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Nintendo DSやwiiなど日本でも"脳を鍛える"系ゲームは人気がありますが、アメリカではそんな脳を活性化させるゲーム・プログラムが、一人のボクサーの選手生命を救い、注目を集めているそうです。
 
モントリオール在住のボクサー、シルヴェラ・"スライ"・ルイスさんは昨年、ノックアウトされ、選手生命を絶たれるかもしれないほどのダメージを受けました。しかし、その3ヶ月後、彼はリングに戻っていました。それはハードなワークアウトーー"脳トレ"のソフトでのーーのおかげでした。
 
ルイスさんは数えきれないほどの時間をLumos Labsが手がけたLumosityという脳トレ・プログラムに費やしました。このプログラムは、俊敏さ、記憶力、集中力、思考を早くすることなどを目的とした35以上のゲームとエクササイズを収録。本人はこのゲームで、反応時間が向上したと言います。彼のように身体と同様に脳のエクササイズの必要性を感じている人は年々増加しており、Lumosityのユーザーは1500万人にも達するそうです。
 
webでの成功を受けて、現在はiPhoneアプリをリリースしています。また現在はアンドロイドやiPad向けのアプリの開発にも乗り出しているそうです。
 
こうした"脳トレ"ソフトはまだ初期の段階ですが、業界アナリストたちは今後大きな動きになることを予想しています。Lumosityに投資するベンチャーキャピタルのティム・チャン氏は言います「ある意味脳は筋肉みたいなものだね。常に鍛えることが必要なんだよ。」

ある医学生はLumosityを記憶のキャパを広げるために毎日使っているそうです。この学生は毎日2時間このゲームで遊んでいるそうです。学ぶことや身体になることをゲームをしながら得る、これがユーザーの興味を引くのです。

 
キーワードはゲーミフィケーション(Gamification)ーーこのLumosityのように、ゲームが持つプレイヤーを活性化させるノウハウを、ゲーム以外の領域に使うことです。シリコンバレーでは、このゲーミフィケーションという概念がウェブサイトでのビジネスを向上させると考えられているそうです。
 
まだLumosityの効果は公式に発表されていませんが、スタンフォード研究員のチームが6週間にわたり、数学に障害が出る可能性が高い疾患として知られるターナー症候群の女性患者16人に、このアプリを使ってもらいその効果を調べました。
すると、彼女たちのスコアは、健常者たちのそれと同等の結果が出たそうです。対照グループがいなかったので一方的なものですが、事実としての結果ではあります。
 
そのほか、MindSparkeというプログラムはマルチタスク能力と記憶力を上げることを目的としたウェブもあります。毎日30分、約1ヶ月続ければ、40%の向上があると、公式サイトでは謳っています。
 
また、Cogmed Working Memory Trainingというプログラムもあります。これはシニア層や脳手術を受けた人や注意欠陥障害などの患者向けで、5週間にわたって行うものです。クリアするのに30~45分を要する25のトレーニング・プログラムが収録されています。
 
いずれにせよ、こうしたマインド・ワークアウトや脳のスピードが、冒頭のボクサー・ルイスさんを助けました。ルイスさんの世界ランキングは625位からトップ200に入るまでに上がったそうです。
 
脳トレソフトはただのゲームだけでなく、実用性も高いんですね。
脳を鍛えたことはルイスさんをリングに戻しただけではなく、選手としてのポテンシャルをも上げたのでしょう。
フィジカル・トレーニングに加えて、脳を鍛えることもパフォーマンスの向上には必要なことのようです。
 
 
USA TODAYより/リサーチ 坂野晴彦)