程度通用するのではないかと思っています」

人一倍のトレーニングこそ自分の原点

「僕はかねてから、常に人一倍練習しなければ周りに追い付けないという気持ちでトレーニングに取り組んできました。ミニバス時代から中学、高校といわゆる日本のトップを通れてきたわけではないんです。高校も県内では強豪校でしたが、全国区のチームとは言えません。ですから当時は、“そこそこ活躍すれば、関東の大学に行けるかもしれない”という意識でしかなかった。それが同世代の代表チームに呼んでいただいたり、レベルの高い選手たちとプレイする環境が徐々に僕の意識も変えてくれたんです。だから僕の原点は、“人一倍のトレーニング”なんです。NBLに行っても、そうしたスタイルを変えずにやっていきたいと思っています」

最近の特徴的なトレーニングは『軽い負荷で動きをつけたトレーニング』だという田中選手。国際試合などの経験を経て行き着いた答えは、「身体を絞るだけではなく、フィジカルをアップさせ、動けるかつ脚力のある選手であることが理想」なのだという。

さらに、NBL入り後に意識したいトレーニングのポイントとして“効果的な休養”というキーワードがある。

「思えば、高校生の時は休みがなかった。逆に大学時代はかなり休みがありました(笑)。それが馴れなかった性か、代表から戻ると、大学のチームに合流してすぐに練習に参加したかったんですけど、そこは意識的に休まされてましたね。その頃から特に試合の前は適度に休みを入れるようにしていますね。昨シーズンを振り返ると膝や腰が痛かった時期もありましたし、でもただ休んで痛みが取れるというものでもなかった。身体がまだ未熟な部分もありますけど、休養とトレーニングのバランスも学びながら、改善していきたいと思っています」

田中 大貴(たなか だいき)
1991年9月3日生まれ、長崎県出身。ポジションはシューティングガード。東海大学在学。トヨタ自動車アルバルク東京所属。日本代表歴に、第26回ユニバーシアード、第34回ウィリアム・ジョーンズカップ、第4回FIBAアジアカップがある。