フランスの美食家ブリア=サヴァランは「どんなものを食べているかを言ってみたまえ。あなたがどんな人か言いあててみせよう」と書いたが、たしかに私たちのカラダは毎日口にした食べ物からできている。
その消化吸収の90%以上を担っているのが小腸。十二指腸、空腸、回腸と続き、その長さは平均7.5mにも達する。糖質、脂質、タンパク質の3大栄養素を消化液で分解し、最終的には小腸の表面を覆う腸管上皮細胞の「膜消化」を経て体内へ吸収する。この他、ビタミンとミネラルも大部分は小腸から取り入れている。

内臓でも小腸だけに見られる独自の内部構造が、輪状のヒダ。ヒダには「絨毛」という突起が無数に生えており、絨毛の表面には「微絨毛」というさらに細かい突起がある。

これは表面積を増やし、消化物と接する機会を増やすことで、消化吸収をスムーズに進める工夫である。小腸内の突起をすべて平らにならすと総面積はおよそ200㎡にもなり、バレーコートよりひと回り広いという。また、絨毛は細かな伸縮運動を繰り返しており、血管とリンパ管による栄養素の輸送を促している。

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(文 井上健二/イラスト 清水将司)