脂肪細胞は通常の細胞の数倍から数十倍ものビッグサイズ。ほぼ球形で、その容積の大半は油滴という中性脂肪の固まりで占められている。
運動不足と過食でエネルギー収支が黒字になると、余ったカロリーは脂肪細胞で中性脂肪に合成される。太ってくると油滴が徐々に巨大化し、風船に空気を入れたように脂肪細胞もぶくぶくと膨らみ始める。
けれど、脂肪細胞には「サイズの限界」があり、元の体積の3倍を超えて大きくなることはない。空気を入れすぎた風船がいつか破裂するように、それ以上大きくなると破裂する恐れがあるからだ。不思議なことに、このサイズの限界はヒト以外のほ乳類にも存在しており、ネズミでもクジラでもヒトでも脂肪細胞は3倍以上にならないという。

一般的に脂肪細胞の増殖は子どもの頃に終わっており、大人になってから増殖することはない。しかし太りすぎて脂肪細胞がパツパツになると、破裂を防ぐための非常システムが起動。細胞の数を一定範囲内に抑えている遺伝子のスイッチがオフになり、脂肪細胞の増殖がスタートする。
痩せても脂肪細胞は減ることはない。一度増やすと脂肪細胞は一生ストーカーのように付きまとうから、大人になってからの激太りは禁物なのである。

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(文 井上健二/イラスト 清水将司)