(写真 松本昇大 / 文 村松亮)

スポーツを日常的にしている人には、独特の共通点があります。体格や肌感から伝わってくる、雰囲気というか空気感というか。かならずしも当てはまることはありませんし、だからといっても、誰もが “いかにもスポーツをしている” わけでもなく、その必要すらありません。むしろ、それぞれが自由かつ個性的で、型にハマらないスタイルでスポーツを楽しむ。それこそ、スポーツが生活の一部になることに等しいとさえ思っています。

ですから、「えっ? 走ってるんですか?」なんてやりとりに遭遇すると、嬉しくなったりします。意外な人が走っていたり、登っていたり、泳いでいたり。

久しぶりの掲載であるオフビートランナーズは、デザイン・設計事務所 『DAIKEI MILLS』代表、そしてオルタナティブスペース『VACANT』を運営するひとり、中村圭佑さんが登場。そう、彼も意外なランナーのひとりかもしれません。「走るなら朝、朝ごはん前に」と話す彼が、なぜ走り始め、走り続けているのか、聞いてみました。

恥ずかしくて
誰にも見つからないように走ってた

走り始めた一番のきっかけは、23~24歳くらいの頃から徐々に肉がついてきてしまって、3年前くらいに、いよいよマズいぞと(笑)。それまでは騙し騙しやってきたんですけど、ついにお医者さんからも「これ以上この生活を続けてたら、コレステロールが高すぎて危険だ」なんて言われてしまって。仕事柄、夜まで働いてもいて、不規則な生活を送ってたんです。それを改善するために、走り始めたんです。

多分、まだその頃はランニングブームもいまほどきていなくて、近所を走っていて知り合いに会うと、なんだか恥ずかしかったりもしました。ウエアも今みたいに一式そろってなくて、寝間着みたいな格好で。音楽も聴いてなかった。僕が走り始めて半年とか1年くらいが経ってようやく「みんなで走りましょう!」なんて広告がスポーツメーカーから打ち出されるようになった。

始めた頃は週に1回とか、多くて2回とかのペースで、基本的に夜に走ってました。まだ夜型だったんですけど、運動し始めても全然痩せなかった。いったい何が原因で、なぜ痩せないのか。本を読んだり、人に相談したりして、そしたら「あんなに疲れてるのに、仕事の後、夜に走るなんて良くない」と言われて。それからは夜ランを朝ランに切り変えて、早く起きて「ゆっくりだけど長い距離を走る」っていうスタイルにしました。朝走った後、ご飯も普通にしっかり食べて。そうし始めたら、一気に体重が落ちて、むしろ楽しくなってしまったんですよ。結果が出るから楽しいなって。

走り方、
つまりそれは生き方の話だと思う

走り始めて変わったことは、朝ご飯が美味くなったこと。そして和食派に変わった。運動するようになってから軽いものの方が良くなって、たとえば前の晩に重いものを食べると、次の日の朝に響くので。走るっていうことがルーティンになってたことで、自然と食生活も変わりました。

朝、何もないときは、ほぼ毎日走っていて。朝起きると、まずストレッチ。このストレッチはたっぷりやります。多分、僕はストレッチを人よりも長めにやってると思いますね。ストレッチだけでも痩せる、って言われてるくらいストレッチって大切で、血液の流れも促すので、時間のあるときは30分以上やりますね。家の床で寝転びながら。その後、ランニングはだいたい、1時間程度。平均でキロ6分ぐらいを、目標は大体10キロに設定しているので、10キロを超えるときもあるし、7キロぐらいのときもある。そして走った後にまたストレッチを10分くらい。

それと、朝起きた瞬間にベッドの上で腹筋をすると目が覚めるって誰かが言っていたので、それをやってます(笑)。20回くらい、起きた瞬間に。そうするとパッと目が覚めるんですね。僕、暇があると筋トレするんですけど、行き詰まったときとかにやるとリフレッシュになりますよね。日々の生活のなかには、身体を動かさないと発散できないってものがあるんだと思うんですよ。

朝走ることがいつからかルーティンワークになって、運動してシャワー浴びてご飯食べてから仕事へ行くと頭の中がクリアな状態で一日をスタートできるようになりました。朝から走るの?!って驚く人もいますけど、これが意外と苦ではない。最初はほんとにゆっくりと短い距離からはじめたからなんだと思いますね。3キロくらいしか走ってなかったのが、続けていくうちに自然と(距離が)伸びてきた。

走るのが楽しくなったのも、結局は、痩せるし、楽しいし、気持ちいいし、朝ご飯美味しいし、というすべての相乗効果で得たものだと思ってます。

誰にも見られていないところでやる
それが今は魅力的だなと思う

走ってますけど、僕はマラソンのレースに出ようとは全く思わないんです。

競うとかじゃなくて、自分との戦いで。もうそれだけなんですよ、多分。むしろ「痩せため(だけ)」っていうか(笑)。でも、みんなも痩せたいとか筋肉つけたいとか、健康な身体をつくりたいとかって、あくまでモチベーションの話。理由はどうあれ、得るものは多少違っても、みんなに同じようにあって。だから走る理由はなんでもいいように思いますね。

昔はスポーツって、誰かと一緒にやるものでした。僕もずっとバレーボールをやっていて、仲間と楽しみながらやるのがスポーツで、そっちの方が好きだった。バレーボールは高校3年までしっかりやり込みましたから。よくいわれる「春高」は最終的に県のベスト4で終わっちゃいましたけど、全国私学っていう、私学の全国大会っていうのがあって、それには1回行くこともできました。それなりに真剣にやってたんです。

ストレッチの種類とか走り方とか、全部がそのときに学んだものの応用だったりします。仲間とずっとやってきたスポーツを、今はひとりでストイックにやる。むしろ誰にも見られていないところでやる、っていう方がいいんです。なんかこう、そのスタイルの方が「魅力的だな、楽しいな」って今は思うんですね。ひとり黙々とやって、身体の循環が良くなって、生活が整って、ご飯が美味しくなる。それが、今感じている運動の醍醐味ですね。

あとはやっぱり、あれ(朝一の腹筋)いいですよ(笑)。

中村圭佑(なかむら けいすけ)
静岡県浜松市出身。デザイン・設計事務所DAIKEI MILLS代表。オルタナティブスペースVACANT運営。