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(文 中島良平/ 動画 TOTAL TIME 03:48 記事最下段

現在、おそらく日本で最も有名なアシュタンガヨガ、ヴィンヤサヨガのインストラクターのひとりであるクランティ。イタリア人の彼は、最初にミラノでティーチャートレーニングを受講しました。インドやアメリカ、デンマークなどでトレーニングとインストラクター経験を積み、現在では日本に住み始めておよそ5年になります。
ではそもそも、イタリアのミラノに生まれたクランティがどのようにヨガと出会い、自分の生活に取り入れることになったのでしょうか? デモンストレーションを見せてもらったあとにインタビューを行いました。

「瞑想に関する本との 出会いから始まった。子供のころに年上の友だちから、インドを旅してきた話を聞いてすごく興味を持った。そして、14歳でたまたま瞑想の本を手に取る機会があって、初めて接する内容にとても惹かれたんだ。そこから興味はどんどん大きくなった。インド文化を知りたいのももちろんだが、精神がどのような働きをして、身体や魂と連動しているのか、そういった内容が私を夢中にさせた」

精神を落ち着かせる鍛錬を通して、自分の身体に何が起こっているのかを認識すること。瞑想に興味を持ったクランティは1991年、初めてインドを旅したときにヨガと出会い、日常的なヨガの実践による身体と精神との動きの連動に対する探求が始まりました。

「瞑想の実践から、最初に触れたヨガがハタヨガだった。そして、よりダイナミックな動きが特徴的なアシュタンガヨガと接したとき、自分の本当に深い部分にヨガが入ってきたと感じた。呼吸がとても大事な役割を果たして、呼吸にしたがって継続的な動きが生まれていく。いくつかの伝統的なポスチャー(静止姿勢)や動きを取り入れながら、一定の呼吸法と同期させながら新たな動きも取り入れることができる。その一連のプラクティスが瞑想と結びつき、自己の内面を探求することと結びつくことが重要なんだ」

ヨガのインパクトが 日常に影響を与える 身体をどのように動かし、ポーズを作り、そこからどのように展開するか。それはあくまでもヨガの一側面に過ぎません。もちろん、ヨガのそうしたフィジカルな側面を楽しみ、健康や体型の維持などに役立つことは間違いないのですが、クランティは最初に瞑想に興味を持ったように、ヨガを続けるうちに見えてくる身体と内面のつながりの大切さを強調します。

「ヨガを実践しながら、その背景となるインドの古代哲学などのことも学んだ。しかしそれ以上に、心理学の本をたくさん読み、多くを学んだ。心理学や感情の部分にヨガがどのようなインパクトを与えるか。そして、日常にどのような影響が生まれるか。おそらく禅の教えもそうであるように、人生における苦労の連続から解放されて、よりよい生を送るための実践がヨガに結実している。自分の呼吸だけを追いかけて動きを続けていくと、もはや自発的にではなく、気づいたときには何かに動かされている。そうした実践を継続することで、自分や他者、自然などあらゆるものとのつながりを感じ、“エゴ”のちっぽけさに気づくことができるはずだ」

3月11日の震災後も、多くの外国人が日本を後にするなか、「いま自分にできるのは、この美しい国で、多くの素晴らしい人とヨガを共有すること」だと自然に感じたと語るクランティ。禅の教えや日本文化に彼が惹かれたように、ヨガの実践を感性や知性でとらえ直すと、そこにはさらなる広がりが生まれるのかもしれません。

(TOTAL TIME 03:48 |動画撮影 上原源太)

 

アトモ・クランティ / Atmo Kranti
アシュタンガヨガ、ヴィンヤサヨガインストラクター。1970年、イタリア・ミラノ生まれ。1991年に初めて訪れたインドでヨガと出会う。1996年、イタリアにヨガを広めたカルロ・パトリアンによる1年間のティーチャートレーニングをミラノで受講。インドやアメリカでもトレーニングを繰り返し、現在はアシュタンガヨガの総本部であるアシュタンガ・ヨガ・リサーチ・インスティチュート(AYRI)認定のAuthorized Teacherとして、東京を拠点にレッスンを続けている。スピリチュアルネームのアトモ・クランティは、「最も深い部分の(アトモ)」「革新(クランティ)」を意味する。

UNDER THE LIGHT YOGA SCHOOL / アンダーザライト ヨガスクール
クランティがメインの拠点とするヨガ・スクール。
住所:東京都渋谷区代々木1-53-4 奨学会館別館4F