2012年3月11日(日)。雲一つない晴天の下で行われた「名古屋ウィメンズマラソン2012」。
女子マラソンのロンドン五輪選考会を兼ね、女性だけのレースとしては世界最大規模の1万3千人余が出場した注目の大会に、onyourmark編集部から初心者ランナーの小矢島がエントリーしてきました!

女性ランナーの祭典

この日の名古屋は気温7℃。ひんやりした朝の空気が、発着地点となるナゴヤドームを包みます。
ここ数年のランニングブームを象徴するような、女性ランナーの祭典。女性のみで1万人以上が走るマラソン大会は世界初とは聞いていましたが、いやー本当に見渡す限り、カラフルなウェアに身を包んだ女性ランナーたちばかりです。
エントリーは仲間同士でなんて人も多いのか、友だちと写メを撮りあったり、連れ立って仮設トイレに並んだり。キャッキャと華やかな雰囲気を振りまきながら、スタート前の時間を思い思いに楽しんでいました。

この日は、ロンドン五輪の最終選考を兼ねた真剣勝負の場でもあります。日本にはエリートランナーと呼ばれる女性が600人いるそうですが、野口みずき選手や尾崎好美選手などを含めた495人ものトップランナーたちが、このレースにエントリーしています。
また、オフィシャルサポートランナーとして長谷川理恵さん、安田美沙子さん、道端ジェシカさんがエントリーしたことでも注目を集めました。

スタート前、リラックスした表情を浮かべる尾崎好美選手をキャッチ。中里麗美選手と日本人のトップ争いを繰り広げ、ラスト500mの鮮やかなスパートで見事2位に。この日のレースが決め手となって五輪代表に選ばれました。

3月11日は東日本大震災から1年目の節目を迎える日でもあります。1分間の黙祷を捧げた後、9時10分、いよいよスタートの砲声が鳴り響きました!

今回のコースは10km近くまで折り返しもなく、まっすぐな道が続きます。発着地点のナゴヤドームを始めとして、名古屋市博物館、大須観音、名古屋城、県庁・市役所など、名古屋市内の名所をぐるっと楽しめることも、このマラソンの魅力のひとつ。道の高低差もほとんどなく、33km地点の上り坂が唯一の難所といったところでしょうか。

沿道にはたくさんの応援の人たち。初マラソンということでかなり緊張していたのですが、「がんばれー!」という声援にちゃっかり手を振りながら走っていると、アドレナリンがでまくって、いつもの何倍も足取りが軽く感じられます。

愛知県は自動車保有率が日本で一番高い県。車社会の名古屋の道路は本当に広々していて、とても気持ちよく走れます。

手元の時計で自分のペースを確かめてみると、
「ん?1kmあたり6分ジャスト?」
思っていたより20秒も早いペースで走っています。
「あれ、今日はだいぶ調子がいいなぁ。とりあえずこのまま行けるところまでいってみよう!」
そう思ったこのときの私は、快調そのもの。振り返ればここから15kmまでのひとときが、人生で初めて味わうランナーズハイだったんだと思います。

先頭集団のデッドヒートを目撃!

18km付近で、「そろそろ疲れてきたなぁ」なんていう心の声を黙殺しながら走っていた私の耳に、突然、大きな歓声が聞こえました。
はっと反対車線に目を向けると、風のようなスピードで先頭集団が駆け抜けて行くのが見えます。
さらにその直後、先頭集団から少し遅れた野口みずき選手が、全身全霊の力を振り絞って走っていく姿が見えました。
「ああ、野口さんだ!頑張って!!」
自分の走るすぐ横で、まさに人生を賭けた勝負が繰り広げられているなんて。
先頭集団とすれ違ったこの瞬間は、個人的な大会ハイライトとして、忘れがたいものになりました。

このデッドヒートを目撃した高揚感を燃料に走れたのも、ほんのつかの間、「ちょっと身体がきついんですけどぉ」という心の声が、いよいよ無視できないほど大きくなってきました。
「フルマラソンは30kmあたりで、急にガクっとくるものですよ」というセリフは、何人ものマラソン経験者から聞いていたので、それなりに覚悟はしていたのですが……。
ガクっときたのは、ずっと手前の24km地点。最初に飛ばしすぎたのが原因に他なりません。
正直、これは参ったなぁと思いました。ここから先の18.195kmは、もうひたすら我慢、我慢、我慢。我慢だらけの旅の始まりです……。

ギネス記録の一員に

「どうしてアヒルの着ぐるみを着ているあの人は、私より前を走っているんだろう」とか、「走っている時になに考えてたのっていう質問には、なんて答えようかなぁ」とか。とにかく自分の意識を疲れた身体からそらせるために、必死になってどうでもいいことを考え続けながら、どうにかこうにか手と足の反復運動を繰り返します。

文字通り、全身が悲鳴を上げる中、一度も歩くことなく走り続けるというMっ気たっぷりのレース展開を一人で繰り広げること約2時間(!!)。ようやくゴールのナゴヤドームが見えてきました。ちょうど会場の中からは、ギネスブック登録のセレモニーが聞こえてきます。1万3114名の女性ランナーが参加した名古屋ウィメンズマラソンは、無事にギネス記録となったようです。
「自分もその一員なんだぁ」という小さな感動を味わいながら、最後の気力を振り絞って、いよいよラストスパートをかけます!

「やったー!!!!!」
夢にまでみたゴールです!タイムは4時間36分28秒。
ゴールゲートのすぐ奥には、タキシード姿のイケメンたち、「おもてなしタキシード隊」がご褒美のティファニーを手に、「おつかれさまです!」とハイタッチで出迎えてくれました。
今回の撮影を担当してくれた松本くんとも、固い握手を交わします。
「おめでとうございます!」
この言葉を、こんなに晴れやかな気持ちで聞くことって、社会人になってからあったでしょうか。いや~、本当に嬉しい!!!

次のフルマラソンへの挑戦……?

正直言うと走り終えた直後は、「もう二度と走りたくない(笑)」とメールを送るぐらい、フルマラソンはこりごりと思っていたのですが……。
時間が経つにつれ、「レース前にもっと練習をしていたら、もっと楽に走れたのかも」とか、「もし最初から飛ばさずに走っていたら、もっといいタイムだったのでは」という思いが、だんだんと頭を占めるようになるから、人間って本当に不思議なものです。
その2つを確かめるためには、次のフルマラソンにエントリーするしか方法はありません……。
まぁ、とにかく記念すべき初マラソンが名古屋ウィメンズマラソンで本当によかったです。たくさんの女性にエネルギーをもらえたこの大会の思い出は、ティファニーのネックレスとともに大切にしまっておきたいと思います。

走り終わった直後、放心状態ながらもカメラを向けられるとやっぱり笑顔に。

それにしてもonyourmarkやFacebookなどのSNSがあることに、これほど感謝した日はありませんでした。NIKE+を起動させながら走っていたので、Facebookでいいね!ボタンが押されるたびに、疲れた身体の中に拍手の音が鳴り響き、くじけそうな心が何度も何度も救われました。
SNS通じて応援してくれた皆さん、本当にありがとうございました!

(写真 松本昇大 / 文 小矢島一江)