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先週末に閉会した100マイルレースUTMF(ウルトラトレイル・マウントフジ)。総距離161キロものロングトレイルを駆け抜ける壮絶な道のりには、想像を絶する試練とドラマがあります。

ところで、山道=トレイルに魅せられたトレイルランナー、そしてハイカーなど、山岳カルチャーを愛するすべての人にとっての幻の一冊といわれる『バックパッキング入門』(1976年山と溪谷社刊)が電子書籍版で復刻したことはご存知でしょうか?

昨年末にヤマケイ文庫で復刻発売したバックパッカーのバイブル『遊歩大全』につづいて、アウトドアファンのあいだで話題となっているこの復刻版。Kindleストアで好評発売中のようですが、この『バックパッキング入門』とは、「アウトドアの伝道者」芦沢一洋氏が1976年に日本に初めてバックパッキングを体系的に紹介したもので、現在では入手困難な「幻の名著」となっていたものなのです。

内容はというと、用具、技術の解説にとどまらず、巻頭の「Part1: SPIRIT & MIND」をはじめ、70年代当時の様子、歴史背景、先駆者たちの思想などから、単なるスポーツではなく自然との共生を求めるライフスタイルとしてのバックパッキングの精神を解き明かしたもの。現代にも通用するアウトドア・ライフの精神性が、本書がいまだ多くのファンをもつ理由のひとつのようです。

そして、用具や技術解説は、日本のアウトドアに適応できるよう配慮され、豊富な写真でフットギア、バックパックからサバイバル・ギア、フライフィッシングまで、懇切丁寧、マニアックに解説。

本書から始まったと言ってもよいアウトドア・ギアの歴史をたどれるのも、ファンにはたまらない魅力となっています。78年発行の『遊歩大全』(コリン・フレッチャー著/芦沢一洋訳)との関連性の読み解きも興味深いところですね。

『バックパッキング入門』
著者:芦沢一洋
電子書籍(固定レイアウト型)
ファイルサイズ:203865KB
本体:800円
http://www.yamakei.co.jp/products/post_4.html

著者:芦沢一洋(あしざわ かずひろ)
1938年山梨県生まれ。早稲田大学卒。フリーのグラフィック・デザイナーとして平凡出版(現マガジンハウス)、小学館、山と溪谷社などで活躍。70年代初頭、アメリカからアウトドア・ライフ、フライ・フィッシングを取入れ、日本にアウトドア文化を定着させる。76年雑誌「Outdoor」創刊、81年ジャパンフライフィッシング協会創立に大きな力を注ぐ。著書に『バックパッキング入門』(1976)、『遊歩大全』(翻訳・78)、『芦沢一洋 自然とつきあう五十章』(79)、『フライフィッシング全書』(83) 、『アウトドアものローグ』(85)、『アーバン・アウトドア・ライフ』(85)、他多数。96年逝去。

(文 onyourmark編集部)