効果的なトレーニングをするには、まず自分を知ることから。
自分の身体能力を客観的に測って、弱い部分を強化するためのトレーニングを紹介する「大人の体力測定」。第9回は骨盤の向きと脚力の左右差を測定します。

テーマ:骨盤の向きと脚力の左右差の測定
用意するもの:半径1m以上の障害物のないスペース
       床につける印(テープなど)
       できればサポートしてくれる人

測定方法
①半径1m以上あるスペースの真ん中に十字の印をつける。
②十字の印につま先を合わせて立ち、目を閉じる。
③目を閉じたまま、その場で50歩、足踏みする。
④50歩の足踏みが終わった時点で目を開き、最初に立っていた印から、どれだけ移動してしまったかで判断する。

測定の注意点
①足踏みの時、つま先が床から離れる程度でなく、足はできるだけ高く上げる。
②足踏み中は手を大きく振ること。
③万一、1m以上移動してしまって傷害物にぶつかるといけないので、念のため、サポートしてくれる人に見ていてもらうとよい。          

評価
非常に良い ・・・・体の向きが変わらず、前後左右で10cm以内の移動
良い    ・・・・体の向きが変わっているが、前後左右で10cm以内の移動
普通    ・・・・体の向きが変わらず、前後左右で10cm~30cmの移動
努力が必要 ・・・・体の向きが変わっているが、前後左右で10cm~30cm未満の移動
悪い    ・・・・体の向きを問わず、前後左右で30cm~50cm未満の移動
非常に悪い ・・・・体の向きが変わり、前後左右で50cm以上の移動

骨盤の回旋とは

いつもどちらかの脚を組んで座っていたり、重い荷物を持つ手が決まっていたり。多くの人は本人の自覚とは関係なしに、身体の癖や長年の生活習慣のせいで、骨盤にねじれが生じているものです。この骨盤のねじれのことを、骨盤の回旋といいます。

例えば、骨盤が正面に向いている状態で身体を右にねじることを右回旋といいますが、この時におヘソが右を向かずに正面を向いているならば、骨盤の方が左に回旋しているという状況になります。
もしもこの様に骨盤が左回旋している状態で、前に歩こうとするとどうなるでしょうか。左に回旋している骨盤に対して、右足のつま先は外を向く形(外旋)、左足のつま先は内を向く形(内旋)になってしまいます。このように骨盤は、きちんと正面に向いているとは限らず、むしろ正面を向いていないケースはかなり多いのです。

骨盤を回旋させる働き、つまりウエストをねじる機能を持つ筋が「外腹斜筋」と「内腹斜筋」です。
普段から右骨盤が前に出たような座り方や立ち方をしていたりすると、この腹斜筋は常に骨盤を左に回旋させるような収縮を起こしていることになり、それがいつの間にか定着してしまい、常に骨盤が左に回旋したまま、つまり骨盤がねじれたままになってしまうのです。

         
骨盤が回旋したまま歩くと

骨盤が左に回旋しているケースを例にとって見てみましょう。
骨盤が左に向いていても、本人は真っ直ぐに歩いているつもりだとします。
しかし、骨盤が左に向いている分だけ身体全体も少ずつ左を向き始めます。またつま先が外に向いている(外旋)ほうが足は強い力が出せるので、右足の蹴りが強くなり、余計身体は左に押し出されていくようになります。
その状態で50歩も歩くと相当、左に押し出され、ますます身体が左を向いている状況になる可能性が高くなるのです。

骨盤の回旋状態では、スポーツパフォーマンスは低下する

例えば骨盤が左に回旋しがちな人が、ランニングをするとどうなるでしょう。
この場合、骨盤の左が後方にある状態なので、左足のほうが後ろに行きやすく、逆に前に出しにくくなります。一方、右骨盤が右前にあるので、右足は非常に出しやすく、逆に後ろに大きく押せません……。こうして、走る動作に相当なロスが発生し、ランニングフォームやスピードに悪影響を及ぼすことになるのです。

骨盤が回旋した姿勢になってしまう原因

骨盤が回旋した姿勢になってしまう原因は、日常の様々な場面に潜んでいます。例えば、パソコンはテーブルのどっち側にあるでしょうか。もしも右にあるならば、いつのまにか身体を右にひねっている時間が長くなっているはずです。
また、車によく乗る人は、運転席のシートがかなり後ろに下がっていないでしょうか。
もしも後ろに下がっていると、アクセルを踏むのに右足のほうを相当前に出す形、つまり骨盤が左を向く形にならざるを得えません。
普段の生活習慣は、その人の骨盤の向きにかなり影響を与えているのです。

改善エクササイズ

測定結果が思わしくなかった方は、下記のエクササイズが効果的です。

お尻歩き

     
方法
①長座で座り、膝はできる限り伸ばす。
②身体を大きく捻りながら、右の骨盤を前に出し、続いて左の骨盤を前に出す。
③動作中はできるだけ膝の関節を曲げないように努力する。
④10歩歩いて、バックでもどる。
⑤30秒ほどのインターバルを入れて3セット行う。

ポイント
①身体を大きくねじることで腹斜筋のストレッチにもなっている。
②足先というより、お尻を片方ずつ押し出す意識にするとよい。
③左右差が無くなり、大きくお尻が前に出るようになれば成果あり。
④つい膝を曲げたくなるが、できるだけ我慢してお尻で進むこと。

骨盤を本来あるべき正しい位置に戻すことができれば、姿勢も美しくなり、新陳代謝がアップして、脂肪燃焼効率が上がります。スポーツパフォーマンスだけでなく、ダイエットにも影響のある骨盤のねじれの改善。日常生活のちょっとしたクセを正すことも大切ですが、毎日のエクササイズも効果的なので、ぜひ実践してみてください。

(監修 清水忍/イラスト atsushi ave)

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