脂肪細胞に収められた体脂肪は根雪のように溜まる一方というイメージが強いけれど、体内の物質はつねに分解と合成を繰り返す新陳代謝を行っている。もちろん体脂肪も例外ではない。
太った人でも痩せた人でも、安静時のメインのエネルギー源は体脂肪から分解されて生じる脂肪酸。全体のおよそ80%を脂肪酸でまかなっている(残りの20%前後は糖質である)。このため脂肪細胞の中身である体脂肪はつねに分解されており、脂肪酸が血液中に放出されている。

安静時には必要量のざっと2倍の脂肪酸が分解されており、使われなかった脂肪酸は脂肪細胞に逆戻りして中性脂肪に再び合成される。サプリやマッサージで「脂肪の分解を促します」というセールストークをよく聞くけれど、分解してもカラダを動かして消費しないと減脂肪にはつながらないのだ。

肌の細胞は約1か月、血液中で酸素を運ぶ赤血球は約4か月で入れ替わっている。脂肪細胞の体脂肪の新陳代謝のスピードについてはなかなかわからなかったが、最近全身の体脂肪は1.6年ほどですべて入れ替わることが判明した。

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(文 井上健二/イラスト 清水将司)