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(撮影 村松賢一 / 文 中島良平)

 10月28日に初号が発刊されたonyourmark発のスポーツライフスタイルマガジン『mark』との連動企画として、「夜と寒い季節のランニング」をテーマにした対談を実施しました。ランニングクルー『AFE』に所属するランナーで、ジャスミンの愛称で親しまれているモデルの瀬畑茉有子さんと、陸上競技選手、プロハードラーの秋本真吾さん、日ごろからランニングやトレーニングに深く関わるおふたりに、ナイトランならではの楽しみや走り終えてからのケアについて話を聞きました。

『mark』誌で掲載されることのない、ウェブ版のみの貴重な対談をお楽しみください!

夕飯前にダッシュ1本でもやった方がいい(秋本真吾)

ーーまず、おふたりの日常的なランニングとの関わり方について教えてください。

瀬畑茉有子  忙しくなければ基本的に週2〜3回は走っています。父がもともとランニングをしていたので、小学生ぐらいから親子10キロレースなどの大会に参加していました。本格的にフルマラソンをやったのは、6〜7年前にモデルの仕事でアミノバリューのホノルルマラソンに出る企画があって、そのときからですね。

秋本真吾  現役バリバリのころとは違い、いまは夜に走ることが多いですね。日中は陸上教室やプロスポーツ選手のコーチとして現場に出ていることが多いので、市民ランナーのかたが仕事のあとに走るのと似た感覚です。僕はダッシュ派なんですが、夜にご飯を食べる前に必ず30分ぐらい運動するようにしていて、階段でダッシュして、坂道をダッシュして、という感じのことをしてから時間を空けずにに食事するようにしています。筋肉への栄養吸収度が高まりますし、体調管理をするうえでこのサイクルは自分にとって重要です。
 
 僕は短距離ランナーですけど、長距離ランナーの方を見ていてよく感じるのが、多くの市民ランナーの方の意識は恐らく、“いかにラクに走るか”というこのエコな走り方に意識が向き過ぎてるのではないかと。脚力や身体のバネを鍛えるために、スピードトレーニングとしてのダッシュは決して無駄ではないと思います。時間のない日こそ、ダッシュをトレーニングのひとつに取り入れてほしいとも思いますね。

ーー瀬畑茉有子さんはどういう時間帯に走るんですか?

瀬畑茉有子  朝5キロ、夜5キロ走るのがベストですが、朝走れなかったら夜10キロ、とかしたりもします。基本的には朝走って燃焼させて、燃焼させた身体でそのまま仕事に行ったりして燃焼し続けて、また寝る前に5キロ軽く走る、という感じが私としては身体のコンディションがいいな、と思うんですね。自分の勝手なイメージなんですけど、走ると酸素を身体に入れることになるじゃないですか。そうすると細胞が新しくなって、また違う自分になれるっていう簡単な自分のイメージがあるんです。前の細胞から新しい細胞になって、違うアイデアが出たり思い込んでた自分の視野が広がったりというのが走ったあとに起こるので。

秋本真吾  夜に運動をすると「仕事が終わってやっと走れる」という満足度も高いのと、精神的に満たされることが日中に走るよりも大きかったりします。そこで腰を上げられるかどうか、疲れたからどうしようっていうときに、「今日はダッシュ5本だけやろう」とかでもいいと思うんですね。歯を食いしばって力を出してダッシュするのって、運動として強度がありますから。

瀬畑茉有子  そう、続けることが重要ですよね。設定は低くてもいいと思うんですけど、続けることで走るのが気持ちのいい時間帯を見つけたりとか、走ることをライフスタイルの中に入れられたら1番いいのかなと思いますね。ナイトランの醍醐味としては、夜の空がきれいっていうのが絶対にあると思うんです。満月のときとかに走ると空が高くて星もきれいだし、空気も澄んでて気持ちいいし、解放感を得るのにはすごくいいと思うんですよね。

その都市らしいスタイルでランニングを楽しむ。東京ならナイトランかも(ジャスミン)

ーー夜に走って危険を感じたことはないですか?

