音楽に心理的な不安や緊張を和らげる効果があるのは広く知られていますが、「肉体的な痛み」も和らげる効果があるかもしれない――
そんな新しい研究が米国ユタ大学のデービッド・ブラッドショー博士らによってThe Journal of Pain誌に発表されました。
 
この研究では143人に対し実験を行っています。被験者たちは音楽を聴くよう言われるのですが、"何か変な音がしたら報告する"など、ちょっとした音楽的な判断を求められるタスクを課されます。その作業をしている間、被験者の指先には痛みを伴う電気的な衝撃を与える装置が付けられ、刺激が与えられていたとのこと。痛みへの反応がどう変化する観察が続けられました。痛みの反応については自己申告ではなく、脳内の電気的活動、瞳孔の拡張、皮膚の反応など科学的な解析を行うとで測定しています。
 
その結果、タスクの難易度が上がるほど、痛みの反応が減少したという結論が得られました。研究者は、音楽が、痛みの経路と競合する感覚経路を活性化することによって、痛覚神経反応の働きをやわらげる手助けをしたのではと指摘しています。
 
特に実験前に強く不安を感じていた人は、よりその効果が高いという結果も判明したとか。研究者は、そもそも不安症の人はいろいろな行為に没頭する傾向も強く、音楽を聞くなどの興味をひく行為が効果的に働いたのかもしれないと結論づけていました。
 
この実験では、どんなジャンルの音楽が効果的かということについては調べていないそうですが、「重要なのは音楽ジャンルよりも、音への関心をいかに引きつけるかだ」とブラッドショー博士は述べています。
 
たとえば歯医者さんでヘッドフォンで音楽を聴きながら「この歌の歌詞にいくつ“love”という単語が出てくるか」というようなゲームを自分で設定して没頭してみたりすると、痛ーい治療も少しはマシになるかも??この記事を思い出したらぜひトライしてみてください!

American Pain Sociaty より/リサーチ 佐藤美加)