(文・肥後徳浩 / イラスト・鈴木仁)


2014年1月2日、3日に開催される第90回箱根駅伝(東京箱根間往復大学駅伝競走)。正月の風物詩ともいえる国民的スポーツイベントですが、みなさんはこたつでみかんを食べながらテレビ観戦する派ですか? それともスマホ片手に沿道で応援する派ですか? 中継は録画しておいて、ジョグで応援しに行くなんていうのも良いですよね。

各校のエース達が走る最後の箱根駅伝

そんな毎年楽しみにしている箱根駅伝ですが、今回は例年にも増して楽しみで、もう早く年が変わってしまわないかと思っているくらいです。というのも、2020年の東京オリンピック開催決定後初めての箱根駅伝になりますし、大迫傑窪田忍設楽啓太服部翔太といった学生長距離界をリードしてきた各校のエース達が走る最後の箱根駅伝になるからです。今度の箱根を走る選手の多くは6年後には24〜28歳。長距離選手としてはもっとも脂の乗った時期になるでしょうから、マラソンやトラックで世界と戦う選手がここから羽ばたく、と思うといつも以上に興奮してくるのです。

前回の箱根駅伝と、今シーズンの駅伝の結果を見てみましょう。

前回の箱根駅伝は5区で首位にたった日体大が復路も独走し、30年ぶりの総合優勝を果たしました。箱根の登りで逆転を許した東洋大はその差を詰めることが出来ずに総合2位、キャプテンを欠き往路で苦戦した駒澤大は復路で追い上げ総合3位となりました。

そして、前回の4年が卒業し新体制で挑んだ今年の駅伝シーズン。開幕戦の出雲駅伝と、次の全日本大学駅伝で、駒澤大が2位以下を圧倒して優勝し、学生三大駅伝三冠に王手をかけました。一方の東洋大は、三大駅伝5大会連続2位という悔しい結果に終わりました。前回の箱根覇者である日体大は、全日本ではアンカーにアクシデントがありシード圏外の8位になりましたが、チーム力はいまだ健在で、箱根連覇を狙うには十分な戦力があります。

前回大会や全日本の結果から見て、今大会の優勝争いは、駒澤大、東洋大、日体大の3校がかなり有力ですが、全10区間217.9kmの長く険しい道のりの中で、選手たちのコンディションや天候、プレッシャーなど、何が起こるかわからないのが箱根駅伝です。

出雲、全日本を制し三冠に王手をかける駒澤大

三冠に王手をかける駒澤大は、キャプテンの窪田忍を筆頭に、油布郁人村山謙太中村匠吾の四枚看板が他のエースを圧倒します。特に3年生コンビの中村と村山謙太の勢いをどう抑えるか、ライバル校の監督は頭を悩ませることでしょう。この2人の走りは特に注目したいです。

ラストスパートを得意とする村山謙太は勢いに乗ると手が付けられないタイプで、今シーズンは出雲、全日本と連続で区間新を出している(出雲では宇賀地、全日本ではモグスの記録を破っているのですから異常なほどの強さです)ほか、日本学生選抜として出場した国際千葉駅伝1区では日本代表の大迫を破っています。中村匠吾は、ユニバーシアードハーフマラソン銅メダルを獲得すると、出雲、全日本では1区区間賞とめざましい活躍をみせており、この2人の走りが出雲、全日本の優勝の決定打になりました。アンカーのエース窪田に襷が渡った時点ではもう勝負が決まっていましたから。

それだけに駒澤大の区間オーダーには注目です。中村、村山謙太、窪田がどの区間に配置されるのか、さらには全日本3区で4年連続区間賞の油布、3年の黒川、2年の馬場、ルーキーの中谷、西山といったメンバーも有力です。予想がつかないのは5,6区ですが、今後を見据えた若手の起用もあるのかもしれません。

三大駅伝5大会回連続2位の東洋大

一方の東洋大は、「山の神」柏原の卒業後、三大駅伝5大会回連続2位という煮え切らない戦績で終わっています。もちろん素晴らしい記録ですが、優勝を狙っている彼らとしては嬉しくないのでしょう。エース設楽兄弟が最後となる次の箱根では、チーム一丸となって総合優勝奪還を狙ってくるに違いありません。主力は、キャプテンの設楽啓太と双子の弟・悠太、2年の服部勇馬です。彼らはどこかでライバルに攻撃を仕掛けてくるでしょう。また、箱根では2大会連続で区間賞をとっている3年の田口雅也が、本来の力を出せるかもカギを握ります。

今シーズン主力の1人に成長した服部勇馬は、1年のとき全日本のアンカーを任され、駒澤大の窪田に逆転負けをしたという苦い記憶が残ります。しかし今季は出雲5区で区間新記録を出すと、全日本でも2区で駒澤大を逆転し首位に立ち、日本学生選抜として出場した国際千葉駅伝では世界の強豪と競り合い好記録を出すなど、駅伝でめざましい活躍をみせています。箱根では、彼のダイナミックで美しいフォームに注目してみて下さい。1年下の弟、弾馬も期待のルーキーとして出雲で駅伝デビューをしており、ややスタミナに不安があるものの起用の可能性はあります。他にも大津、延藤、高久といった選手層の厚さは出場校中ナンバーワンで、酒井監督の采配にも注目してください。

駒澤大と東洋大は、どちらもスピードとスタミナのバランスのあるランナーを揃えますが、山のスペシャリストがいません。ですから、日体大に対して4区の終わりまでに大きなリードを作ること、復路で逆転可能な位置で往路を終えること、さらにもう一方のライバルに対しどこかで仕掛けていくことが、総合優勝への条件になってきます。

読んでから観よう!第90回箱根駅伝
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