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胃で消化された食べ物は、小腸の入り口にあたる十二指腸へ少しずつ送られてくる。十二指腸はC型を描いてカーブしているが、そのカーブに沿ってオタマジャクシの頭を突っ込んでいるのが膵臓。

膵臓が分泌する膵液は、糖質、脂質、タンパク質の3大栄養素すべてを消化可能。糖質分解酵素アミラーゼ、脂質分解酵素リパーゼ、タンパク質分解酵素トリプシノーゲンなどを含んでいるのだ。

このうちトリプシノーゲンは、十二指腸の粘膜細胞から分泌されるエンテロキナーゼという酵素の働きにより、トリプシンに変わる。

膵臓もタンパク質からなるため、トリプシノーゲンが活発にタンパク質を分解してしまうと膵臓自身にダメージが及ぶ。そこで十二指腸の酵素でトリプシノーゲンが活性化されてトリプシンに変わってはじめて、タンパク質を消化する仕組みになっている。

もうひとつの膵液の大事な働きは、胃から送られてきた消化物の中和。胃から十二指腸に入った消化物は胃酸を含むため、高い酸性を示している。膵液に含まれる重炭酸ナトリウムの中和作用により、消化はスムーズに進むのだ。

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