(文 村岡俊也 / 写真 松本昇大)

都市部で熱を帯びる
「スモールサイドゲーム」とは?

「スモールサイドゲーム」という言葉を知っているだろうか。サッカーのように大きなコートを必要とせず、フットサルのように小さなスペースで可能なスポーツのこと。シューズとボールさえあればすぐに始められるフットサルは、この「スモールサイドゲーム」の代表格なわけだが、世界中の各都市で、さらなる熱を帯び始めている。働きながら楽しむスポーツとして、なぜ人気なのかと言えば、実はフットサルは敷居が低いから。特に決まった装備も必要なければ、11人制のサッカーとちがい、その半数でゲームが成立する。もちろん技術レベルの差によって楽しみ方は変わってくるけれども、そのおおよそは体力でカバーできるもの。続けていれば次第に足でのボールの扱いにも慣れて来て、思い切りシュートを決める快感も早々に味わえる。

と、ここまでその手軽さを列挙しても、新たなことを始めるハードルは高いもの。ならばワークショップに参加するのも手かもしれない。onyourmarkでは、ラン、ヨガ、トレイルランなど複数のスポーツでワークショップを実施していく予定。

今回は「大人のためのフットサル教室」と題して、フットサル日本代表のキャプテン、小宮山友祐選手を講師に迎えた。大人になり、働きながらスポーツを始めることで、新たな世界があっという間に開けていく。W杯で日本代表のキャプテンを務めた現役選手に指導してもらえるなんて、まさに大人ならではの醍醐味ではないか。

オフ・ザ・ボール
ボールを持たない時の動きが重要

では、実際にどんなメニューを行ったのか。簡単なウォーミングアップにも、小宮山さんは楽しむためのエッセンスを散りばめる。
2列に並び、対面する人との間にボールを置く。小宮山さんの合図で、「膝」と言われれば「膝」、「胸」と言われれば「胸」と、自分の身体を触る。ただし「頭」と言われたときには、ボールを触るというルール。たったこれだけのゲームでも、明るい指導者がいると大いに盛り上がってしまう。いくつかの簡単なメニューをこなし、次にサッカーとフットサルの違いを明確にするトレーニングへ。フットサルは、サッカーと違ってコートが狭いため、より素早い状況判断が求められる。

そのフットサルの特性をより体感するために、赤、緑、青と3つのチームに分かれてボールを回すトレーニングを行った。内容は簡単だが、やってみると少し難しい。

• まずボールを渡す順番。赤→緑、緑→青、青→赤。
• ボールを持っている人は、動いてはいけない。
• ハーフコートの中に参加者20名弱が入り、動きながら手でボールをパスしていく。

「こっち!」「はい!」と声をかけるのだが、思うようにボールが回らない。参加者は初対面のメンバーがほとんどで名前を覚える暇もない。そこで小宮山さんから「こっち! ではなくて、色を呼んでから、右、左と方向で指示してください。それからボールを持っていない人がスペースを見つけて動くように」とアドバイスをもらって再びトライ。少しずつボールが回るうち、常に人のいる位置に気を配ったり、ボールを渡した後の動き出し、“オフ・ザ・ボール”がフットサルでは重要であることを体感していく。そして、足を使って同じ内容のトレーニングをすることで、止める技術の重要性、動く相手へのパスには動きの予測が不可欠であることなどを学んでいく。最後に気持ちよくシュート練習をした後に、チームを再び分けて、お楽しみの試合を行った。

上手い人が初めてボールを蹴る人に
レベルを合わせることが大切

「少しずつレベルを上げることも必要だと思うけど、根本はみんなが楽しむこと。それが大事ですよ」。

今回の講師を務めてくれた小宮山さんは、「目的は、楽しむこと」だと語る。そのために、「上手い人ではなく、初めてボールを蹴る人にレベルを合わせること」が大切なのだという。上手い人であれば、初めての人に合わせてパスを送ることもできるはず。「そうやって仲間を思いやるプレーが、絆を深めていくんです」。
この「大人のためのフットサル教室」は不定期で開催される予定だが、続けていくうちに、確実にレベルアップしていくという。

「フットサルとサッカーは単純にコートの大きさも違いますし、バスケットボールの要素が多いんです。例えばパスをした後にフェイクを入れて、相手のマークを外してから、もう一度ボールをもらいにいくのがフットサルの特徴的な動き。今回は、ボールをパスして、相手が止めて、シュートという練習をしましたが、次回は、ボールをパスして、相手が止めて、フェイクを入れて、シュートという練習になるかもしれない。体力的にももっと動くことができれば、醍醐味である速攻の応酬も楽しめる。攻守の切り替えの早さがフットサルの面白さのひとつですから。でも、まずは何より楽しむこと。続けていくうちに、醍醐味は少しずつ分かってきます。続ければ、間違いなくうまくなりますよ!」

このクリニックの数日後にシーズンインしたFリーグ。小宮山さんは、バルドラール浦安に所属している。講師である小宮山さんがプロのフィールドで実際にどんな動きをしているのか、「大人のためのフットサル教室」に参加した後ならば、試合を見る目も違ってくるだろう。実際に足を運んで観戦することさえも、この「フットサル教室」のひとつになる。その一連のフットサルへの関わりは、生活にも新たな楽しみを与えてくれるのではないだろうか。

小宮山友祐
1979/12/22 神奈川県相模原市生まれ 172cm/75kg
小学校1年からサッカーを始める。高校3年時にフットサルと出会い、2000年にFC FUNへ入団。その後、FIRE FOXへ移籍し、全日本選手権優勝に貢献する。大学卒業後は4年間、高校で教員を務めるが、フットサルに専念するため退職。 2007年、Fリーグ開幕の年に現所属チーム・バルドラール浦安へ移籍。 日本代表歴9年、AFCフットサル選手権2度優勝(2006、2012)。W杯3大会連続出場(2004、2008、2012)。昨年タイで行われたフットサルW杯ではキャプテンを務め、日本フットサル史上初のベスト16という成績を収めた。