(文・肥後徳浩 / イラスト・鈴木仁)


前回大会、予選会から勝ち上がった日本体育大は、3年生キャプテン服部翔太が5区で東洋大を逆転しトップに立つと、その勢いのまま復路も独走し、見事30年ぶりとなる総合優勝を果たしました。

盤石の布陣で連覇に挑む日体大

前回覇者の日体大・別府駅伝監督は「目標は特にない」としながらも、前回優勝メンバーの多くが残る選手層の厚さに加え、一人で戦局をひっくり返す力を持つエース服部翔太がいるため、やはり今回も優勝候補に挙げられます。

箱根の5区というのは、平坦では決してつかないような大差を作ることが出来る特別な区間です。過去5回の箱根駅伝では、5区で区間賞を取ったチームの優勝が4回もあります(柏原・東洋大が3回、服部翔太・日体大が1回)。日体大が連覇を狙うなら前回同様、服部翔太を5区に起用する可能性は高いと思います。その5区で首位に立ちライバルへのリードを作るためにも、4区の終わりまでに先頭との差を最小限(1分以内とか)にとどめたいはずですから、小田原中継所での、日体大とライバル校のタイム差に注目してみて下さい。

もう一人の注目選手は2年の山中秀仁です。今シーズンは絶好調で、駅伝でも出雲3区で区間2位、全日本2区で区間新記録(大迫と同タイム)と、最も勢いに乗っている選手です。さらに連覇に向けた好条件として、下りのスペシャリスト鈴木悠介本田匠矢野圭吾、甲斐翔太、勝亦祐太といった層の厚さが挙げられます。全日本ではアンカーの矢野に脱水症状とみられるブレーキがあり順位を3位から8位まで落としましたが、その矢野は2週間後の上尾シティーハーフマラソンで1時間2分38秒の4位と快走していることから不安材料にはならないでしょう。山のスペシャリストを擁し、スタミナ型の選手が揃う日体大は盤石の布陣と言えそうです。

絶対エース大迫と山本が強力な、早稲田大

モスクワ世界陸上日本代表の大迫傑がキャプテンを務める早稲田大は、大迫と3年の山本修平がかなり強力です。今シーズンは出雲、全日本ともに序盤でかなり出遅れましたが最終的に4位まで追い上げました。スタミナのある選手が多く、2年連続で5区を走っている山本の存在は大きなアドバンテージになります。序盤から大迫の走りで主導権を握るか、良い流れに乗れれば往路優勝の可能性は見えてきます。ルーキーの平和真や武田凜太郎、2年の柳利幸や高田康暉、3年の田口大貴、4年の田中鴻佑といったメンバーが有力で、志方文典の復帰も期待されます。1年から主力を務めてきた大迫がWのユニフォームを着て走る最後の走り、そして山本の闘志溢れる走りに注目して下さい。

3強の一角を崩す可能性をもつ明治大

スピードランナーを数多く擁する強豪校、明治大も、3強の一角を崩せる可能性のあるチームです。箱根エントリーメンバー中上位10人の10000mの平均タイムは東洋大、駒澤大、早稲田大に次ぐ4位という記録を持っており、今シーズンは全日本で3位に入っています。チームの主軸は、大六野秀畝、有村優樹、文元慧、八木沢元樹といった3年メンバーで、特に1区を得意とする文元とエース区間を走れる大六野の存在は序盤の流れを作るために欠かせません。同じく3年の山田速人や2年の横手健、全日本7区区間賞の木村慎といった有力メンバーもおり、山には6区区間賞候補筆頭の広瀬大貴がいます。前回は9、10区でまさかの大ブレーキがありましたが、各選手が崩れることなく走る事が出来れば、3位以内に入る可能性は十分あります。

下級生の勢いを力に変えたい青山学院大

かつての出岐のような大エースは不在ながら実力のある選手が数多く揃う青山学院大は、その勢いに安定感が加わればかなり面白い存在です。今シーズンは2年生エースの久保田和真を故障で欠きながら、出雲5位、全日本6位と上位に定着し、選手層の厚さをみせています。2年の神野大地小椋裕介、ルーキーの一色恭士といった下級生の勢いと、前回8区区間賞の高橋宗司、高島平ロードレース優勝の石田駿介、それに竹内一輝、藤川拓也といった3,4年メンバーの安定感がかみ合えば、上位に食い込んでくるかも知れません。

2人のエースが強力な山梨学院大

2年のケニア人留学生エノック・オムワンバと3年の井上大仁という2人のエースが強力な山梨学院大学も勢いのあるチームです。箱根の予選会では、オムワンバが1位、井上が5位と好記録を出しチームは全体の2位で箱根出場を決めました。全日本では2区でエース井上が区間新記録(大迫、山中と同タイム)の快走で流れを作ると、兼子侑大、森井勇磨、阿部竜巳らが好位置でアンカーのオムワンバにつなぎ、5位まで順位を押し上げています。エースが序盤で良い流れを作り、全日本のようにうまく繋いで行ければ、上位に食い込む可能性は十分にあります。

エースの復活で勢いにのる法政大

前回は予選会8位通過ながら往路5位、総合9位と大健闘した法政大には、勢いのある3年の西池和人と登りが得意な関口頌吾がいます。高校時代には世代トップだった西池も1,2年のときは故障に苦しみましたが、出雲1区3位、全日本2区5位と快走し、上尾シティハーフでも1時間2分36秒の2位とその勢いは止まりません。前回5区区間2位の快走をみせた関口は、ひたひたと走るピッチ走法が特徴的で、強さと安定感を兼ね備えた選手。チームには、3年の黒山和嵩や4年の田井慎一郎、田子祐樹といった有力選手がいます。西池が主要区間で流れを作り、好位置で関口に繋ぐことが出来れば、上位も一気に見えてきます。

読んでから観よう!第90回箱根駅伝
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