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サンフランシスコの夏は寒いと思われがちだけど、霧がかかり肌寒い日が多いのはcity(SF中心街)で、私が住むマリンカウンティの夏は暑い。

車でほんの30分移動するだけで全然違う気候を味わえるのもここの良いところ。この時期の週末は、cityからマリンに日光浴をしに来る人も多く、山やビーチは賑わいを見せている。

SF LIFEは今回が最終章。ココに来て1年が経とうとしている。自分の気持ちの変化と、今抱く思いを最後に残そうと思う。

この1年、新しい環境を通して自分と向き合う時間が本当に多かった。そのことで見えたモノ、得たコトはたくさんあって、今ものすごいエネルギーに満ちあふれていること自体がそれなんだと思う。母国ではない地で暮らすことは不便や未知なことも多いけど、だから自らで歩くことにしたし、感じたい・知りたいという感情が溢れ、この町の人々や土地に歩み寄ることができたのだと感じる。

住み始めた頃に掲げた“したかったけどできていなかったコトをカタチに”という目標を振り返ると、求めている以上のモノを今手にしている。

身体を動かすという面でも、食を整えるという面でも、その神髄にあるスタイルを感じ得ることができたし、今後の自分のライフスタイルの基盤づくりにも繋げることができた。

ここには良い意味で周りを気にしない、人に左右されない雰囲気がある。運動することに関しても同じで、皆が自由に自分のスタイルを持ち、それを楽しんでいる。

子供がいれば、ベビーカーに乗せて寝かしつけながらトレッキングをしたり、友達の家でみんなで遊んでいてもヨガの時間になれば一人ヨガをはじめたり。オフィス街に近いパークには筋トレができる設備があり、家に帰る前にちょっとだけ身体を動かすこともできる。自分のライフスタイルを持った上で、そこに合わせた形で運動を取り入れ楽しんでいる人が多いように見える。

また食生活に関しても例えばヴィーガンやベジタリアンはそれを貫いているし、周りの理解を示す姿勢も整っているような印象を受ける。現にレストランもそういった人達専用のメニューを用意している所も多い。自分のスタイルを貫ける場があるのは自由さを受け止める器がこの地にあるから。

ココに暮らす友人達にも運動について思うことを聞いた。

・ 日本にいたころは運動がレジャー感覚だったが、自然が側にあるここでは運動が身近になり生活の一部になった。
・ 自然に囲まれていることで出来るだけナチュラルな生活へという考えにシフトしていった。
・ ここに暮らして身体が喜ぶことをしてあげたくなって、自分が自分のためにしてあげられるヨガをしている。
・ バイクロードの設備が整っていることで子供をトレイラーに乗せてサイクリングを楽しむことができるから、子供がいても好きなバイクを楽しむことができる。

どれも共感できる思いばかりだった。そして話を聞く中で、自然がすぐ側にある環境のお陰で健康な身体へと向かっていると感じている人が多いように思った。自然が密接だと自然を意識する、その結果生活スタイルも身体に良い・合う形へとなっていくのだ。

ここへ来た私がどうして周りの人々の持つ自由なスタイルに感動するのか—

日本に住んでいた私が外へ出て感じること。日本は何においてもメディアの力がすごく強く、それが基準になってしまっているということ。震災後はそこに疑問を抱いている人々が増え、少しずつ変化が起こっているとは思うけど、やはり流行りを作りだし、そこに大きな流れができて、一定期間が過ぎるとまた新しいものへというサイクルができてしまっている。

たとえば、マラソンブームと言われているが、実際ブームを起こしたのは私は国民主導というよりもメディアの力が大きいと思う。提案されたものから選び、楽しもうとしている人が多いという一面もあると思う。もちろん、ブームを作ることで国民が健康になり、そこに様々な企業が加わり経済効果が生まれれば良い流れではあると思う。

流行りに乗るのがダメだということが言いたいのではなく、ブームにすることで一時的にしかマラソンをしない人も多くなるということ。

せっかく自分に合ったスポーツをみつけたとしても、自分のペースで、実際にそれを生活に落とし込んでいかなければ続けていくことは難しい。とにかく自分に合うカタチをみつけること。情報社会に生きると、いろいろなモノに左右されがちだが、人間にとって必要なものや大切なものは昔からあまり変わっていないように思う。

その大切なモノをいつでもクリアにしていたい。そのためには少しでも自然に触れ、自分を解放し、必要なものを吸収する。そして自分だけのスタイルを持ち、貫く。

ここで得た、今掴んでいるこの感覚をずっと忘れずにこれからも私らしく生きていきたいと思う。

Cumi Honda
1983年生まれ、千葉県出身。幼少時代をインドネシアで過ごす。
アパレルPRを経て、2011年9月からサンフランシスコに在住。

【SF LIFEアーカイヴ】
#01 自分らしさを知れる街
#02 未来を整えるということ
#03 自然治癒の話と不便を選ぶこと
#04 壊れたマウンテンバイクが教えてくれたこと
#05 山に魅了される本当の理由