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<LIVE STRONG>
 
生存率3%と言われたガンを克服し、その不屈の闘志と強靭な肉体で前人未踏の<ツール・ド・フランス7連覇>を成し遂げたアメリカの英雄ランス・アームストロング。どんなピンチにおかれても逆境をはね除けて勝利する彼のレースに、ガンに苦しむどれだけの人達が勇気つけられたことでしょうか?


 
ランス・アームストロングは2011年の1月にプロ・ロードレースを引退した後、昨年はエクステラ(MTBを使ったオフロード版トライアスロン)の世界選手権に出場していたこともあり、トライアスロンに本格的に参戦するのではないかと常に噂されていました。というのも彼は、プロ・サイクリストになる以前はプロ・トライアスリートで、水泳では1500m自由形でアメリカ代表入りする一歩手前というほどの実力だったそうです。その彼が20年間ずっと聞かれ続けて来たこと。それが「アイアンマンに出ないのか?」でした。
 
<アイアンマンに出ないのか?への答え>
 
2月9日、彼がツイッターで、"After 20 yrs of getting the question I’m happy to say YES I will be racing in a @ironmantri in 2012"(20年間ずっと聞かれ続けて来た質問に、YESと言える事が嬉しい。2012年のアイアンマンに参戦する) と表明したことが大きな話題になり、各メディアが真相を確かめようと殺到。ランスは、4日後に行われるアイアンマン70.3パナマに参戦することを表明し、2012年のレース計画も発表しました。アイアンマンへの本格的な参加を表明したのです。
 
アイアンマンというのは世界中で行われるトライアスロンのシリーズ戦で、アイアンマン(スイム3.6km、バイク160km、ラン42.195km)とアイアンマン70.3(70.3マイル=スイム1.8km、バイク90km、ラン21.1km)の2つの距離があり、それぞれに選手権があります。アイアンマン・ハワイ(コナ)と言えば、アイアンマン・ディスタンスの世界戦一を決める最終決戦。完走者は全て勝者、と賞賛されるほど、過酷でハイレベルなレースです。しかし、プロ・カテゴリーでこの世界戦に出るためには、各国の大会を転戦しポイントを稼がなければなりません。

 
<アイアンマンへの挑戦>
 
突然公表されたランス・アームストロングのアイアンマン・ハワイに向けた挑戦は、現地時間の2月12日午前6時50分<アイアンマン70.3パナマ>のスタートと同時に始まりました(ツイートから4日後の出来事!)。スイムを先頭から34秒遅れの10位でアップすると、得意のバイクで前の選手をごぼう抜きし2位に浮上、さらにはランパートで順位を上げトップを独走するなど、積極的なレース展開でファンを沸かせたようです。ランのラスト勝負で競り負け、惜しくも優勝を逃してしまいましたが、初のアイアンマン70.3レースを3時間50分55秒という素晴らしいタイムの第2位で終えました。
 
仮にランス・アームストロングがトライアスリートに転向しても、コナに出るのは難しいのではないか?という声はかねてからありました。しかし、今回の素晴らしい成績はそんな疑問の声を全て吹き飛ばすほどのものではないでしょうか? ランスの挑戦は今後も、アイアンマン70.3テキサス、フロリダ、ハワイ、そしてアイアンマン・フランスと続くようです。10月13日に行われるアイアンマン・ワールドチャンピオンシップ、ハワイ島コナのスタートラインに、クレイグやマッカら歴代の王者と並んでランスの姿がある…… そんな想像をするだけでワクワクしてきます。

パナマリザルト速報 IRONMAN 70.3 PANAMA
 
 TRIATHLON COMPETITORより / 文 肥後徳浩)