循環器系の要である心臓は運動をすると大きくなるが、血管の大部分を占める毛細血管も運動で増える事実がわかっている。ひと口に運動と言っても様々だが、毛細血管を増やす効果が高いのはウォーキングやランニングなどの有酸素運動。
息が切れない“やや辛い”と感じるレベルで有酸素運動を習慣化すると細胞内で「PGC-1α」という物質が増える。PGC-1αは、遺伝子から必要な情報を読み取る転写因子の一種。このPGC-1αは遺伝子から「毛細血管を増やせ」という情報を読み取り、その結果毛細血管が増えてくる。

とはいえ、あたり構わず毛細血管が増殖するわけではなく、有酸素運動で増えるのはおもに筋肉まわりの毛細血管。有酸素運動では血液を介して筋肉に絶え間なく酸素を供給する必要があるため、ウォーキングやランニングなどを続けると筋肉に酸素をデリバリーするために毛細血管が増えるのだ。

筋肉は筋トレなどの高負荷の運動で活躍する速筋線維と有酸素運動のような低負荷の運動で活躍する遅筋線維からなる。このうち周囲の毛細血管が増えるのはもっぱら遅筋である。

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(文 井上健二/イラスト 清水将司)