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ウェイトコントロールを今年の課題に掲げている皆様に、新たな研究を紹介しましょう。「今日から肉を抜いて低タンパクの食事にしよう」「炭水化物を抜こう」なんていう計画は、どうやら間違っているようですよ。

タンパク質を摂取する量が体組成、体重増加とエネルギー消費にどのように影響するたかを調べるため、ペニントン生物医学研究センターが、18-35歳の25人の被験者に8週に渡り実験を行いました。

この実験は、25人の成人男性に56日間に渡り普段より1000kcal多い食事を摂取してもらうというもの。被験者はタンパク質の含有率が5%(低タンパク)、15%(標準)、25%(高タンパク)と3つのグループに分類されています。炭水化物量は全く同等、脂肪の量で調節してカロリーを統一しました。

執筆者らは、高タンパク質食は体重がそれほど増えないものと予想していたそうですが、実験の結果、全てのグル—プが体重の増加を記録。予想に反し、低タンパク質の食事を続けたグループは体重増加が最も少なかったとのこと。また、タンパク質や脂肪の摂取量が異なるにもかかわらず体脂肪はどのグループでも同程度増えていました。これはすなわち純粋に体重増加にスポットを当てた場合、タンパク質の量は関係なく、総カロリー摂取量が体重を増やす原因であったということを示しています。

論文の主執筆者のジョージ・ブレイ博士は、「体は余分なカロリーを摂取すると、常にそれを脂肪として蓄積する。それがどんな食物から発生したものであるかということに関係はない。」と述べています。この研究により、タンパク質などの栄養成分の「量」とは関係がなく、カロリーそのものが脂肪を蓄積させ体重を増加させるということが指摘されたようです。栄養素どれかをセーブするということは栄養面から考えても良さそうにありません。極端な「○○抜き」のダイエットを継続するよりも、総カロリー数を気にする方が効果があるということを覚えておきたいですね。

この実験にはもう一つ注目すべき結果があります。それは、低タンパク質の食事を続けたグループは筋肉量が減少してしまうということ。前述の「低タンパク質の食事を続けたグループは体重増加が最も少なかった」という結果はこれに起因していると思われます。それとは対照的に、標準的なタンパク量と高タンパク質の食事を続けたグループは筋肉量が増えていることが判明しています。低タンパク質の食事を食べたのチームの体重増加は脂肪増加によるものであり、標準〜高タンパク質食のチームの体重増加は、筋肉量の増加によるものだったという結果が導き出されました。体重増加と一口に言っても、その内訳には差異がある模様です。

長期的に見れば、”高タンパクの食事を摂る→筋肉量が増える→基礎代謝が上がって脂肪燃焼率が上がる→体脂肪率が下がる”という循環があることは皆様ご存知の通り。高タンパク質の食事をしつつ、総カロリー摂取量を気にする、というのが、運動をしながら痩せるためのコツかもしれません。

(文 佐藤美加)