効果的なトレーニングをするには、まず自分を知ることから。
自分の身体能力を客観的に測って、弱い部分を強化するためのトレーニングを紹介する「大人の体力測定」。今回は、身体のコントロール能力がどれだけあるかを測定します!

テーマ:身体のコントロール能力を確かめよう
用意するもの:床に貼れるテープ5枚(20cm程度の長さのヒモ5本でも可)
※目を閉じて、片足で数秒間静止できるバランスがある人のみ測定可能です。

準備
①20cm程度(適当でよい)の長さに切ったテープを5枚用意する。
②1枚を床に貼る(テープ1)
③そこから30cmほど離して、同じく平行に貼る(テープ2)
④そこから50cmほど離して、同じく平行に貼る(テープ3)
⑤そこから30cmほど離して、同じく平行に貼る(テープ4)
⑥そこから50cmほど離して、同じく平行に貼る(テープ5)


測定方法
①テープ1につま先をつけて両足をそろえて立ち、テープ2の位置を良く確認してから目を閉じる。
②テープ2にちょうどつま先が触るギリギリに着地する事を目指して目を閉じたまま軽くジャンプする。
③ジャンプして着地したら目を開けて、テープとの誤差を確認する。
④同様に今度はテープ2につま先を合わせ、今度はテープ3を目指して軽くジャンプする。
⑤同様にして合計4回、全てのテープをジャンプする。

測定方法の注意点
①連続してポンポンと跳んでしまわず、一回ずつテープに足を合わせ、しっかりと次の目標のテープを確認してジャンプする。
②この程度のジャンプを目を閉じて行うことの危険性は低いが、一応、滑りにくい床を選んで行うこと。

測定結果の判断
着地した時のつま先の位置が、テープから前後約3cm以内ならジャンプ成功とする。

4回とも成功  ・・・ 体のコントロールが非常に上手である
3回成功    ・・・ 体のコントロールが良好である
2回成功    ・・・ 体のコントロールが得意ではない
1回成功    ・・・ 体のコントロールが苦手である
全て失敗    ・・・ 体のコントロールが非常に苦手である

自分が思っているほど、身体は思い通りに動いていない?

「右肩が上がっているよ」とか、「首が横に倒れているよ」などと、人から指摘を受けたことはありませんか?
自分では気づいてなくても、人間は何かしら、左右の動きに違いがあったり、動作に偏りが出ていたりするものです。
走ると右脚だけ痛くなるとしたら、それは、右脚に負担がかかりやすい姿勢で走っているから、つまり動作が偏っているからと言うことができます。しかも、そんなフォームで走っていることを、案外本人は自覚してなかったりしますよね。
また、スイングしたバットにボールが当たらない人は、目測を誤っていたのでなければ、残る理由は「思い通りのところにバットを出せていない」ということになります。
身体は、実は自分が思っている通りには、動いていないもの。逆に言えば、コントロールが上手い人ほど、いわゆる運動神経のいい人ということになるのです。

身体のコントロールはまず、頭で考えることから

思い通りに動けるとはどういうことなのでしょう。
まず、狙ったところにジャンプして着地できるということは、以下の感覚が優れているということになります。
感覚1・・・これくらいの力でジャンプすれば、このくらい身体が移動するはずだ!
感覚2・・・さっきはこれくらいの力でジャンプしたので、今度のこの距離ならこれくらい
の力でいけるはずだ。
人間は、これらのことを頭で考え、普段の自分の身体の感覚、そして先ほどジャンプした自分の身体の感覚と比較しながら動作のコントロールを行います。実はこれ、小脳が行う「学習」という機能によるものなんです。

思い通りに動けるための一つ目のポイントは、何をするべきかを考える能力と、それを実行した時に感じるであろう感覚の予測能力と言うことができるのです。

考えた通りに身体が動くかどうかは「重心」次第

とはいえ、ちゃんと頭では考えたのに、身体が思い通りに動かないことって多いですよね。なぜなのでしょう。その最大の理由、それは「重心」にあるのです。
例えば重心が前にありすぎると、前方にジャンプした時に思っていたより前方に身体が移動しますし、逆に重心が後ろにあると、前方にジャンプしても、思っていたよりジャンプが足りなかったりするのです。
重心が適切でないと、頭で描いたイメージと、実際の動きにギャップが出てくる可能性が高くなるということなんですね。
そしてコントロール能力が一番問題になるのは、その都度重心が安定せず、時には前にあり、時には後ろにあるという人です。こういう人は、基本的に自分の思った通りに体を動かすことができません。思い通りに動けるための二つ目のポイントは、適切な重心を身につけることにあります。

1)何をするべきかを考え、それを実行した時に感じるであろう感覚の予測能力を身につける、2)適切な重心を身につける、この2つのポイントができるようになれば、ジャンプの調整能力のみならず、体全体を思い通りに動かせる可能性が高まります。
一つ目に関して言えば、努力する天才、イチローを例に出すまでもなく、同じことを反復する(何度も練習する)ことが重要になりますが、適切な重心を身につけるためには、以下のエクササイズにチャレンジしてみてください。

改善エクササイズ

紹介するエクササイズは、重心がとれていないと成立しないものです。
動きそのものより、重心を意識して行うといいでしょう。

①前後ホップ

 床にテープを貼り、5cmほど離れて立つ。
 軽くジャンプしてテープを飛び越え、着地したら跳ね返るように元の位置に後ろ跳びでもどる。
 この時、跳ぶ前と同じ、テープから5cmの位置に戻るように調整する。
 最初は1回ずつ区切って跳び、慣れてきたら5連続で跳べるようになるまで練習する。
 頭の位置を変えずに、足だけが前後するようにすると重心が安定する。

②片足サイドホップ

 右足で浅めの片足スクワット姿勢で立つ。
 右足1本で軽く右にジャンプして、右足一本で着地する。
 着地した時に、一切動かないように意識する。着地してから姿勢を修正するのでなく、
 着地した時の姿勢を空中で予測しておき、
 着地の時にはそれができている状態で着地することが理想。
 1回ずつ正確に跳び、右に5回進んだら、同様に左足で5回反対側に進む。
 上半身にブレがあると、決して上手にできない。
 立ち足に全ての重心を乗せることを意識すると上手にできる。

思い通りに身体をコントールする能力が高い人は、正確な動作の習得が早いため、あらゆるスポーツにおいて上達がしやすくなります。
小学生の時、運動神経のいい人は、いつだってクラスの人気者でした。そんな人気者を横目にみていた人も、適切な重心を身につければ、運動神経のいい人の仲間入りができるはず。まずは自分のコントロール能力を確かめることから始めてみてください!

(監修 清水忍/イラスト atsushi ave)

【大人の体力測定アーカイブ】
#01 ハムストリングスの柔軟性
#02 上半身のバランスを司る広背筋の重要性