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(文 村岡俊也 / 写真 村松賢一 / 動画 TOTAL TIME 01:10 記事最下段

「地球とボールで遊ぶライフスタイル」をコンセプトに掲げる〈ルース•イ•ソンブラ〉。ディレクターを務めるソーシさんは、フットボールをカルチャーとして日本に根付かせるべく奔走しています。彼はどんなライフスタイルを築いているのか。事務所近くの川沿いに即席で作り上げたストリートサッカーコートで、ボールを蹴り終えた後、「スポーツは人生の基盤になるものなんです」とインタビューに答えてくれました。

当たり前にスポーツが
日常にある生活

やっぱり、「健全な肉体に健全な精神が宿る」っていう言葉に尽きると思うんです。中学生の時に陸上部とサッカー部を兼任していたんですけど、そのころからランニングもずっとやっています。身体を動かして汗をかくっていうことは、すごく気持ちを前向きにさせる。僕は今、週1でヨガ、波があればサーフィンをして、仕事場の近くの川原沿いをランニングして、移動はスケートボード。そして、フットサルも毎週やっています。生活の中に身体を動かすスポーツがあって、一喜一憂して楽しいし、飯もうまいし、前向きになれる。仕事もはかどりますよね。夜フットサルがあるから、この時間までに終わらせなきゃって、集中するから効率もいい。ヨガをやることで柔軟性と頭の中の静寂を手に入れて、サーフィンで上半身、ランニングと登山で下半身を鍛えて、それがすべてフットサルにフィードバックできる。

身体が調和しているときには、「誰にもボールを触らせないぜ」っていう状態になりますからね。僕の場合は、すべての運動は、フットサルのため。でも、それぞれのスポーツに違った楽しさ、深さがあるから続けられる。
サーフィンを生活の一部にしたくて海沿いの街に引っ越したんです。僕は、自分の生活をデザインする上で、スポーツが基準になっているんです。自分の住む場所を左右するくらい、スポーツは重要なもの。もしもスポーツがなかったら、一体何のために生きてるんだ? って、思っちゃいますね(笑)。一生スポーツして生きていければ最高です。地球とボールで遊ぶライフスタイルを続けていきたい。

フットサルは
ブラジルのストリートで生まれたもの

僕は、中学、高校とサッカーのクラブチームにも入ってました。実力の世界というか、上下関係が厳しい学校の部活とは違って、サッカーだけに集中できる環境が欲しかったから。

ブラジルのトップリーグの伝統的なチームで「クルゼイロ」っていうチームがあるんですが、日本でも同じエデュケーション、同じ理念でチームづくりをしているんですね。だから僕は「クルゼイロ」に入ることで、ブラジルもすごく好きになった。サッカーが好きで、ブラジルが好きになって。それが今も続いているんです。
2002年の日韓ワールドカップのときに、20代そこそこで、周りを見渡しても高校を卒業して、大学にもろくに行かずにブラブラしていた奴らばっかりで。サッカーをするにはメンバーを11人集めて、対戦相手も11人。人集めが大変だし、なんだか宙ぶらりんな時期だったんです。そんな頃に、横浜のセンター北という街に、日本で最初のフットサルコートができたんです。フットサルは、5人対5人。10人集まれば試合ができるんです。サッカーをやってた人間は、やっぱりボールを日常的に蹴りたいし、それで自然発生的に地元のサッカーが上手い奴らが集まってきた。その後、JAZZY SPORTのマサヤくんなんかとも蹴り始めて、少しずついろんな人と繋がっていくんです。アディダスが主宰する「アディカップ」というフットサルの世界大会にJAZZY SPORTチームとして参加して、日本の予選大会で優勝したんですよ。そしてドイツのベルリンの世界大会に出て、決勝は最後PKでフランスに負けちゃうんですけど、とにかく世界も経験することができた。そのコアメンバーで、〈ルース•イ•ソンブラ〉を始めたんです。

