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建物を支える鉄筋コンクリートは不変不動の存在だが、カラダを支えるフレームとなる骨は知らない間に入れ替わっている。

カラダは60兆個とも言われる細胞の集まり。骨も細胞から構成されており、つねに分解と合成を繰り返す新陳代謝を行っている。

骨のなかには、大きく分けると「骨芽細胞」と「破骨細胞」という2種類の細胞が潜んでいる。

骨芽細胞には骨を作る働きがある。骨芽細胞はタンパク質(コラーゲン)の繊維組織を作り出し、その隙間にカルシウムやリン酸イオンなどのミネラル分を結晶させて強靭な構造体を作り上げる。

骨芽細胞はやがて自らが作った成分に取り囲まれて身動きができなくなり、骨細胞となる。

一方の破骨細胞は、ネーミング通り、骨を壊してしまう細胞。骨髄で作られた白血球系の細胞(単球)が分化・融合して生まれる。

破骨細胞は、樹の枝のような突起を多数出して骨のなかを動き回り、非常に強い酸性を示す物質や酵素を分泌して骨を内側から溶かし、その成分を吸収している。

破骨細胞はホルモンなどで活性化されると骨の破壊をスタート。破骨細胞の活動の結果、骨の内部に隙間が生まれると、それを感知した骨芽細胞が活性化。骨を作り始める。

このような骨の新陳代謝を「リモデリング」と呼ぶ。リモデリングにより、通常は3か月ほどで全身の骨が入れ替わる。若い頃は破壊と再生のスピードが同じなので、骨は不変不動のように思われるのだ。

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(文 井上健二/イラスト 清水将司)