重さは卵1個分ほどの70g前後。胃の裏側にひっそりと隠れている臓器が、膵臓である。長さは15cmくらい。形はオタマジャクシのようで、フィリップ・スタルクがデザインした某ビール会社のホール上の巨大オブジェにそっくりである。

重さは人体最大の臓器である肝臓の17分の1程度しかないけれど、その仕事ぶりは“小さな巨人”と呼びたくなるほど多種多彩。細胞や組織が代謝物をカラダの外や消化管などの内腔へ分泌することを「外分泌」、ホルモンのように体液中へ分泌することを「内分泌」という。多くの臓器は外分泌か内分泌のどちらかだけを行っているのだが、膵臓だけが外分泌と内分泌の双方を同時にこなしているのだ。
外分泌としては、無色透明の膵液を隣接する十二指腸へ分泌。内分泌としては、インスリン、グルカゴン、ソマトスタチンといったホルモンを分泌している。膵液は3大栄養素の消化吸収に不可欠。そしてインスリンやグルカゴンは血糖値の調整という極めて重要な機能を担っている。

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【OYM家庭の医学 アーカイヴ】
♯01【肺】呼吸を司る静かなる大物
♯02【心臓】握り拳サイズの小さな巨人
♯03【血管】人体でもっとも重要なインフラを学ぶ
♯04【胃】強さと弱さを兼ね備えた悩める臓器
♯05【小腸】免疫細胞も神経細胞も集まる消化吸収の要
♯06【大腸】終わり良ければすべて良し。消化管のしんがりをいたわれ
♯07【肝臓】沈黙の臓器の黙っていられない話

(文 井上健二/イラスト 清水将司)