昨日のonyourmarkトレーニング座学では「トレーニングの頻度と超回復」というテーマで、トレーニングの間隔の重要性についてお伝えしましたが、実は脳科学の分野でも”運動技術を身につけるには休憩が大事”という研究結果が発表されています。

一夜漬けなど短時間の学習(集中学習)によってできた記憶に比べ、適度な休憩を取りながら繰り返し学習(分散学習)してできた記憶のほうが長続きすることは、よく知られています。心理学ではこの現象を「分散効果」と呼び、この効果が現れる原因として、脳内の短期記憶から長期記憶への変換のプロセスが想定されています。このプロセスを明らかにすると、記憶の仕組みを解く大きな手掛かりになると考えられてきましたが、分子レベルでのメカニズムの解明は全く進んでいませんでした。(プレスリリースより)

理化学研究所の永雄総一チームリーダーらは、マウスの眼球の運動学習に着目し、集中学習と分散学習の記憶が脳のどの部位に保持されているのかを実験で調べました。その結果、集中学習の記憶は小脳皮質に、分散学習の記憶は小脳核に、それぞれ保持されていることを突き止めました。
さらに、小脳核の神経細胞に長期記憶が形成されるには、休憩中に小脳皮質で作られるタンパク質が重要な役割を演じていることを確認しました。

スポーツや楽器の演奏のような運動記憶が小脳(画像の赤い部分)で維持されるということは20世紀の初頭から知られていました。しかし、それがどのように身に付くのかは分かっていませんでした。
練習によって運動の新しい技術を覚えても、数時間後あるいは翌日にはほとんど忘れてしまいます。しかし何日も練習を繰り返すと技術が身に付きます。これは、運動記憶が最初の短期記憶から長期記憶となったということ。
研究によって、小脳の中で運動記憶が短期記憶の場所から長期記憶の場所に物理的に移動するということ、そしてその移動には休憩(インターバル)が大事な役割を果たすことが明らかになったんですね。

これからスポーツの新しいテクニックを身につける時には、この休憩と繰り返しを意識して取り組めば成果が期待できるかも知れません。

(文 松田正臣)