(文・肥後徳浩 / イラスト・鈴木仁)



学生時代に箱根駅伝を走り、その後日本代表としてオリンピックや世界陸上選手権を走る選手は少なくありません。現役世代では、男子マラソンでロンドン五輪6位、世界陸上モスクワ大会5位に連続入賞している中本健太郎選手(安川電機)や、男子10000mの日本代表として活躍する佐藤悠基選手(日清食品グループ)、マラソンの藤原新選手、川内優輝選手も箱根駅伝を経験しています。

今度の箱根駅伝を走る選手の中にも、将来は日の丸を背負うランナーとして活躍が期待されている選手がいます。2020年の東京オリンピック開催が決まったこともあって、早稲田大の大迫傑選手や駒澤大の窪田忍選手、東洋大の設楽兄弟といった選手たちの活躍には、弥が上にも期待が高まります。

トラックで世界と戦う大迫選手

昨シーズンの全日本選手権10000mで佐藤悠基選手に胸の差で敗れ、ロンドン五輪日本代表を逃したときには、地面を叩いて全身で悔しさを表した大迫傑選手。今シーズンは4月のカージナル招待で27分38秒31の自己ベストをマークし(この記録は日本歴代4位、学生最高記録になりました)、世界陸上モスクワ大会に日本代表として出場しました。一人チームを離れ練習拠点をアメリカに移し、世界選手権後もヨーロッパでトラックレースを転戦するなど、学生ながら自分の進むべき道を見定めて、トラックで世界と戦う挑戦を始めています。

マラソンに挑戦する窪田選手

窪田忍選手は、安定感と勝負強さを兼ね備えた駒澤大のエースです。駒澤大に入ってから頭角を現してきた選手で、学生駅伝では2年から主要区間を任されています。駒澤大のような強豪校に於いても学生の間にマラソンに挑戦する選手は希なのですが、窪田選手は3年の時にびわ湖毎日マラソンに出場し注目を集めました。初マラソンでは給水所で転倒があったり、30km過ぎから失速してしまったりと、本人もおよそ納得のいく走りではなかったようですが、将来マラソンで日の丸を背負う資質は大いにあると感じます。

最強の双子、設楽兄弟

東洋大の設楽啓太選手と双子の弟の悠太選手も今シーズンは兄弟揃って27分台のタイムを叩き出し(モスクワ世界陸上派遣標準記録Bを突破)、学生レベルを超えた存在です。設楽啓太選手は2月に30kmの学生新記録(1時間29分55秒)も樹立しており、やはり将来は日本を代表する選手として有望視されています。

もう一人の同年代ライバル

大迫選手や窪田選手、設楽兄弟の同年代には、学生のライバルの他にも世界を見据えて走っているランナーがもう一人います。それはトヨタ自動車に所属する実業団ランナーの宮脇千博選手です。宮脇選手は、中京高校を卒業後、関東の大学には進まずトヨタ自動車に入社し、1年目から即戦力として活躍しています。2013年のニューイヤー駅伝では1区で区間賞を獲得し、ハーフマラソン日本歴代3位の記録も持っている選手で、2016年のリオ五輪では代表有力候補と言われている存在です。

宮脇選手は元旦に行われるニューイヤー駅伝2014に出場が予定されていますが、来シーズンからは大迫選手や窪田選手も同じ実業団の土俵の上で走ることになりそうです。窪田選手は卒業後、宮脇選手と同じトヨタ自動車に、大迫選手は佐久長聖高校の先輩でもある佐藤悠基選手や村澤明伸選手と同じ日清食品グループに就職が決まっているそうです。日本トップレベルの選手たちがしのぎを削って互いを高め合うことになりそうです。2014年の世界陸上、2016年のリオ五輪、そして2020年の東京オリンピックと続く国際大会。箱根の先に広がる世界を想像しながら、駅伝の観戦/応援を楽しみましょう。

(文中敬称略)
読んでから観よう!第90回箱根駅伝
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