瀬畑茉有子  ないですね。例えば駒沢公園や皇居だとランナーも常にいて、光もあるので夜でも走りやすい環境です。『AFE』の練習も基本的に夜なんですけど、安全性も考えてリフレクターの付いたウェアを着て走りますね。『AFE』のメンバーで集まると、渋谷のスクランブル交差点とかセンター街を走ってみたり、敢えて東京らしい夜の街中を走ったりもします。普通はランニングをしないようなところで走ることに命懸けてるみたいな(笑)。カフェから出てくるお客さんとかが応援してくれたりすると楽しいですし、こういうランニングチームって珍しいんだなと思いますね。
 
 ニューヨークの『Bridge Runners』(夜に集合しブルックリンブリッジを渡るランニングチーム)でもないですけど、『AFE』もその都市らしいスタイルでランニングを楽しめているように思いますね。私たちは結構ファッションの部分も大切にしているので、ナイキのシールドフラッシュジャケットは見た目もカッコよくてぜひおすすめです。

秋本真吾  僕も実際に着てみて、上の半分の箇所がジャージー素材なので非常に着やすい印象がありました。保温性もあるのでこの時期のナイトランにはとくに重宝できそうです。

ーー夜に走り終えて眠りにつくまで、どういうことに気をつけたらいいですか?

秋本真吾  入念なストレッチは大切なんですが、どうしても足に集中しがちだと思うので、上半身もほぐすようにすることはお勧めします。腕が張って振れなくなったり、大胸筋とか肩が固まってきたりすると走れなくなってしまいますが、意外とそういうことは軽視されがちなので。脇腹なども含めて、上半身の可動域を広げることは意識したほうがいいですね。あと、ストレッチには静的と動的の2種類があるんですね。走る前には、反動をつけて負荷をかける動的なストレッチをウォーミングアップとして行う。そして、走り終わってからは、ゆっくりと反動をつけずに静的なストレッチをして、筋を伸ばして身体を休める。その使い分けが大事ですね。

 僕はシャワーだけではなく風呂に入って、その後にストレッチをしてから眠ることを習慣づけていますが、そうすると翌日の調子が全然違います。本当に残りにくい。現役を引退して、一時シャワーだけにしていたんですが、疲れがたまりやすく感じてまた風呂に入るようにしたらすぐに調子が戻りました。寒い季節にはより顕著に出るのかもしれません。

瀬畑茉有子  お風呂に入るのはいいですよね。私は走り終わってすぐにお風呂に入るんですけど、末端冷え性なんで、お風呂から出ると手首や足首、膝の後ろなどの血管が多く通っているところに冷水をかけて、外に熱を逃さないようにしています。温まった血液に蓋をしてくれるみたいで、それをやると寝るまでぽかぽかするんですよ。あとは、温泉水みたいなのを飲んだりとか、炭酸温泉のタブレットを入れてお風呂に入るのも身体がすごく楽になりますね。

ーーナイトランは眠る前の習慣として体調管理にもよさそうです。

瀬畑茉有子  自分が眠りにつくまでのひとつの瞑想みたいな、インセンスのような感覚で走るっていうことでもいいのかなと思うんですよね。眠りに向かうまでに自分の脳をまとめたり、浄化したり、次の日のこととかもじっと座って考えるよりも走ったほうが効率が良かったりします。夜はとくにまわりも暗めなので、自分と向き合うことが自然にできるのかもしれません。

Tips for Night Run
1. リフレクター付きのウェアやシューズは基本
2. 月明かりや星空のきれいさはナイトランの醍醐味
3. 皇居や駒沢公園をはじめ、日本は明るくてナイトランに安全な場所も多数
4. トレーニング後の適量の食事が吸収と消化を高める
5. 入浴とその後のストレッチが翌日の調子を変える
6. 入浴後には、血管の集まった部分に冷水をかけて温まった身体に蓋を

ランニングを続けるうえで、寒い季節との付き合い方とは? #02に続く。
FLASH RUN TALK 秋本真吾×瀬畑茉有子 #02 寒い季節のランニング

秋本真吾(あきもと しんご)
2012年まで400mハードルのプロ陸上選手として活躍。日本のビックゲームに数多く入賞。北京オリンピック強化指定選手。200mハードルアジア最高記録、日本最高記録、学生記録保持者。現在はプロハードラー/スプリントコーチとして、子どもからプロスポーツ選手までの指導を行う。地元の福島県「大熊町」を想い陸上クラブチーム「ARIGATO OKUMA」を立ち上げ、自ら所属し2013年に現役復帰を果たした。http://www.akimoto405.jp/

瀬畑茉有子(せはた・まゆこ)
ランナーとしての愛称は、ジャスミン。女性誌や広告などで活躍するモデルでありながら、ランナーでもある。アメリカ西海岸で1977年に設立された伝説の陸上競技クラブ「ATHLETICS WEST」にインスパイアされ、発足した「ATHLETICS FAR EAST(AFE)極東競争部_東京」に所属する。
http://athleticsfareast.tumblr.com

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