元々横浜辺りの仲間は、サッカーも好きで、それぞれスケーターだったりダンサーだったり、サーファーだったりもする。つまり、ストリートのカルチャーを生きている人間だったワケです。そこにフットサルっていう、ブラジルのストリートで生まれた新しいカルチャーが入ってきて、自分たちの感覚にモロにハマった。それで、フットボールを中心したスポーツのアパレルブランドを立ち上げようという話にまでなった。好きなことをして生きていきたいってもがく中で、ブランドをやろうと。

やっぱり、24、5歳って、自分の人生これからどうやって生きていこうって考えるじゃないですか。夜な夜なフットサルをやった後に熱く語っていたんです(笑)。でも、やっていけるのか? って不安もありました。でも、諦めなければ最終的に実現するんだっていうことは、スポーツを通して学んでいたから。根拠のない自信がどこかにあったのかもしれないですね。〈ルース•イ•ソンブラ〉というブランド名は、ポルトガル語で、「光と陰」という意味なんです。

いい時もあれば悪い時もあるっていう。でも諦めなければいいっていうことを自分たちが岐路に立ったときに思い出せるようにそう名付けたんです。

フットボールの新しいカタチを求めて

フットボールのカルチャーをリアルに体感できる場として、年に一回横浜で『FUTEBOLiSTA天下一武道会』というイベントを主催しています。国内最高峰のフットサルプレイヤーを集めて3on3のバトル。そこに生バンドの演奏を入れてフットボールと音楽の究極のセッションでゲームが進行していきます。その他にライブペイントやダンスやBMX、オーガニックフードなど、とにかくリアルに自己表現してる人達が一同に会して、お客さんも表現者も同じ場を楽しんでポジティブなエネルギーをシェアする一日をつくってます。

そのスピンオフイベントとして昨年は、被災地•石巻でRe-FUTEBOLiSTAprojectとして「天下一武道会」を開催しました。津波で流された石巻の街の真ん中にコートを建てて、石巻とか女川辺りのボールを蹴りたい奴らを集めてトーナメントを開いて。そこに出場していた選手たちが、今度は横浜でやってる本戦に参加したいって連絡をくれて。なんていうか、少しずつストリート感覚のフットサルが日本中に根付いて、広がっている気がするんです。広島や大阪でも大会を開いてくれって連絡をもらっているし、アクションを起こせば繋がっていける。
それがスポーツの醍醐味のひとつでもあるはずですよね。僕らの野望は、日本でツアーをやって、世界に出て行くことですから。まだ序章が始まったばかりです(笑)。

(TOTAL TIME 01:10 |動画 撮影 室伏努・上原源太)

 

SOHSHI SUNViSTA / ソーシ • サンビスタ 1979製横浜産。デザイナーの両親のもと育ち、学生時代はサッカーに没頭。現代社会に違和感を感じ、ナバホ族やホピ族、ケニアのマサイ族など先住民族と触れ合う旅に出てアミニズム精神を体感。02年アフリカ大陸最高峰キリマンジャロ登頂。05年フットサルカルチャーブランド「LUZeSOMBRA」立ち上げ。06年にはベルリンで行われたフットサルの世界大会「adicup」に東京代表JAZZYSPORT futsal teamの選手として出場し準優勝を果たす。現在、フットボールというアプローチからの「生活文化創造」に己の役割を見出し、多彩なクルーと共に“way of life”を発信している。フットサル、サーフィン、登山、スケボー、ヨガなど柔軟な幅で楽しみ、地球と調和したライフスタイルを実践中。「健全な肉体に健全な精神が宿る」Natural Mystic Futebolista.

LUZeSOMBRA / ルース・イ・ソンブラ 「地球とボールで遊ぶライフスタイル」をコンセプトにもつフットボールカルチャーブランド。フットボールを通して、人と人との心の繋がり、分ち合う精神、自然との調和と敬意、日々日常への感謝を広めていくことを目的としたカルチャーブランド。フットボールに無限の可能性を見いだし底辺での未来を担う。